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商
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あきなひ
お
品は
漸く
商を
覺えたといつて
居たのはまだ
其の
夏の
頃からである。
初めは
極りが
惡くて
他人の
閾を
跨ぐのを
逡巡して
居た。
又一方には
貸倒の損耗あるを思へば、
所詮仆し、仆さるるは
商の習と、お峯は
自ら
意を強うして、この
老女の
狂を発せしを、夫の
為せる
業とは
毫も思ひ
寄るにあらざりき。
何んだ
玉子酒をして
食ひやがつて、
亭主は
山越をして
方々商をしてゐるに、
嬶アは
玉子酒をして
食やアがる、まだあまつてゐるが
飲んでやれ、オイ
誰だおくまか、どこへ
行つたんだ。
柳屋は
土地で
老鋪だけれども、
手廣く
商をするのではなく、八九十
軒もあらう百
軒足らずの
此の
部落だけを
花主にして、
今代は
喜藏といふ
若い
亭主が、
自分で
賣りに
𢌞るばかりであるから
表の
鹽物やが
野郎と一
處に、
蜆を
買ひ
出しては
足の
及ぶだけ
擔ぎ
廻り、
野郎が八
錢うれば十
錢の
商ひは
必らずある、一つは
天道さまが
奴の
孝行を
見徹してか、
兎なり
角なり
藥代は三が
働き
其の
日お
品は
勘次を
出して
情ないやうな
心持がして
居たのであるが、
思つたよりは
商をして
來て
呉れたので一
日の
不足が
全く
恢復された。さうして
商に
出た
留守の、
晝過は
森として、
柳の
蔭に
腰障子が
閉まつて
居る、
樹の
下、
店の
前から
入口へ
懸けて、
地の
窪むだ、
泥濘を
埋めるため、
一面に
貝殼が
敷いてある、
白いの、
半分黒いの、
薄紅
午餐もお
品は
欲しくなかつた。
自分でも
今日は
商に
出られないと
諦めた。
明日に
成つたらばと
思つて
居た。
然しそれは
空頼であつた。お
品は
依然として
枕を
離れられない。
“商”の意味
《名詞》
(ショウ)あきない。
(ショウ)割り算(除算)の答え。
(ショウ)五音の一つ。低い方から二番目の音。
《固有名詞》
(ショウ)(王朝)殷。
(出典:Wiktionary)