“鰐口:わにぐち” の例文
“鰐口:わにぐち”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花4
吉川英治4
樋口一葉3
岡本綺堂2
国枝史郎1
“鰐口:わにぐち”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.6%
文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行0.2%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
それを登り尽くした丘の上に、大きい薬師堂が東にむかって立っていて、紅白の長い紐を垂れた鰐口わにぐちが懸かっている。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それを登り尽した丘の上に、大きい薬師堂は東に向って立っていて、紅白の長い紐を垂れた鰐口わにぐちかかっている。
磯部の若葉 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
武蔵は、一歩退さがって、両手をあわせた。——しかし、その手は鰐口わにぐちの綱へかけた手とは違ったものであった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
桜井の家は蓮正寺れんしょうじの近所で、おまいりの鰐口わにぐちの音が終日しゅうじつ聞こえる。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
り合せた紅白の色も分らぬほど古びている木綿の綱——鰐口わにぐちの鈴から垂れている一条の綱——
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
縁にはからすふんが白く見えて、鰐口わにぐちのほつれた紅白のひものもう色がさめたのにぶらりと長くさがったのがなんとなくうらがなしい。
日光小品 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
観音堂は闇を抜いて、星空にまで届いている。と、鰐口わにぐちの音がした。参詣する人があるのだろう。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
米友が幸内をおぶって来た帯は、神社の鰐口わにぐちの綱をお借り申して来たものであります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
折悪しくその第七番目の鰐口わにぐちに刺さっていた鉄棒ピンが、ドウした途端はずみか六番目の炭車トロッコ連結機ケッチンかんからはずれたので
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
天井からは鰐口わにぐちけいが枯れた釣荵つりしのぶと一しょに下がっている。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
去年の夏だ、まだ朝早いのに湯島に参って、これから鰐口わにぐちを鳴らそうと思うので、御手洗みたらしで清めようとすると、番の小児こどもが水銭をくれろと云った。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
口をいて、唇赤く、パッとろうの火を吸った形の、正面の鰐口わにぐちの下へ、ひげのもじゃもじゃと生えたあおい顔を出したのは、頬のこけた男であった。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
中田圃なかたんぼ稻荷いなり鰐口わにぐちならしてあは
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
フト魔がしたような、髪おどろに、骨あらわなりとあるのが、鰐口わにぐちの下に立顕たちあらわれ、ものにも事を欠いた、ことわるにもちょっと口実の見当らない
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
行っちゃ帰り、行っちゃ帰り、ちょうど二十日はつかの間、三七二十一日目の朝、おもいが届いてお宮の鰐口わにぐちすがりさえすれば、命の綱はつなげるんだけれども
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もう寒行はすんで初春もちかいが、師走が押しつまると、人の心のわずらいが多いとみえ、夜もすがら鰐口わにぐちをふる音だの、おこもりをする者の詠歌のあわれな声が絶えない。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見世物、露店ろてん——鰐口わにぐちの音がたえず聞こえた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
鰐口わにぐちいて嘲笑あざわらった声まで聞える。
夢十夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
見られよ、されば、全舞台に、虫一つ、ちりも置かず、世のはじめの生物に似た鰐口わにぐちも、その明星に影を重ねて、一顆いっか一碧玉だいへきぎょくちりばめたようなのが
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一人は清岡の原稿売込方を引受けている駒田弘吉という額の禿げ上った鰐口わにぐちの五十男に、一人は四十あまり、一人は三十前後の、一見していずれも新聞記者らしい眼鏡をかけた洋服の男である。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
賽銭さいせん下され行つて来ますと家を駆け出して、中田圃なかたんぼ稲荷いなり鰐口わにぐちならして手を合せ、願ひは何ぞ行きも帰りも首うなだれて畦道あぜみちづたひ帰り来る美登利が姿
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
およしなさい、へへ、ご身分にかかわりますよ、とお世辞だか忠告だか非難だか、わけのわからぬ事を人の陰に顔をかくして小声で言う者もあり、その中に、上方からくだって来た鰐口わにぐちという本職の角力
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
不圖カン/\鰐口わにぐちの鳴る音が耳に入る。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
されば故郷を去って独り寄宿舎に居る、内気な、世れない、心弱い、美少年は、その界隈かいわいに古びたひさしを見ては、母親の住んだ家ではあるまいかと思い、宮の鰐口わにぐちすがっては
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だらうと思ふんですがね。親分の勘兵衞は五十二で、鰐口わにぐち丁髷ちよんまげはせたやうな醜男ぶをとこだが、妾のお關は二十一、き立ての餅のやうに柔かくて色白で、たまらねえ愛嬌のある女だ。
拝殿の鰐口わにぐちへまで手を触れかけたが——そのとき彼のどん底からむくむくわいた彼の本質が、その気持を一蹴いっしゅうして、鰐口の鈴を振らずに、また祈りもせずに、そのまま下り松の決戦の場所へ駈け向ったという。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いゑ/\姉さんの繁昌するやうにと私が願をかけたのなれば、參らねば氣が濟まぬ、お賽錢下され行つて來ますと家を驅け出して、中田圃の稻荷に鰐口わにぐちならして手を合せ、願ひは何ぞ行きも歸りも首うなだれて畔道づたひ歸り來る美登利が姿、それと見て遠くより聲をかけ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
見ると、同じ老人ながら、背丈せたけのすぐれた、そして、かない鰐口わにぐちを、くぼんだ頬に彫りこんでいる上野介が、式台の正面にある衝立ついたて塗縁ぬりぶちを、扇子で、打ち叩きながら、そこに、りつけて平伏している浅野の家中を、のたかい眼で、睥睨へいげいしているのであった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)