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魑魅魍魎
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ちみもうりょう
ふりがな文庫
“
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)” の例文
金色
(
こんじき
)
に光る般若のひとみは、あらゆる
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
をにらみすえて、青い星光と冷ややかな風とのなかを、静かに、道を拾って行きます。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
未来の絵姿はそのように透明生気充満したものであるとしても、現在私たちの日常は実に女らしさの
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
にとりまかれていると思う。
新しい船出:女らしさの昨日、今日、明日
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
隊をなして、前途に
塞
(
ふさが
)
るとも覚しきに、
慾
(
よく
)
にも一歩を移し得で、あわれ
立竦
(
たちすくみ
)
になりける時、二点の蛍光
此方
(
こなた
)
を見向き、一喝して
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は党を脱退するにつき、気勢を挙げねばいかんと思い、
紺屋
(
こうや
)
に頼んで旗を作り、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
が火に焼かれて逃げて行く絵を書いてもらった。
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
未明の辻に行迷っている
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
は、夜明けの光とともに消えなければならぬ。この国を蔽っている闇は、もうすぐ大きな朝を迎えるんだ。
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
猛獣毒蛇、
剽盗
(
ひょうとう
)
の巣食っている富士の裾野を、どうしてこんなちっぽけな子が、無事に旅して来られたのだろう?
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
西洋蝋燭の光は、朦朧と室内を照して、さま/″\の器物や置物の黒い影が、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
の
跋扈
(
ばっこ
)
するような姿を、四方の壁へ長く大きく映して居る。
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
長い竹藪の
間々
(
あいだあいだ
)
には、ありとあらゆる
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
が、ほのかな隠し電燈の光を受けて、或は
横
(
よこた
)
わり、或は
佇
(
たたず
)
み、或は
蹲
(
うずく
)
まり、或は空からぶら下っていた。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
是を以て九天邪を斬るの使を設け、十地悪を罰するの司を列ね、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
をして以てその奸を容るる無く、
夜叉
(
やしゃ
)
羅刹
(
らせつ
)
をして、その暴を
肆
(
ほしいまま
)
にするを得ざらしむ。
牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
玻璃
(
ガラス
)
張りの
天蓋
(
まるてんじょう
)
を透して降りそそぐ
煦々
(
くく
)
たる二月の春光を浴びながら、歓談笑発して午餐に耽る凡百の面々を眺め渡せば、これはさながら
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
の大懇親会。
ノンシャラン道中記:04 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そのわんわんという声が暗い店の空間を占領して、四隅ではいつも
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
が会議をひらいていた。
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
丁度南方の土人の生活など今でもそうだろうと思うけれど、夜になると、あらゆる
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
が一杯になった一種別の世界に入るような気がして、非常に恐ろしかった。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
これ、物蔭にうごめいているのは、何者じゃ? 姿を見せい! この界隈に、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
を住まわせぬことにしている、このじじいに、貴さまの、
異形
(
いぎょう
)
をあらわすがよい。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
でないことの証拠には、お喋りこそするけれども、このお喋りには条理、いや、時とすると条理以上の何物かがあるように聞える——そこで、おぞけを振いながら
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
柳原土手は朝の光の中に浄化されて、其処にはもう、辻斬も惣嫁も、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
も影を潜め、買出しの商人や、朝詣の老人などが、健康な声を掛け合って、江戸の眠りを覚まして居ります。
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
美濃の岩滝の山中に入り一日半掌の米を食として幻覚の
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
と闘ったり、心理的に幾つも超越の心階を踏み経たことは大悟小悟その数を知らずと後に自身の述懐に就て言っているくらいである。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
家の
檐
(
のき
)
も三寸さがるといって、夜は、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
の世界だという。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
天翔
(
あまか
)
けることも地を潜ることも、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
を使うことも、
呪縛
(
じゅばく
)
でお前さんを縛ることも、どんな事だって出来るのだよ。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あたかも何よ、それ
畜生道
(
ちくしょうどう
)
の地獄の絵を、月夜に映したような怪しの姿が板戸一枚、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
というのであろうか、ざわざわと木の葉が
戦
(
そよ
)
ぐ
気色
(
けしき
)
だった。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
或は又、不気味にも、森全体がめしいたる
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
に
充
(
み
)
ち満ちているが
如
(
ごと
)
くにも、思われないではなかった。
火星の運河
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
の巣のようにひびく上に、なおさら怪しげなのは、そこの小火鉢にゆったりとしている人間の
風体
(
ふうてい
)
。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かれらの
跋扈跳梁
(
ばっこちょうりょう
)
はあたかも黄金境の観を呈し、幽霊もののけ妖怪変化、死霊いきりょう
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
、
狐狸
(
こり
)
草木のたぐいまでが人を脅し世を騒がしては
溜飲
(
りゅういん
)
をさげていた。
風流化物屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
手前らには、この大東京の、この大都会の大気の中に、さながら空気中のアルゴンの如くに、無慮無数の
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
がほしいままに跳梁
跋扈
(
ばっこ
)
しているかに感じられてならぬのでござります。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
是
(
これ
)
を
以
(
もっ
)
て
九天邪
(
きゅうてんじゃ
)
を
斬
(
き
)
るの
使
(
つかい
)
を
設
(
もう
)
け、十
地
(
ち
)
悪を罰するの
司
(
し
)
を
列
(
つら
)
ね、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
をして以て
其奸
(
そのかん
)
を
容
(
い
)
るる無く、
夜叉羅刹
(
やしゃらせつ
)
をして
其暴
(
そのぼう
)
を
肆
(
ほしいまま
)
にするを得ざらしむ。
矧
(
いわ
)
んや
此
(
こ
)
の
清平
(
せいへい
)
の世
坦蕩
(
たんとう
)
のときにおいてをや。
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
だが、今晩は
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
が出ないで、あたりまえの人が来ました。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ましてや他国へ出ましたならば、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
にも劣るような、悪漢どもが居りまして、よくないことをいたしましょう。
血ぬられた懐刀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一体、悪魔を払う趣意だと云うが、どうやら夜陰のこの
業体
(
ぎょうてい
)
は、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
の類を、呼出し招き寄せるに
髣髴
(
ほうふつ
)
として、実は、
希有
(
けぶ
)
に、怪しく不気味なものである。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
単に家宝を得ただけでなく、銘刀は
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
も払うという。そんな心づよさも抱いたのである。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
古い西洋館の隅々に悪鬼の
怨念
(
おんねん
)
が潜んでいるかと疑われ、殊にあの三階の円塔は、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
の
棲
(
す
)
みかのようにさえ思われて、誰もその付近へ近よるものもない有様であった。
暗黒星
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
富士の裾野に巣食うところの
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
の一人なのであったが、それは順を追って説くとして、さてある日の事である。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あわれあの時あの
婦人
(
おんな
)
が、蟇に
絡
(
まつわ
)
られたのも、猿に抱かれたのも、蝙蝠に吸われたのも、夜中に
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
に
魘
(
おそ
)
われたのも、思い出して、
私
(
わし
)
はひしひしと胸に当った。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
勇
(
ゆう
)
を
鼓
(
こ
)
して、そこを下れば、地底の闇に、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
の
蠢
(
うごめ
)
く地獄巡り、水族館。不気味さに、
岐道
(
えだみち
)
を取ってけわしい坂を山越しすれば、その山の頂上から、魂も消しとぶ
逆落
(
さかおと
)
しの下り道。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その騎士は原則として、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
盗賊毒蛇、これらのものの横行する道路険難の諸国へ出て行き、良民のために粉骨砕身、その害物を除かねばならぬ。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
罷違
(
まかりちご
)
うて旧道を皆
歩行
(
ある
)
いても
怪
(
け
)
しゅうはあるまい、こういう時候じゃ、
狼
(
おおかみ
)
の
旬
(
しゅん
)
でもなく、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
の
汐
(
しお
)
さきでもない、ままよ、と思うて、見送ると
早
(
は
)
や深切な百姓の姿も見えぬ。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
の目の様に、怪しく、鈍く、光っているのでございます。
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そうかと思うと
騶従
(
すうじゅう
)
を
屏
(
しりぞ
)
け、単騎独行山谷を
跋渉
(
ばっしょう
)
し、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
を平らげたというから、その行動は縄墨をもっては、断じて計ることが出来なかったらしい。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
とお丹の
下知
(
げじ
)
に、
狼
(
おおかみ
)
は
衣
(
ころも
)
を
纏
(
まと
)
い、
狐
(
きつね
)
は
啖
(
くら
)
い、
狸
(
たぬき
)
は飲み、
梟
(
ふくろう
)
謡えば、烏は躍り、
百足
(
むかで
)
、
蛇
(
くちなわ
)
、畳を這い、
鼬
(
いたち
)
、
鼯鼠
(
むささび
)
廊下を走り、縦横
交馳
(
こうち
)
、乱暴
狼藉
(
ろうぜき
)
、あわれ六六館の楼上は
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
に
横奪
(
おうだつ
)
されて
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかし、一歩この境地から出ると、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
が横行濶歩し、危険この上もない蛮地であった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
で、世間の連中が、化け物屋敷だと
吹聴
(
ふいちょう
)
する。——といった方が本当かもしれない。事実が
顛倒
(
てんとう
)
して語られるところに、
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
や化け物屋敷の、存在が許されるというものである。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「その好意もよりきりじゃ」——千斎はいとも苦々しく「悪虫妖狐
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
に、何んの親切が感じられようぞ。寸前尺魔、危険千万、愚老は是でお暇申す。貴殿もご注意なさるがよい」
高島異誌
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
万里小路
(
までのこうじ
)
中納言
藤房
(
ふじふさ
)
卿が、数年前に建てた館で、山屋敷の一つであったが、この裏山が
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
——流浪人や猟師や山賊や乞食、そういうものの巣窟となって美しい風景を
穢
(
けが
)
し出して以来
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
幾百幾千となく集まっていた怪々奇々たる
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
が恐怖の情を顔に現わし木を潜り草を蹴開き雲を霞と逃げる
態
(
さま
)
は真に不思議にも
悽愴
(
せいそう
)
たるもので、岩上に立った才蔵さえ
呆気
(
あっけ
)
にとられたほどである。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“魑魅魍魎”の解説
魑魅魍魎(ちみもうりょう)とは、山の怪物や川の怪物。様々な化け物妖怪変化。魑魅は山の怪、魍魎は川の怪であり、一般には山河すべての怪として魑魅魍魎の名で用いられることが多い。
(出典:Wikipedia)
魑
漢検1級
部首:⿁
21画
魅
常用漢字
中学
部首:⿁
15画
魍
漢検1級
部首:⿁
18画
魎
漢検1級
部首:⿁
18画
“魑魅”で始まる語句
魑魅