“香華:こうげ” の例文
“香華:こうげ”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治7
泉鏡花2
谷崎潤一郎2
野村胡堂2
佐々木味津三2
“香華:こうげ”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.7%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
暗澹あんたんたる洞窟、また悲惨ではあるが、隠密の霊壇れいだんとしては、むしろ、香華こうげの壇にまさるかもしれない。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寺男が苔を掃って香華こうげを供えたのち、ついでに隣りの小さな墓の苔も一しょに掃っているのを見て、私はもう一度それに注目した。
花を持てる女 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
閼伽あか香華こうげの供養をば、その妻女一人につかさどらしめつゝ、ひたすらに現世げんぜの安穏、後生の善所を祈願し侍り。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
見晴し台といったような、さいごの高所には、観音さまの巨大なコンクリート像がそびえ、その横に、香華こうげを売る小屋があった。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
型のごとき逆さ屏風びょうぶ香華こうげ、それに思いの外貧弱な供物の中に、なんの異状もなく据えられた棺へ、平次の手は掛ります。
そこに移された地蔵様は、急に涎掛けをしたり、香華こうげを供えられたり、たった一日のうちに見違えるように豪勢な様子になりました。
お熊は泣く泣く箕輪みのわの無縁寺に葬むり、小万はお梅をやっては、七日七日の香華こうげ手向たむけさせた。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
と、松千代の俗名をお位牌いはいにしるして香華こうげをささげ、太兵衛、善助などとともに、謹んで黙拝していた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手に携えていた香華こうげを、木標の前の竹筒にさして、無言に立っていると、娘は阿枷の水を汲んで、墓木ぼぼくと花とにそそいでいる。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
わたくしは自己の敬愛している抽斎と、その尊卑二属とに、香華こうげ手向たむけて置いて感応寺を出た。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
(略)お熊は泣々なくなく箕輪みのわ無縁寺むえんでらに葬むり、小万はお梅をッては、七日七日の香華こうげ手向たむけさせた。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
信玄しんげん石碑せきひへ、香華こうげをあげておがんでいるところを見つけられたひとりの百姓ひゃくしょうが、このたちのうちへ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この日、襄陽の百姓は、道に香華こうげをそなえて、車を拝し、荊州の文武百官もことごとく城門から式殿の階下まで整列して、曹操のすがたを拝した。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
普通は、本堂に、香華こうげの花と、香のにおいと明滅する処に、章魚たこ胡坐あぐらで構えていて、おどかして言えば、海坊主の坐禅のごとし。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
水を捧げ、香華こうげと共に、元旦の供物くもつをそなえ終ると、信長は、侍臣や小姓たちを顧みて、
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから又廻り道をして両国へ掛って深川霊岸れいがん寺中じちゅう永久寺えいきゅうじへ参り、母の墓所へ香華こうげ手向たむけて涙ながら
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この間るんは給料のうちから松泉寺へ金を納めて、美濃部家の墓に香華こうげを絶やさなかった。
じいさんばあさん (新字新仮名) / 森鴎外(著)
——能登路の可心は、ひがみで心得違いをしたにしろ、憎いと思った女の、あやまって生命いのちを失ったのにさえ、半生を香華こうげの料に捧げました。……
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
門口からさしのぞくと、奥の壁ぎわに香華こうげを飾り、十一の白木の位牌をずらりとならべ、船頭の女房やら娘やらが眼をまっ赤に泣きはらしながら百万遍を唱えている。
顎十郎捕物帳:13 遠島船 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
その墓の左脇ひだりわきにある別な墓を指し示しながらきっとそのあとでこのお墓へも香華こうげ手向たむけて行かれますお経料などもそのお方がお上げになりますという。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
香華こうげそなえた聖母マリアの像がその辻堂の中にまつってある。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
仏壇には、これら聖者の禅に対する貢献を記念して香華こうげがささげてある。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
それからその死骸を丸裸体はだかにして肢体を整え、香華こうげさん神符しんぷを焼き、屍鬼しきはらい去った呉青秀は、やがて紙をべ、丹青たんせいを按配しつつ
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
菊次郎のファンは吉原にもだいぶいたようだが、小ふじさんもその一人で、その墓のある池端七軒町の大正寺にまで出向いて、墓前に香華こうげ手向たむけてくるほどの熱心な贔屓であった。
桜林 (新字新仮名) / 小山清(著)
その前に、香華こうげが供えてなければ、野原の小さな起伏の一つとしか見えないが、前にも誰か、備前の小徳利に何か供えてあるし、右門も今、香華を持ってそこへ来てしゃがみこんだのである。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何かのがん掛けをする者は、まずその古い面をいただいて帰って、願望成就か腫物平癒のあかつきには、そのお礼として門番所から新らしい面を買って奉納し、あわせて香華こうげを供えるのを例としている。
半七捕物帳:65 夜叉神堂 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
わが父母後日必ず舎利を収めて塔を建て、一切衆生のやまい諸薬針灸癒す能わざる者来りてわが塔を至心供養せば、即日必ず除癒なおるを得んと誓い、この言虚しからずば諸天香華こうげふらさんと言うに
村の者はそれと聞いて慟哭どうこくした。そして、血に染まった権兵衛の錦の小袴を小さく裂いて、家の守神にすると云ってみんなで別けあうとともに、その遺骸を津寺に葬って香華こうげたやさなかった。
海神に祈る (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
四日、関氏の遺族八名は籠川をさかのぼって岩茸岩付近の川原まで行き、ここで山に向かって香華こうげをささげた。感きわまったのであろう、だれかのすすり泣きをきっかけに、一同はついに声をあげて泣いたという。
針の木のいけにえ (新字新仮名) / 石川欣一(著)
香炎、香華こうげ、香雲、香海。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
われ小石川白山はくさんのあたりを過る時は、かならず本念寺に入りて北山ほくざん南畝両儒の墓を弔ひ、また南畆が後喬こうえいにしてわれらが友たりし南岳なんがくの墓に香華こうげ手向たむくるを常となせり。
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
水から水へつづく秋のその向島に、葦間あしまを出たりはいったり、仏にたむけた香華こうげのけむりをとものあたりにそこはかとなくなびかせながら、わびしいその土左舟が右へ左へ行き来するさまは、江戸の秋のみに見る悲しい風景の一つでした。
芝居から帰ると二階へあがって、寝る前に白葡萄酒ぶどうしゅをあがるのえ、わたしもお相伴しょうばんするわ。それから寝るまで話をします。けれど、川上さんのお位牌いはいには私が毎日拝んでおいてあげます。お貞さん香華こうげもあげやせん。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
けだし国師のような出世間の禅僧が此の風雲児の霊を弔い、法要を行うことに不思議はないが、徳川氏の覇業はぎょうが定まった当時はたとい親類縁者と雖も、誰あって墓参りなどをする者もなく、一片の香華こうげ手向たむける人もなかったであろう。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
寝棺は階下の広い日本間に安置され、香華こうげをたむけ、夜更けるまで、家族や弔問客の読経どきょうの声が絶えなかったが、十二時前後、それらの人々も或は帰り去り、或はしんにつき、電燈を消した真暗な広い部屋に、ただ老人の死骸だけがとり残された。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
前にも記すように、三成の遺骸は後に大徳寺へ引き取られたので、そういつ迄も橋の袂にさらされていたのでもないであろうが、二人は父の首が拝めなくなった後までも、とき/″\畜生塚を訪ねて香華こうげを供え、行者のところへ食べ物などを持って行ってやることを怠らなかった。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
せめて妻女の始末ぐらいは、当然もう始めているべきがじょうなのに、香華こうげ一つたむけようともせずほったらかしておいたまま、女中のお葉を、ぽちゃぽちゃッとしたべっぴんなんで少し気になるがと仙市座頭がいったお葉なるその女中をそばへ引きつけて、妻女の品とおぼしき形見の着物をたんすの中から取り出しながら、