)” の例文
自分としては一生懸命だが、人が聞けば、何と思って今ごろそんなことを言いだすかと、頭から一笑にせられるかもしれない。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
伯夷はくい叔齊しゆくせいけんなりといへども、(七三)夫子ふうし益〻ますますあらはれ、顏淵がんえん篤學とくがくなりといへども、(七四)驥尾きびしておこなひ益〻ますますあらはる。
活字にせられたものは、未発表の部分の単なる標本としてこれを取扱い、他日たじつ全部公開の機会の到来を待つより外にみちがない。
それに遠祖外戚までに及ぶのはなお煩を加えるだけだから、壇ノ浦合戦に見える人々だけにとどめ、かんたんなちゅうして次に掲げてみる。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生計的に落魄らくはくし、世間的に不問にされていることは悲劇ではない。自分が自分の魂を握り得ぬこと、これほどのむなしさ馬鹿さみじめさがある筈はない。
いずこへ (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
女性じよせい無邪氣むじやきなる輕薄けいはくわらひ、さら一旦いつたんあたへたる財貨ざいか少娘こむすめ筐中きようちうよりうばひて酒亭一塲しゆていいちじやう醉夢すいむするのじようかしめついふたゝ免職めんしよくになりしこと
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
云うと、厳然げんぜんたる処分しょぶんするぞ。空中へ飛び出させていかぬものなら、縄でわえて置いたらばいいじゃないか。広告気球の代りになるかも知れないぞ
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それから望月少佐は五十嵐博士逝去のことと遺骸は上田市で荼毘だびし、遺骨は病中の博士夫人に代って南京子さんが預かっていることなどを告げ知らせた。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それで一八八八年には世界のあらゆる場所から莫大ばくだいな資金が集められ、彼の名をした立派なパストゥール研究所がパリに建設されて、その所長となりました。
ルイ・パストゥール (新字新仮名) / 石原純(著)
死体を解剖にすると云って口惜くやしがったけれども、結局そのままになってしまった。
雨夜草紙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
西暦せいれき一千八百六十六ねん墺普戰爭オーフツせんさうに、てき重圍じゆうゐおちいつたる墺太利軍オースタリーぐんいち偵察隊ていさつたいは、てきまなこくらまさんがため、密書みつしよをば軍用犬ぐんようけん首輪くびわして、その本陣ほんじん送皈おくりかへしたといふ逸話いつわがある。
下寺町の広沢八助に入門し、校長の相弟子たる光栄に浴していた。なお校長の驥尾きびして、日本橋五丁目の裏長屋に住む浄瑠璃本写本師、毛利金助に稽古本けいこぼんを註文したりなどした。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
準備をしてゐる久しい間には、折々をり/\成功の時の光景がまぼろしのやうに目に浮かんで、地上に血を流す役人、脚下にかうべたゝく金持、それから草木さうもくの風になびくやうにきたする諸民が見えた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
内国貿易の景況、隣国交際の政略、当局の政治家においては実に大切にして等閑とうかんすべからざるものなれども、これがために所期百年の教育上に影響を及ぼすとは憐むべき次第ならずや。
学問の独立 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
二人は最初のうちそれを一笑にしていたが、生徒たちのどのかたまりででも同じようなことが語られているのを聞くと、とうとうたまりかねて、次郎を人けのない倉庫のうらに誘いこみ
次郎物語:04 第四部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
信州御岳参みたけまゐり七回の経験けいけんあるをき衆皆之をさうとす、此峠をぐれば字上ヶ原の大平野あり、広袤こうばう凡一万町歩、みづあり良草りやうさうあり以て牧塲ぼくじやうとなすにてきす、今之を不毛にるは遺憾いかんと云ふべし
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
是亦これまた忽諸こつしよからざる一問題と存候ぞんじそろ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
一笑いつせうせられるに相違ない。
日本の女 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
こうして大石内蔵助以下寺坂吉右衛門にいたるまで四十八人の血判がすんだ時、さらに当夜の人々心得にんにんこころえが議にせられた。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
私はいつも、頁頭に質問事項を書いて置くと、これに対する解答が自動的に現れ、それには段落までつけてあるので、直ちに印刷にしても差支えないのであった。
何ヵ国の恩賞をすもよいとしていることだし、ゆらい、九州の豪族間ではまた豪族同士で、この狭い領土をおかし合って、すきあらば寸土でも自家の勢力を伸ばそうと
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お由の屍体は直ぐに大学病院に運ばれて解剖にされたが、其処からは何等犯罪的な死因は得られず、或いは一種の頓死とんしではないかとさえ言われたが、屍体損壊そんかいの点から見ても
白蛇の死 (新字新仮名) / 海野十三(著)
平田氏は、其場そのばではこの死人の脅迫状を一しょうして了ったことだが、さて、段々時がたつにつれて、何とも云えない不安がそろそろと彼の心に湧き上って来るのをどうすることも出来なかった。
幽霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
だが習性の中にも在る筈の肉体などは一顧も与えられておらず、何よりも、本来の人間の自由な本姿が不問にされているのである。人間本来の欲求などは始めから彼の文学の問題ではなかった。
デカダン文学論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「そうだ、一切を荼毘だびして、亡者もうじゃの霊をなぐさめ、おれたちは、ここを下山としよう」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
菅谷すがのや半之丞、早水はやみ藤左衛門、三村次郎左衛門、それに若党仲間どもを加えて、同勢すべて十人、「日野家用人垣見五郎兵衛」と大書した絵符を両掛長持にして、関所関所の眼をくらましながら
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
と、一笑いっしょうした。
と、むすび「執事師直」の名のほかに、尊氏の袖判もしてあるのだ。
「それはいかんな。軍令を出しておけ。厳罰にすと」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「着到にすことはなり申さん」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)