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赤銅
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しゃくどう
ふりがな文庫
“
赤銅
(
しゃくどう
)” の例文
大柄で筋骨
逞
(
たくま
)
しい
身体
(
からだ
)
や、額の
疵
(
きず
)
や、
赤銅
(
しゃくどう
)
色の刻みの深い顔など、悪人らしくはありませんが、大親分の昔を忍ばせるには充分です。
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
連日炎天の行軍で顔は
赤銅
(
しゃくどう
)
のごとく、光っているのは眼ばかり。それに洋服は汗と
埃
(
ほこり
)
でグシャグシャになった上に臭くなっている。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
そして、その日に焼けて
赤銅
(
しゃくどう
)
のように光っている頬を、大粒の涙がほろほろと流れ落ちた。二人は涙のうちに、しばらくは言葉がなかった。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ふと見ると、
赤銅
(
しゃくどう
)
のような色をした
光芒
(
ひかり
)
の無い大きな月が、お
濠
(
ほり
)
の松の上に音も無く昇っていた。その色、その
状
(
かたち
)
、その姿がいかにも
侘
(
わび
)
しい。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
赤銅
(
しゃくどう
)
色の
逞
(
たくま
)
しい四肢は陽に輝いて白く光り腰の辺に纒った鳥の羽根は棕櫚の葉のように翻えり胸を張って駈けるその姿は土人とは云え美しい。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
遡航
(
そこう
)
は
氷室
(
ひむろ
)
山の麓は赤松の林と断崖のほそぼそとした
嶮道
(
けんどう
)
に沿って右へ右へと寄るのが法とみえる。「これが
犬帰
(
いぬがえり
)
でなも」と
後
(
うしろ
)
から
赤銅
(
しゃくどう
)
の声がする。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
婦人用の
烟管
(
きせる
)
の吸口と
雁首
(
がんくび
)
に附けた金具に、銀と
赤銅
(
しゃくどう
)
とを用いて、銀白色の帯青灰色との横縞を見せているのがある。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
顎十郎が窓から首を出して見ると、叔父の庄兵衛が、
赤銅
(
しゃくどう
)
色の禿頭から湯気を立てながら往来に突っ立っている。
顎十郎捕物帳:03 都鳥
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
出すときには、風呂敷の四隅を
攫
(
つか
)
んで、
濛々
(
もうもう
)
と湯気の立つやつを
床
(
ゆか
)
の上に放り出す。
赤銅
(
しゃくどう
)
のような肉の色が煙の間から、汗で
光々
(
ぴかぴか
)
するのが勇ましく見える。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
舳
(
みよし
)
からだみごえをかけたのは、この船の
張本
(
ちょうほん
)
で、
龍巻
(
たつまき
)
の
九郎右衛門
(
くろうえもん
)
という大男だった。
赤銅
(
しゃくどう
)
づくりの
太刀
(
たち
)
にもたれ、
南蛮織
(
なんばんおり
)
のきらびやかなものを着ていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
若者
(
わかもの
)
は、
時計
(
とけい
)
を
出
(
だ
)
して、
主人
(
しゅじん
)
に
見
(
み
)
せました。
小型
(
こがた
)
の
銀側時計
(
ぎんがわどけい
)
で、
銀
(
ぎん
)
のくさりがついて、それに
赤銅
(
しゃくどう
)
でつくられたかざりの
磁石
(
じしゃく
)
が、
別
(
べつ
)
にぶらさがっていたのでした。
般若の面
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
金側
(
きんがわ
)
懐中時計(
金鎖
(
きんぐさり
)
共)一番
金目
(
かねめ
)
なのは、室の中央の丸テーブルの上にあった、金製の煙草セット(煙草入れと灰皿
丈
(
だ
)
けで、盆は残っていた。盆は
赤銅
(
しゃくどう
)
製である)
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「見事。——鞘は平糸まき。
赤銅
(
しゃくどう
)
の
柄
(
つか
)
に
叢雲
(
むらくも
)
の彫りがある。が、これは刀、一本ではしかたがあるまい」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「それだからつい見かけないと言ったのさ。
金無垢
(
きんむく
)
で目と歯が銀の、
斑
(
ぶち
)
は
赤銅
(
しゃくどう
)
か。出来合にはこんな精巧なものはない。この歯は一本々々後から植えたもんだぜ」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
例の五連発の室内銃を胸のあたりに取り上げて、銃口をこちらへ向けていましたが、その銃身に
象嵌
(
ぞうがん
)
した金と銀と
赤銅
(
しゃくどう
)
の雲竜が、蝋燭の光でキラキラとかがやきます。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
薄い
赤銅
(
しゃくどう
)
の延板を使って、どちらにも無雑作に
井桁
(
いげた
)
に
橘
(
たちばな
)
の紋が、
敲
(
たた
)
き出しで浮かしになっている。
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
正※知
(
しょうへんち
)
はどんなお顔いろでそのお
眼
(
め
)
はどんなだろう、
噂
(
うわさ
)
の通り
紺
(
こん
)
いろの
蓮華
(
れんげ
)
のはなびらのような
瞳
(
ひとみ
)
をしていなさるだろうか、お
指
(
ゆび
)
の
爪
(
つめ
)
はほんとうに
赤銅
(
しゃくどう
)
いろに光るだろうか
四又の百合
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「その
指
(
ゆび
)
繊長
(
せんちょう
)
にして、爪は
赤銅
(
しゃくどう
)
のごとく、
掌
(
たなごころ
)
は
蓮華
(
れんげ
)
に似たる」手を挙げて「恐れるな」と言う意味を示したのである。が、尼提はいよいよ驚き、とうとう
瓦器
(
がき
)
をとり落した。
尼提
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
赤銅
(
しゃくどう
)
色の
橅
(
ぶな
)
、金褐色の
栗
(
くり
)
、
珊瑚
(
さんご
)
色の房をつけた清涼茶、小さな火の舌を出してる炎のような桜、
橙
(
だいだい
)
色や
柚子
(
ゆず
)
色や栗色や焦げ
燧艾
(
ほくち
)
色など、さまざまな色の葉をつけてる
苔桃
(
こけもも
)
類の
叢
(
くさむら
)
。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
たくしあげた僧衣の裾からはみ出している、日焼した逞しい
臑
(
すね
)
を見ただけで、眼の
眩
(
くら
)
む思いがした。その日焼けが並大抵の日焼けではないのだ。
赤銅
(
しゃくどう
)
色なんてところを通り越していた。
西隣塾記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
間もなく、反絵の片眼は
赤銅
(
しゃくどう
)
のような顔の中で、一つ
朦朧
(
もうろう
)
と濁って来た。そうして、王の顔は渋りながら眠りに落ちる犬のように傾き始めると、やがて彼は卑弥呼の膝の上へ首を垂れた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
焦
(
や
)
けきった甲冑の重さもさることながら、それに包まれている五体の
汗腺
(
かんせん
)
から流れるものは汗という程度のしずくではない。どの顔もどの顔も
赤銅
(
しゃくどう
)
いろに燃えていた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
懐中煙草が一つ——
印伝
(
いんでん
)
の
叺
(
かます
)
に
赤銅
(
しゃくどう
)
の
虻
(
あぶ
)
の金具を付けた、見事な品を町役人は平次に渡しました。
銭形平次捕物控:149 遺言状
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この船は三本マストの
帆前船
(
ほまえせん
)
にて、その
舷
(
ふなべり
)
は青く錆びたる銅をもって張られ、一見してよほど古き船と知らる、船長はアフリカ人にて、色は
赤銅
(
しゃくどう
)
のごとく、眼は怪星のごとく
南極の怪事
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
この時に能登守は起き上って
寝衣
(
ねまき
)
の帯を締め直しました。寝衣の帯を締め直すと共に床の間にあった、銃身へ金と銀と
赤銅
(
しゃくどう
)
で竜の
象嵌
(
ぞうがん
)
をしてある秘蔵の室内銃を取り上げました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と左膳、片手に
赤銅
(
しゃくどう
)
の
柄
(
つか
)
をたたいて
瓢々然
(
ひょうひょうぜん
)
、さてどの方角へ足が向いたことやら——?
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
砂浜で寝転んでいる
赤銅
(
しゃくどう
)
色の青年たちが、気色を悪くして聞えよがしに叫ぶ。
キャラコさん:07 海の刷画
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
これは金と
赤銅
(
しゃくどう
)
と銀とで、
蔦
(
つた
)
の葉を
綴
(
つづ
)
った金具の付いている
帯留
(
おびどめ
)
であった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
壮者をしのぐ四肢の筋肉、
赤銅
(
しゃくどう
)
いろの皮膚など、そっくり
鞴
(
ふいご
)
の焔から飛び出したような頑健さです。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次が取出したのは、
蝋塗鞘
(
ろうぬりざや
)
、
赤銅
(
しゃくどう
)
の
鍔
(
つば
)
、紺糸で柄を巻いた、実用一点張の刀です。
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
赤銅
(
しゃくどう
)
の
柄
(
つか
)
に刀には
村雲
(
むらくも
)
、脇差には
上
(
のぼ
)
り
竜
(
りゅう
)
の彫り物があるというところから、大を
乾雲丸
(
けんうんまる
)
、小を
坤竜丸
(
こんりゅうまる
)
と呼んでいるのだが、この一
対
(
つい
)
の名刀は小野塚家伝来の宝物で、諸国の大名が黄金を山と積んでも
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ドーナツのような
朱
(
あか
)
や緑の
浮輪
(
うきわ
)
。黄と紺を張り交ぜにした大きな
鞠
(
まり
)
で鞠送りをしている青年と淑女。歌をうたっているパンツの
赤銅
(
しゃくどう
)
色。ライフ・ガードの大きなメガフォン。きりっとした煙草売り娘。
キャラコさん:07 海の刷画
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
枕元には、白茶の
柄糸
(
つかいと
)
に
赤銅
(
しゃくどう
)
ごしらえという
柳鞘
(
やなぎざや
)
の
了戒
(
りょうかい
)
一刀と、同じ作りで吉光の差し
添
(
ぞえ
)
。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“赤銅”の意味
《名詞》
赤銅 (しゃくどう、せきどう)
銅の別称。
銅と金の合金。紫金とも呼ばれる。
(出典:Wiktionary)
赤
常用漢字
小1
部首:⾚
7画
銅
常用漢字
小5
部首:⾦
14画
“赤銅”で始まる語句
赤銅色
赤銅七子
赤銅造
赤銅斜子
赤銅作
赤銅張
赤銅拵
赤銅箔
赤銅縁
赤銅色絵