のみ)” の例文
唯国民をして其理想人たるに適ふべき最大純高の英雄を仰がしめて以て国民の品格を高くするに在るのみ、其教訓、其訓誡を論ずるの外
觀察のみにて看到みいたりがたきところに看到らむとするには試驗あるのみ。小説は公衆の前にて行ふ試驗の記事なり。小説は分析的批評なり。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
下てもらひに來りし小西屋で今更いまさらにはかに斷りに來のは何とも合點がてんゆかぬと云たるのみにて詮方せんかたなければお光を慰め家へ歸し吾儕おのれも大藤武左衞門に會つてくやみを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ところもの其人そのひとほねみなすでちたり、ひと其言そのげんのみ君子くんしは、其時そのときればすなは(二)し、其時そのときざればすなは(三)蓬累ほうるゐしてる。
「禍故重畳ちようでふし、凶問しきりに集る。永く崩心の悲みをいだき、独り断腸のなみだを流す。但し両君の大助に依りて、傾命わづかに継ぐのみ。筆言を尽さず、古今の歎く所なり」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
二十五年第四高等中学校教授ニ任ゼラレ、以テ今ニ至ル。余ヤ菲才ひさい浅学ニシテ府県ニ文部省ニ奉職シ育英ノ任ニむさぼリ、尺寸せきすんノ功ナク、常ニソノ職ヲむなシクセシコトヲはずのみ
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
王こゝにおいて杖を投じてって曰く、我何ぞ病まん、奸臣かんしんに迫らるゝのみ、とて遂に昺貴等をる。昺貴等の将士、二人が時を移してかえらざるを見、はじめは疑い、のちさとりて、おのおの散じ去る。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
吾人の批評は正しく他人を画かんと欲するのみ。伝記若し人の外観的記載といふべくんば批評は人の内観的記載のみ。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
浮加々々うか/\其所へ至り災難さいなんあふときは父母への不孝此上なし我は君子に非れどもあやふき事には近寄ちかよる可からず部屋へやのみ居て花のなき庭を眺て消光くらしなば書物しよもつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
(三六)かうきよき、(三七)かたちそむいきほひきんずれば、すなはおのづかめにけんのみいまりやうてう相攻あひせむ。輕兵けいへい鋭卒えいそつかならそとき、(三八)老弱らうじやくうちつかれん。
故ヲ以テ改メテ期ヲすみやかニセンコトヲ図ル。慈おおいニ喜ビ陽ニ快キノ状ヲナス。然レドモ僅ニ稀粥きしゅくヲ通ズルのみ。途ニ上ルノ日ふたたビ慈顔ヲ奉ズルコト能ハザルヲ知リ、話シテときヲ移ス。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しかし是は或る老先生が田口も善いが其漢文には閉口すると云ひたりとか云ふ評判なれば其儘そのまゝ掲げたるのみ。余自身には御立派な御文章のやうに拝見仕候也つかまつりさふらふなり
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
爲しをり不※ふと阿蘭陀おらんだの名醫より傳習でんじゆしたりし稀代きたい妙藥めうやくテレメンテーナと稱物いふものにて則ち癲癇てんかん良劑りやうざいなり然れども今のしなのみならず阿蘭陀おらんだ人より傳へられたる奇藥きやく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ただ韓子かんしの・説難ぜいなんつくしかみづから((禍ヲ))のがるることあたはざりしをかなしむのみ
然レドモ学業イマダ成ラズシテしばしば省スルハコレ二親ノ喜バザル所、僕モマタコレヲヅ。明朝直ニ西センのみト。余コノ言ヲ聞キテ甚コレニ感ズ。時ニ亥之吉年十六。他日ノ成業ここニオイテカ見ルベシ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
新体詩人の推敲すゐかう百端、未だ世間に知られずして、堕落書生の舌に任じて発する者即ち早く都門を風靡ふうびす、然る所以の者は何ぞや、亦唯耳をたふとぶと目を尚ぶとに因るのみ
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
詩人若し其歌ふ所に於て、毫も世道人心と相関するなくんば是れ即ち無残なる自慾なるのみいやしくも詩を作りて之を読む者に何の感化を与へずんば是れ蟋蟀こほろぎにだもかざるなり。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
詮じ来れば是唯物質的の文明に過ぎず、是を以て其文明の生み出せる健児も、残念ながら亦唯物質的の人なるのみ、色眼鏡を懸け、「シガレット」をくゆらし、「フロック、コート」の威儀堂々たる
「クワイア」を作ることをこれ務むるが如きは是れ荘子の所謂いはゆる水止水以火止火ものなり、思ふに日本の今日は器械既に足れり、材料既に備れり、唯之を運転するの人に乏しきをうれふるのみ