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絡
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まつ
ふりがな文庫
“
絡
(
まつ
)” の例文
賭博者、ピストル丈を商売道具にする男、単純な無頼漢、彼等に
絡
(
まつ
)
わる貧困の方が、まだまだ私の類よりは光明を持っている様である。
職工と微笑
(新字新仮名)
/
松永延造
(著)
ここへ移ってからも、お増の目には、お千代婆さんの家で、穴のあくほど見つめておいた細君の顔や姿が、始終
絡
(
まつ
)
わりついていた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
舞台を下りると、いつか緒の解けたのが、血のように
絡
(
まつ
)
わって、生首を切って来たように見えます。秋雨がざっと降って来る。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうしてその
中
(
うち
)
に、呉家に
絡
(
まつ
)
わる不思議な因縁話を聞き知って、呉一郎の結婚式の前日に、こんな残虐を試みた。……それがこの私であったのだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お手紙で、あの娘と僕とにどうしても断ち切れない
絆
(
きずな
)
があることは判りました。実はその絆が僕自身にも強く
絡
(
まつ
)
わっていたのがはっきり判ったのでご座います。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
これぞ、極洋の狼、孤独の海狼と——なんだか
睨
(
にら
)
みかえしたくなる厭アな感じが、ふとこの数日来折竹に
絡
(
まつ
)
わりついている、ある一つの異様な出来事を思いださせたのである。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
追いつ追われつする運命の二剣! それに
絡
(
まつ
)
わるおのが秘命。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
大厦高樓のめぐりに
絡
(
まつ
)
はるなか
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
鼻を鳴らして
絡
(
まつ
)
わりつく犬をいたわりながら、
鉄瓶
(
てつびん
)
の湯気などの暖かく
籠
(
こも
)
った茶の間へ、二人は冷たい頬を
撫
(
な
)
でながら通った。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それからは、
猶更
(
なほさら
)
以
(
もつ
)
てじやれ
着
(
つ
)
いて、ろくに
團右衞門
(
だんゑもん
)
の
邸
(
やしき
)
へも
行
(
ゆ
)
かず、
絡
(
まつ
)
はりつくので、ふら/\
立
(
た
)
ちたいほど
氣
(
き
)
に
掛
(
かゝ
)
つた。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
貴女
(
あなた
)
の
家系
(
いえすじ
)
に
絡
(
まつ
)
わる、悪い因縁の絵巻物があるそうですが、それは今の
中
(
うち
)
に、よく調査してみようではありませんか。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それが
大晦日
(
おおみそか
)
の晩であった。庸三はある時は葉子と清川とのあの晩の態度に
絡
(
まつ
)
わる疑問に悩みある時はそれを打ち消した。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
眞白
(
まつしろ
)
な
腕
(
うで
)
について、
綿
(
わた
)
がスーツと
伸
(
の
)
びると、
可愛
(
かはい
)
い
掌
(
てのひら
)
でハツと
投
(
な
)
げたやうに
絲卷
(
いとまき
)
にする/\と
白
(
しろ
)
く
絡
(
まつ
)
はる、
娘心
(
むすめごころ
)
は
縁
(
えにし
)
の
色
(
いろ
)
を、
其
(
そ
)
の
蝶
(
てふ
)
の
羽
(
は
)
に
染
(
そ
)
めたさう。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私の黒焦屍体に
絡
(
まつ
)
わる校長先生の責任をどこまでも明らかにする手順がチャント付いているのです。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それらの或者は、お島の
迹
(
あと
)
から
絡
(
まつ
)
わり着いて来そうな調子で恵みを
強請
(
ねだ
)
った。お島はどうかすると、蟇口を開けて、銭を投げつつ急いで
通過
(
とおりす
)
ぎた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
谿河
(
たにがわ
)
の水に枕なぞ流るるように、ちょろちょろと出て、山伏の
裙
(
もすそ
)
に
絡
(
まつ
)
わると、あたかも毒茸が傘の
轆轤
(
ろくろ
)
を
弾
(
はじ
)
いて、驚破す、取て
噛
(
か
)
もう、とあるべき処を、——
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これに就ては色々な恐ろしい噂や伝説が
絡
(
まつ
)
わり付いている程の御宝物なのですが、それはウッカリした者が見ないように云い
触
(
ふ
)
らしたのが一種の迷信みたようになってしまったので
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ほてる
脛
(
はぎ
)
に
絡
(
まつ
)
わる
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の、ぽっとりした
膚触
(
はだざわり
)
が、気持が好かった。今別れて来た養母や青柳のことは
直
(
じき
)
に忘れていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ばちゃん、……ちゃぶりと
微
(
かす
)
かに湯が動く。とまた得ならず
艶
(
えん
)
な、しかし冷たい、そして、におやかな、霧に
白粉
(
おしろい
)
を包んだような、
人膚
(
ひとはだ
)
の気がすッと肩に
絡
(
まつ
)
わって、
頸
(
うなじ
)
を
撫
(
な
)
でた。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
笹村の当て推量は、その時はそれで消えてしまうのであったが、外出をするお銀の体には、やはり暗いものが
絡
(
まつ
)
わっているように思えてならなかった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それからその昔からの言い
伝
(
つたえ
)
で、何か黒百合といえば因縁事の
絡
(
まつ
)
わった、美しい、黒い、
艶
(
つや
)
を持った、紫色の、
物凄
(
ものすご
)
い、堅い花のように思われるのに、石滝という処は、今の
談
(
はなし
)
では、場処も
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
新聞の記事が
頭脳
(
あたま
)
に
絡
(
まつ
)
わり、時機を待てと、あれほど言っていた倉持の言葉も思い出され、こごた辺を通過する時、汽車の窓から見える、新婦の生家である
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
元結
(
もとゆい
)
は切れたから、髪のずるりと
解
(
と
)
けたのが、手の
甲
(
こう
)
に
絡
(
まつ
)
はると、宙に
釣
(
つる
)
されるやうになつて、お辻は
半身
(
はんしん
)
、胸もあらはに、
引起
(
ひきおこ
)
されたが、両手を畳に裏返して、
呼吸
(
いき
)
のあるものとは見えない。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
お増はそう言って、長火鉢の傍で莨を
喫
(
ふか
)
していたが、お今の執念が
絡
(
まつ
)
わり着いているようで、厭であった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
藍、浅葱、
朱鷺色
(
ときいろ
)
と、
鹿子
(
かのこ
)
と、
絞
(
しぼり
)
と、紫の
匹田
(
ひった
)
と、ありたけの
扱帯
(
しごき
)
、腰紐を一つなぎに、夜の虹が化けたように、
婦
(
おんな
)
の
乳
(
ち
)
の下から腰に
絡
(
まつ
)
わり、裾に
搦
(
から
)
んで。……下に膝をついた私の肩に流れました。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
深山に連絡している周囲が、女のことについて、いろいろに自分を批評し合っているその声が始終耳に
蔽
(
お
)
っ
被
(
かぶ
)
さっているようで、暗い影が頭に
絡
(
まつ
)
わりついていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
部屋着を脱ぐと、
緋
(
ひ
)
の
襦袢
(
じゅばん
)
で、素足がちらりとすると、ふッ、と行燈を消しました。……底に
温味
(
あたたかみ
)
を持ったヒヤリとするのが、酒の
湧
(
わ
)
く胸へ、今にもいい
薫
(
かおり
)
で
颯
(
さっ
)
と
絡
(
まつ
)
わるかと思うと、そうでないので。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
同じような心の痛みのまだどこかに残っている女は、しみじみした淡い
妬
(
ねた
)
みの
絡
(
まつ
)
わりついたような心持でそれに聴き
惚
(
ほ
)
れていた。笹村の胸にも、それが感ぜられた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
硝子窓
(
がらすまど
)
の
風
(
かぜ
)
に
額
(
ひたひ
)
に
絡
(
まつ
)
はる、
汗
(
あせ
)
ばんでさへ
居
(
ゐ
)
たらしい。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
酒くさい作の顔や、ごつごつした手足が、まだ頬や体に
絡
(
まつ
)
わりついているようで、気味がわるかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
『
此
(
こ
)
の
面
(
つら
)
に
絡
(
まつ
)
はるは。』
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そう言って均平も顔に
絡
(
まつ
)
わる煙草の煙を払っていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
絡
常用漢字
中学
部首:⽷
12画
“絡”を含む語句
連絡
脈絡
掛絡
附絡
引絡
纏絡
足手絡
絡合
籠絡
手絡
聯絡
絡繹
経絡
絡繰
対外文化連絡協会
込絡
繽紛絡繹
袈裟掛絡
足絡
緋手絡
...