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笄
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かうがい
ふりがな文庫
“
笄
(
かうがい
)” の例文
長いあひだに路銀も盡き、そのみつぎに身のまはり、
櫛
(
くし
)
笄
(
かうがい
)
まで賣り拂ひ、最前もお聽きの通り、悲しい金の才覺も男の病が治したさ。
近松半二の死
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
鼈甲
(
べつかふ
)
の
櫛
(
くし
)
笄
(
かうがい
)
を円光の如くさしないて、地獄絵を
繍
(
ぬ
)
うた
襠
(
うちかけ
)
の
裳
(
もすそ
)
を長々とひきはえながら、天女のやうな
媚
(
こび
)
を
凝
(
こら
)
して、夢かとばかり眼の前へ現れた。
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
高浜の海岸に今一つ樹木
欝葱
(
うつさう
)
たるもつと大きい島がある。岩礁の裾に一つ穴が明いて居て赭土色の禿頭の上へ捻つた枝の松を
笄
(
かうがい
)
のやうに挿してる。
坊つちやん「遺蹟めぐり」
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
白紙
(
かみ
)
を鼈甲の
笄
(
かうがい
)
に捲いた、あの
柳橋
(
やなぎばし
)
の初春の——
白紙
(
かみ
)
を捲いた
笄
(
かうがい
)
なんて、どうしたつて繪にはならない、そしてそれは
柳橋
(
やなぎばし
)
にはかぎつてゐないが
春
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
不思議
(
ふしぎ
)
にこゝで
逢
(
あ
)
ひました——
面影
(
おもかげ
)
は、
黒髮
(
くろかみ
)
に
笄
(
かうがい
)
して、
雪
(
ゆき
)
の
裲襠
(
かいどり
)
した
貴夫人
(
きふじん
)
のやうに
遙
(
はるか
)
に
思
(
おも
)
つたのとは
全然
(
まるで
)
違
(
ちが
)
ひました。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
頻繁
(
ひんぱん
)
に
行方
(
ゆくへ
)
不明になることに思ひ當りました——芝
伊皿子
(
いさらご
)
の荒物屋の娘お夏、下谷竹町の酒屋の妹おえん、
麻布
(
あざぶ
)
笄
(
かうがい
)
町で御家人の娘お
幸
(
かう
)
——、數へて見ると
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
唯一筋の
唐七糸帯
(
からしゆつちん
)
は、お屋敷奉公せし叔母が
紀念
(
かたみ
)
と大切に
秘蔵
(
ひめ
)
たれど何か厭はむ手放すを、と何やら彼やら有たけ出して
婢
(
をんな
)
に包ませ、夫の帰らぬ其中と櫛
笄
(
かうがい
)
も手ばしこく小箱に纏めて
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
草緑にして露繁き青山の練兵場、林を出でゝ野に入り、野を去つて更に田に出づる
笄
(
かうがい
)
町より下渋谷の田舎道は余と透谷とが其頃
数
(
しばし
)
ば散歩したる処にして当時の
幻影
(
おもかげ
)
は猶余の脳中に往来す。
透谷全集を読む
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
笄
(
かうがい
)
光
(
ひか
)
る黒髮は
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
そこで、
髮
(
かみ
)
を
結
(
ゆ
)
ひあげるときに
揷
(
さ
)
して、
笄
(
かうがい
)
を惜しまずやつたのであらうが、二三十年も前のことで、今日の錢湯風景を知らないから、なんともいへない。
春
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
此時
(
このとき
)
、われに
返
(
かへ
)
る
心
(
こゝろ
)
、しかも
湯氣
(
ゆげ
)
の
裡
(
うち
)
に
恍惚
(
くわうこつ
)
として、
彼處
(
かしこ
)
に
鼈甲
(
べつかふ
)
の
櫛
(
くし
)
笄
(
かうがい
)
の
行方
(
ゆくへ
)
も
覺
(
おぼ
)
えず、
此處
(
こゝ
)
に
亂箱
(
みだればこ
)
の
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
、
我
(
わ
)
が
手
(
て
)
にさへ
袖
(
そで
)
をこぼれて
亂
(
みだ
)
れたり。
面
(
おもて
)
、
色
(
いろ
)
染
(
そま
)
んぬ。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
かみゆひさんの
手腕
(
うで
)
を見せた
藝妓島田
(
げいこしまだ
)
が揃つて——三ヶ日過ぎると、恰好のいいつぶし島田にザングリ結つたのも
交
(
まじ
)
つて、透き通るやうな
笄
(
かうがい
)
を一本、グツと揷したのが
春
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
道理
(
だうり
)
で、そこらの
地内
(
ちない
)
や
横町
(
よこちやう
)
へ
入
(
はひ
)
つても、つきとほしの
笄
(
かうがい
)
で、
褄
(
つま
)
を
取
(
と
)
つて、
羽子
(
はね
)
を
突
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
るのが、
聲
(
こゑ
)
も
掛
(
か
)
けはしなかつた。
割前勘定
(
わりまへかんぢやう
)
。
乃
(
すなは
)
ち
蕎麥屋
(
そばや
)
だ。と
言
(
い
)
つても、
松
(
まつ
)
の
内
(
うち
)
だ。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
笄
(
かうがい
)
、
簪
(
かんざし
)
は謂ふも更なり、
向指
(
むかうざし
)
、
針打
(
はりうち
)
、
鬢挟
(
びんばさみ
)
、
髱挟
(
たばさみ
)
、当節また前髪留といふもの出来たり。
当世女装一斑
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
此時
(
このとき
)
、
白襟
(
しろえり
)
の
衣紋
(
えもん
)
正
(
たゞ
)
しく、
濃
(
こ
)
いお
納戸
(
なんど
)
の
單衣
(
ひとへ
)
着
(
き
)
て、
紺地
(
こんぢ
)
の
帶
(
おび
)
胸
(
むな
)
高
(
たか
)
う、
高島田
(
たかしまだ
)
の
品
(
ひん
)
よきに、
銀
(
ぎん
)
の
平打
(
ひらうち
)
の
笄
(
かうがい
)
のみ、
唯
(
たゞ
)
黒髮
(
くろかみ
)
の
中
(
なか
)
に
淡
(
あは
)
くかざしたるが、
手車
(
てぐるま
)
と
見
(
み
)
えたり、
小豆色
(
あづきいろ
)
の
膝
(
ひざ
)
かけして
森の紫陽花
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
長
(
なが
)
い
突通
(
つきとほ
)
しの
笄
(
かうがい
)
で、
薄化粧
(
うすげしやう
)
だつた
時分
(
じぶん
)
の、えゝ、
何
(
なん
)
にもかにも、
未
(
ひつじ
)
の
刻
(
こく
)
の
傾
(
かたむ
)
きて、——
元服
(
げんぷく
)
をしたんですがね——
富川町
(
とみかはちやう
)
うまれの
深川
(
ふかがは
)
ツ
娘
(
こ
)
だからでもありますまいが、
年
(
ねん
)
のあるうちから、
流
(
なが
)
れ
出
(
だ
)
して
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“笄”の解説
笄(こうがい、「髪掻き」の転訛)とは、髪を掻き揚げて髷を形作る装飾的な結髪用具。ただし次第に結髪後に髪を飾るものに変化した。中国由来のもので現代中国語ではジー(jī)と読む。笄は頭がかゆい時に髪型を崩さずに髪を掻く道具「髪掻 (かみかき)」からきているという説がある。
「三所物(みところもの)」と呼ばれる日本刀の大小の刀装具のひとつで、刀と一緒に持ち歩くことも多かった。
(出典:Wikipedia)
笄
漢検1級
部首:⽵
10画
“笄”を含む語句
櫛笄
笄町
花笄
笄髷
長笄
笄橋
黄金笄
冠笄
麻布笄町
銀笄
裂笄
笄蛭
笄簪
笄筥
笄町長谷寺
笄打
笄坂上
笄坂
櫛笄簪