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用箪笥
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ようだんす
ふりがな文庫
“
用箪笥
(
ようだんす
)” の例文
主重兵衞の枕元に置いた
用箪笥
(
ようだんす
)
の中から、これも錠前を綺麗に開けて、小判で三百兩、切餅を十二ほど持出されてしまつたのです。
銭形平次捕物控:003 大盗懺悔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「そうだろうと思った。それではお通し申して置き。それから、
用箪笥
(
ようだんす
)
の
抽斗
(
ひきだし
)
の二番目のをそっくり引き出してここへ持って来て下さい」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
側の机に十冊ばかり積み上げてある
manuscrits
(
マニュスクリイ
)
らしいものを一抱きに抱いて、それを
用箪笥
(
ようだんす
)
の上に運んだ。
あそび
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ぽかんと部屋へ帰ると、なるほど
奇麗
(
きれい
)
に掃除がしてある。ちょっと気がかりだから、念のため戸棚をあけて見る。下には小さな
用箪笥
(
ようだんす
)
が見える。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
茂兵衛は黙って正吉の横顔を見ていた、——そして暫くすると、
用箪笥
(
ようだんす
)
の方へ立って行って、金包を拵えて戻ってきた。
お美津簪
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
もっともその間に、夫は必ず茶の間へ下りて
用箪笥
(
ようだんす
)
の
抽出
(
ひきだし
)
から私の日記帳を取り出して盗み読みすることは間違いない。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そして、紀久子は自分の
用箪笥
(
ようだんす
)
の引出しの底からそこにありったけの紙幣を掴み出して、それを洋服のポケットに押し込みながら部屋を出ていった。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
子供の時父の
用箪笥
(
ようだんす
)
から六連發のピストルを持出し、妹を
目蒐
(
めが
)
けて撃つぞと言つて筒口を向け引金に指をかけた時
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
そして良人の傍を離れると、奥の間へ入って、
暫
(
しばら
)
く
用箪笥
(
ようだんす
)
の
抽斗
(
ひきだし
)
の音などをさせていたが、それきり出ていった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私の顔を見て笑ひ出して、黙つて、立つて行つて
用箪笥
(
ようだんす
)
からお金を出して来てくれるといふことがよくあつた。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
仁吉はいきなり、
用箪笥
(
ようだんす
)
にとびついて、がたがたと
抽斗
(
ひきだし
)
を鳴らして、四ツに畳んだ人相書をそこへひろげた。
治郎吉格子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
洋食の食べかたなどと云うものは?——彼女はふと女学校の教科書にそんなことも書いてあったように感じ、早速
用箪笥
(
ようだんす
)
の
抽斗
(
ひきだし
)
から古い
家政読本
(
かせいどくほん
)
を二冊出した。
たね子の憂鬱
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
家に著くと、私はすぐ二階の自分の部屋に上がっていって、此の手帳を
用箪笥
(
ようだんす
)
の奥から取り出してきた。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
盜み出さんとする
處
(
ところ
)
に
主人
(
あるじ
)
九郎右衞門は目を
覺
(
さま
)
しヤレ
泥坊
(
どろばう
)
と聲を立しかば盜賊は
吃驚
(
びつくり
)
なし
用箪笥
(
ようだんす
)
を
抱
(
かゝ
)
へて
逃出
(
にげいで
)
んとするを九郎右衞門
飛懸
(
とびかゝ
)
り
遁
(
のが
)
さじものをと押へるを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
黒光りする
用箪笥
(
ようだんす
)
から幾束かの紙幣を取り出して、一枚一枚丁寧に
焼鏝
(
やきごて
)
をあてて
皺
(
しわ
)
を延ばして行くのであった。そして私にも金をかく愛しなはれと教訓してくれた。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
粂「へえ、
用箪笥
(
ようだんす
)
の
抽斗
(
ひきだし
)
に這入っていますから
直
(
すぐ
)
に取れます、そうして
後
(
のち
)
にお宅へ出ますが
何方
(
どちら
)
です」
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そうして、座敷の隅にあった
用箪笥
(
ようだんす
)
の小引き出しがこじあけてあって、中がからっぽになっているところから見ると、犯人は、金がほしさに殺人を行ったことが推定された。
現場の写真
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
鬢
(
びん
)
の
乱
(
ほつれ
)
を、うるさそうにかきあげしその
櫛
(
くし
)
は吉次の
置土産
(
おきみやげ
)
、あの朝お絹お常の手に入りたるを、お常は神のお授けと喜び上等ゆえ
外出行
(
よそゆ
)
きにすると
用箪笥
(
ようだんす
)
の奥にしまい込み
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
この父は自分の退役も近づいたという顔つきで、本陣の囲炉裏ばたに続いた
寛
(
くつろ
)
ぎの
間
(
ま
)
の方へ行って、その
部屋
(
へや
)
の
用箪笥
(
ようだんす
)
から馬籠湯舟沢両村の古い絵図なぞを取り出して来た。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
幾度となくおじぎをしては私を見上げる彼の悲しげな眼を見ていた私は、立って居室の
用箪笥
(
ようだんす
)
から小紙幣を一枚出して来て下女に渡した。下女は台所の方に呼んでそれをやった。
小さな出来事
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
秋暑
(
しゅうしょ
)
の
一日
(
いちにち
)
物かくことも苦しければ身のまはりの手箱
用箪笥
(
ようだんす
)
の
抽斗
(
ひきだし
)
なんど取片付るに、ふと上田先生が書簡四、五通をさぐり得たり。先生
逝
(
ゆ
)
きて既に三年今年の
忌日
(
きじつ
)
もまた過ぎたり。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
精巧な
用箪笥
(
ようだんす
)
のはめ込まれた一
間
(
けん
)
の壁に続いた器用な三尺床に、白菊をさした
唐津焼
(
からつや
)
きの
釣
(
つ
)
り
花活
(
はない
)
けがあるのも、かすかにたきこめられた
沈香
(
じんこう
)
のにおいも、目のつんだ
杉柾
(
すぎまさ
)
の天井板も
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
J氏も深くは言わないで、
用箪笥
(
ようだんす
)
から鍵をとり出して私に渡してくれた。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
主重兵衛の枕元に置いた
用箪笥
(
ようだんす
)
の中から、これも錠前を綺麗に開けて、小判で三百両、切餅を十二ほど持出されてしまったのです。
銭形平次捕物控:003 大盗懺悔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
御作さんは
用箪笥
(
ようだんす
)
の
抽出
(
ひきだし
)
から小さい
熨斗袋
(
のしぶくろ
)
を出して、中へ銀貨を入れて、持って出た。旦那は口が
利
(
き
)
けないものだから、黙って、袋を受取って
格子
(
こうし
)
を
跨
(
また
)
いだ。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
用箪笥
(
ようだんす
)
の
抽斗
(
ひきだし
)
や、そこらの間を、かた、こと、といっている間に、
欄間
(
らんま
)
の額のうらから、手もつけない三つの封金を見つけておかしくなったように、口を押えた。
治郎吉格子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
家に著くと、私はすぐ二階の自分の部屋に上っていって、この手帳を
用箪笥
(
ようだんす
)
の奥から取り出してきた。
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
夫婦の居間になつてゐる奥の六畳の押入を開けると、下の段の隅ツこの、柳行李と
用箪笥
(
ようだんす
)
の隙間の暗い穴ぼこになつた所に、紅くもく/\かたまつてゐるものが見える。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その晩葉子を例の近所の旅館に残して、庸三は家へ帰ってみたが、庸太郎が
用箪笥
(
ようだんす
)
の引出しに仕舞っておいたという残りの二百円を見に行ってみると、それももう無かった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
土蔵の二階は暗かった、番札を
貼
(
は
)
った
長持
(
ながもち
)
や
唐櫃
(
からびつ
)
や、小道具を入れる
用箪笥
(
ようだんす
)
などが、南の片明りを受けて並んでいる。お美津は北側の隅へ正吉を
伴
(
つ
)
れて行って、
溜塗
(
ためぬり
)
の
大葛籠
(
おおつづら
)
の蔭を
覗
(
のぞ
)
きこんだ。
お美津簪
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
百両の金は実は
己
(
おれ
)
が
仕舞処
(
しまいどころ
)
を違えて置いたのが、
用箪笥
(
ようだんす
)
から出たから喜んでくれ、家来だからあんなに
疑
(
うたぐ
)
ってもよいが、
外
(
ほか
)
の者でもあっては己が
言訳
(
いいわけ
)
のしようもない位な訳で、誠に申しわけがない
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その上、女の帰った跡を見ると、留守中に探したものとみえて、
用箪笥
(
ようだんす
)
の
抽斗
(
ひきだし
)
に入れておいた、平次の覚え帳が紛失しております。
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一束
(
ひとたば
)
の手紙を出した。桂は、ぺらぺらと封だけを繰っている。驚いたのは露八である。どうして自分の家の
用箪笥
(
ようだんす
)
の底にあったものが、奇兵隊へ渡っているのか。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夫婦の居間になつてゐる奥の六畳の押入を開けると、下の段の隅ツこの、
柳行李
(
やなぎごうり
)
と
用箪笥
(
ようだんす
)
の隙間の暗い穴ぼこになつた所に、紅くもく/\かたまつてゐるものが見える。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
三千代は自分の荒涼な胸の
中
(
うち
)
を代助に訴える様子もなかった。黙って、次の間へ立って行った。
用箪笥
(
ようだんす
)
の環を響かして、赤い
天鵞絨
(
ビロード
)
で張った
小
(
ち
)
さい箱を持って出て来た。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ふだん「能なし」とみくびっていただけに、それがあによめには反比例して強く感じられたらしい。がたがた震えながら、仏壇の蔭のほうへ手を入れかけ、ふとやめて、
用箪笥
(
ようだんす
)
の
小抽出
(
こひきだし
)
をあけた。
七日七夜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と文治の
用箪笥
(
ようだんす
)
の引出へ仕舞い置きましたのは親切なのでございます。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
砂糖袋か
鮭
(
さけ
)
を
提
(
たずさ
)
えて作が
急度
(
きっと
)
お
伴
(
とも
)
をするのであったが、この二三年商売の方を
助
(
す
)
けなどするために、時には金の仕舞ってある押入や
用箪笥
(
ようだんす
)
の
鍵
(
かぎ
)
を
委
(
まか
)
されるようになってからは、不断は仲のわるい姉や
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「まだ澤山無くなりましたよ。筆、墨、矢立、徳利、お孃さんの手箱の鍵、
用箪笥
(
ようだんす
)
の鍵、お今どんの腰紐、お萬さんの
簪
(
かんざし
)
、お文どんの
櫛
(
くし
)
、——」
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
夫婦の居間になっている奥の六畳の押入を開けると、下の段の
隅
(
すみ
)
ッこの、
柳行李
(
やなぎごうり
)
と
用箪笥
(
ようだんす
)
の隙間の暗い穴ぼこになった所に、
紅
(
あか
)
くもくもくかたまっているものが見える。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「みんなあの人に関係した書類なんだそうです。健三に見せたら参考になるだろうと思って、
用箪笥
(
ようだんす
)
の
抽匣
(
ひきだし
)
の中にしまって置いたのを、
今日
(
きょう
)
出して持って来たって
仰
(
おっし
)
ゃいました」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
節子はその二十五金の包みを、自分の
用箪笥
(
ようだんす
)
の中へしまった。
おばな沢
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「まだたくさん無くなりましたよ。筆、墨、矢立、徳利、お嬢さんの手箱の鍵、
用箪笥
(
ようだんす
)
の鍵、お今どんの
腰紐
(
こしひも
)
、お万さんの
簪
(
かんざし
)
、お文どんの
櫛
(
くし
)
、——」
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は日記帳を茶の間の押入の
用箪笥
(
ようだんす
)
の抽出(私以外には用のない、誰も手を触れることのない抽出)の、
臍
(
へそ
)
の
緒
(
お
)
書だの父母の古手紙だのの重ねてある一番下に突っ込んでおいて
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
山の芋を枕元へ飾って寝るのはあまり例のない話しではあるがこの細君は煮物に使う
三盆
(
さんぼん
)
を
用箪笥
(
ようだんす
)
へ入れるくらい場所の適不適と云う観念に乏しい女であるから、細君にとれば、山の芋は
愚
(
おろ
)
か
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
弥三郎を殺した毒薬は、民五郎が物好きで持っていたのを、
用箪笥
(
ようだんす
)
から盗み出したもの、これはお
白洲
(
しらす
)
で判りました。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「とんだ事をしたよ。鍵を茶の間の
用箪笥
(
ようだんす
)
の上へ置いたなり……」
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、すぐ
用箪笥
(
ようだんす
)
の
小抽出
(
こひきだし
)
から出して見せた。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彌三郎を殺した毒藥は、民五郎が物好きで持つて居たのを、
用箪笥
(
ようだんす
)
から盜み出したもの、これはお
白洲
(
しらす
)
で判りました。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
奥では
用箪笥
(
ようだんす
)
の
環
(
かん
)
の鳴る音がした。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
用
常用漢字
小2
部首:⽤
5画
箪
漢検準1級
部首:⽵
15画
笥
漢検準1級
部首:⽵
11画
“用”で始まる語句
用
用達
用意
用事
用心
用捨
用人
用向
用箋
用立