「味」のことばかりを言って、その背後にある「美」の影響力に無頓着なのが、言って悪いが当代の料理人、料理研究所あたりの大方ではないでしょうか。
「春夏秋冬 料理王国」序にかえて (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
多吉は西洋のことなぞに一向無頓着で、主人が西洋人から手に入れて珍重するという寒暖計の性質も知らず
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ごく粗末な材料でつくった棺が、棺掛けもかぶせずに、数人の村人にかつがれてきた。教会の下役僧が先に立って、ひややかな無頓着な顔つきをして歩いていた。
寡婦とその子 (新字新仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
元来そんなことにはわりあい無頓着な俊亮も、さすがに無視するわけにはいかなかったのである。
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
共軛回転弾:――金博士シリーズ・11―― (新字新仮名) / 海野十三(著)
なぜといえば今時ほんとうに良心と理性との目ざめた精神的要求の豊かな人が、自分を無良心だと思わずに、その門にまったく無頓着であることは不可能なことだからです。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死―― (新字新仮名) / 長与善郎(著)
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
幕末維新懐古談:02 私の子供の時のはなし (新字新仮名) / 高村光雲(著)
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
というは、亭主多吉が町人の家に生まれた人のようでなく、世間に無頓着で、巡査の言い置いて行ったような実際の事を運ぶには全く不向きにできているからであった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
次郎は、しかし、みんなのそうした様子には、まるで無頓着なような顔をしていた。彼はともすると、むっつりして、ひとりで何か考えこんだ。それが子供達を一そう気味悪がらせた。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)