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海人
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あま
ふりがな文庫
“
海人
(
あま
)” の例文
「あはは、しびよ。そちは
魚
(
さかな
)
だ。いかにいばっても、そちを
突
(
つ
)
きに来る
海人
(
あま
)
にはかなうまい。そんなにこわいものがいては悲しかろう」
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
落魄
(
らくはく
)
して漁民となったのだといわれているが、彼自身は「片海の
石中
(
いそなか
)
の賤民が子」とか、「片海の
海人
(
あま
)
が子也」とかいっている。
学生と先哲:――予言僧日蓮――
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
かくの如きはもちろん除外例ではあるが、中世までも彼らは
山人
(
やまひと
)
・
海人
(
あま
)
と連称せられて、一般人民との間に或る区別が認められたのであった。
旃陀羅考:日蓮聖人はエタの子なりという事
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
海岸で網を引上げるために、網引く者どもの人数を
揃
(
そろ
)
えいろいろ差図手配する
海人
(
あま
)
のこえが、離宮の境内まで聞こえて来る、という歌である。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
それとも、いざとなつたらその名のごとく
海人
(
あま
)
のたつきにも堪へようし、杣人の暮らしなんぞはお茶の子に相違あるまい。
春泥:『白鳳』第一部
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
▼ もっと見る
さらば内部の作業員に多分の病人でも出来たのか、
海人
(
あま
)
や海女たちが競争心の結果、潜水の度が過ぎて、
身体
(
からだ
)
でもこわしてのけたのではないか。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
かれ諺に、「
海人
(
あま
)
なれや、おのが物から
音
(
ね
)
泣く
一四
」といふ。然れども宇遲の和紀郎子は早く
崩
(
かむさ
)
りましき。かれ大雀の命、天の下治らしめしき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
前駆の人払いの声の遠くなるとともに涙は
海人
(
あま
)
も
釣
(
つ
)
り糸を
垂
(
た
)
れんばかりに流れるのを、われながらあさましいことであると思いつつ中の君は寝ていた。
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
隠岐からもまた再三、
海人
(
あま
)
の便りに託しての密使があった。——それらはすでに去年のことに属している。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私はすぐ石川の女郎の 志可の
海人
(
あま
)
は
布
(
め
)
刈り塩焼き暇なみ櫛笥の小櫛取りも見なくに を思ひ出した。
晶子鑑賞
(新字旧仮名)
/
平野万里
(著)
旅人が乗馬して
海人
(
あま
)
に赤貝を買い取って見る拍子にその貝馬の
下顎
(
したあご
)
に
咋
(
く
)
い付き大いに困らす。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
価
(
あたひ
)
貴
(
たか
)
き物は
海人
(
あま
)
の家にふさはしからず。父の見給はばいかに
罪
(
つみ
)
し給はんといふ。豊雄、
一三三
財
(
たから
)
を
費
(
つひや
)
して買ひたるにもあらず。きのふ
一三四
人の
得
(
え
)
させしをここに置きしなり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
此の絶景を占領して居る万作が家は
主人
(
あるじ
)
だけ無風流だ。歌に詠んでこそ
海人
(
あま
)
が
家
(
や
)
だが、内はしきりもない一間に炉を切って、煤だらけな自在をかけ、其処らじゅう漁の道具何かで一ぱいだ。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
口の減らない
爺
(
じじい
)
めが、何を
痴事
(
たわごと
)
吐
(
ぬ
)
かしおる! 我が
日本
(
ひのもと
)
は神国じゃ。神の
御末
(
みすえ
)
は連綿と竹の
園生
(
そのう
)
に生い立ち
在
(
おわ
)
す。
海人
(
あま
)
が潮汲む浦の
苫屋
(
とまや
)
、
賤
(
しず
)
が
薪
(
まき
)
切る山の
伏屋
(
ふせや
)
、みなこれ
大君
(
おおぎみ
)
の物ならぬはない。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
外
(
ほか
)
にも、とほつてゐる
舟
(
ふね
)
がある。
自分
(
じぶん
)
も
舟
(
ふね
)
に
乘
(
の
)
つて、
旅
(
たび
)
をしてゐる。あゝして、
向
(
むか
)
うとほつてゐる
舟
(
ふね
)
から
見
(
み
)
れば、われ/\をばこの
藤江
(
ふぢえ
)
の
浦
(
うら
)
で、
鱸
(
すゝき
)
釣
(
つ
)
りをしてゐる
海人
(
あま
)
の
村人
(
むらびと
)
と
見
(
み
)
てゐるだらうよ。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
世の中はつねにもかもななきさ漕く
海人
(
あま
)
の小舟の綱手かなしも
歌よみに与ふる書
(旧字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
春の日の浦々ごとに出でて見よ何わざしてか
海人
(
あま
)
は過ぐすと
二人の女歌人
(新字旧仮名)
/
片山広子
(著)
海人
(
あま
)
が子が
潜
(
もぐ
)
り漕ぎたみみるめ刈るここの漣かぎり知られず
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
あらたへの藤江の浦にいさりする
海人
(
あま
)
とか見らん旅行く我を
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
桃畑を庭としつづく
海人
(
あま
)
が村冬枯れはてて浪ただきこゆ
樹木とその葉:30 駿河湾一帯の風光
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
また
思
(
おも
)
ふ
釣船
(
つりぶね
)
の
海人
(
あま
)
の子を、
巖穴
(
いはあな
)
に
隱
(
かぐ
)
ろふ蟹を
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
海人
(
あま
)
の舟路を慕ひしが
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
海人
(
あま
)
の釣船
お伽草紙
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
麻続王
(
おみのおおきみ
)
が伊勢の
伊良虞
(
いらご
)
に流された時、時の人が、「うちそを
麻続
(
をみ
)
の
王
(
おほきみ
)
海人
(
あま
)
なれや伊良虞が島の
玉藻
(
たまも
)
刈ります」(巻一・二三)といって悲しんだ。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
コウゾの長い綱を延ばして釣をする
海人
(
あま
)
の釣り上げた大きな
鱸
(
すずき
)
をさらさらと引き寄せあげて、
机
(
つくえ
)
もたわむまでにりつぱなお料理を獻上致しましよう
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
「音に聞く松が
浦島
(
うらしま
)
今日ぞ見るうべ心ある
海人
(
あま
)
は住みけり」という古歌を口ずさんでいる源氏の様子が美しかった。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
海人
(
あま
)
はあっちへ行ったり、こっちへ来たり、それが二度や三度ではなかったので、とうとう行ったり来たりにくたびれて、しまいにはおんおん
泣
(
な
)
きだしてしまいました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
大磯の
追儺
(
つゐな
)
の男豆打てば脇役がいふ「ごもつともなり」 その大雪の光景は又
海人
(
あま
)
の街雪過ちて尺積むと出でて云はざる女房も無し と抒述されてまるで眼前に見る様だ。
晶子鑑賞
(新字旧仮名)
/
平野万里
(著)
これらの
海人
(
あま
)
を載せて、船の沈下している海上まで運ぶべき
介添船
(
かいぞえぶね
)
は、海岸に待っている。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
また安曇氏は
海人
(
あま
)
の長とあって、海人の中には明らかに土蜘蛛の子孫と称せられたものもあり、しからざるもこれが多く先住民の後たることは、種々の点から認定せられるのである。
手長と足長:土蜘蛛研究
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
あらたへの ふぢえが
浦
(
うら
)
に
鱸
(
すゝき
)
釣
(
つ
)
る
海人
(
あま
)
とか
見
(
み
)
らむ。
旅
(
たび
)
行
(
ゆ
)
くわれを
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
世の中はつねにもがもななぎさ漕ぐ
海人
(
あま
)
の
小舟
(
おぶね
)
の綱手かなしも
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
また思ふ釣船の
海人
(
あま
)
の子を、
巌穴
(
いはあな
)
に
隠
(
かぐ
)
ろふ
蟹
(
かに
)
を
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
海人
(
あま
)
の釣船
お伽草紙
(旧字旧仮名)
/
太宰治
(著)
なお、人麿の覉旅歌には、「
飼飯
(
けひ
)
の海の
庭
(
には
)
よくあらし
苅
(
かり
)
ごもの
乱
(
みだ
)
れいづ見ゆ
海人
(
あま
)
の釣船」(巻三・二五六)というのもあり、棄てがたいものである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
かくてオホサザキの命とウヂの若郎子とお二方、おのおの天下をお讓りになる時に、
海人
(
あま
)
が貢物を獻りました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
近所で時々煙の立つのを、これが
海人
(
あま
)
の塩を焼く煙なのであろうと源氏は長い間思っていたが、それは山荘の後ろの山で
柴
(
しば
)
を
燻
(
く
)
べている煙であった。これを聞いた時の作
源氏物語:12 須磨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
このほかにも鬼の子孫だという旧家は所々にあったが、要するにこれらは、先住民族の子孫だということを認めておったものでありましょう。山人が山間に
遺
(
のこ
)
った様に、海浜にも
海人
(
あま
)
が遺る。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
そのときある
海人
(
あま
)
が、天皇へ
献上
(
けんじょう
)
する物を持ってのぼって来ました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
世の中はつねにもがもななぎさ
漕
(
こ
)
ぐ
海人
(
あま
)
の
小舟
(
おぶね
)
の
綱手
(
つなで
)
かなしも
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
海人
(
あま
)
の
習
(
ならひ
)
と
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
ここに大雀の命と宇遲の和紀郎子と二柱、おのもおのも天の下を讓りたまふほどに、
海人
(
あま
)
大
贄
(
にへ
)
を貢りつ。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
まだ迷っているのですか、「風の
靡
(
なび
)
き」(にけりな里の
海人
(
あま
)
の
焚
(
た
)
く
藻
(
も
)
の煙心弱さに)
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
海岸島嶼に離れて住んだ
海人
(
あま
)
の徒が、またしばしば鬼と呼ばれていた事は、かの鬼が島の童話や、能登の鬼の寝屋の話や、今も出雲の北海岸の漁民を俗に夜叉と呼んでいることからでも察せられ
憑き物系統に関する民族的研究:その一例として飛騨の牛蒡種
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
大宮の内まで聞ゆ
網引
(
あびき
)
すと
網子
(
あご
)
ととのふる
海人
(
あま
)
の呼び聲 長奧麻呂
愛国百人一首評釈
(旧字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
漁から帰った
海人
(
あま
)
たちが貝などを届けに寄ったので、源氏は客といる座敷の前へその人々を呼んでみることにした。漁村の生活について質問をすると、彼らは経済的に苦しい世渡りをこぼした。
源氏物語:12 須磨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ここに兄は
辭
(
いな
)
びて、弟に貢らしめたまひ、弟はまた兄に貢らしめて、相讓りたまふあひだに既に
許多
(
あまた
)
の日を經つ。かく相讓りたまふこと一度二度にあらざりければ、
海人
(
あま
)
は既に
往還
(
ゆきき
)
に疲れて泣けり。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
漁夫はすなわち
海人
(
あま
)
で、古えにいわゆる
海部
(
あまべ
)
の部族である。
旃陀羅考:日蓮聖人はエタの子なりという事
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
しほしほと
先
(
ま
)
づぞ泣かるるかりそめのみるめは
海人
(
あま
)
のすさびなれども
源氏物語:13 明石
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
一人
居
(
ゐ
)
て
眺
(
なが
)
めしよりは
海人
(
あま
)
の住むかたを書きてぞ見るべかりける
源氏物語:17 絵合
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
“海人”の意味
《名詞:あま》
「あま」を参照。
《名詞:かいじん》
漁夫。
(出典:Wiktionary)
“海人”の解説
海人(あま)は、海に潜って貝類や海藻を採集する漁を(専業あるいは兼業で)職業とする人。「アマ」は本来は家船などを用いて水上で生活する人々を意味した。
(出典:Wikipedia)
海
常用漢字
小2
部首:⽔
9画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“海人”で始まる語句
海人部
海人船
海人乙女