旧字:氣紛
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
何かの拍子で、檻を放れたのが、気紛れにこの席へ姿を現わしたまでのようです。それを人間が狼狽するから、熊もまた狼狽しているものに相違ない。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
しかし、彼はこの寒さに何の気紛れからして、あんなに物思ひに沈んだ表情でこの地帯を行くのかと、人は問ふかも知れぬ。それは過去をなつかしむ感情に駆られた結果である。
「おや、水の字がさし合ひになつてゐる。死ぬ迄の気紛れに一つ考へ直してみよう。」
茶話:02 大正五(一九一六)年 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド―― (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
罪と罰 (新字新仮名) / フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(著)
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
他の種類の俗物は時として気紛れに俗物であることをやめる。しかるにこの努力家型の成功主義者は、決して軌道をはずすことがない故に、それだけ俗物として完全である。
なに手術? そりゃどんな名外科医があって気紛れにやらないとも限らないが、獏の方は身長二メートル半だし、鸚鵡は大きいものでもその五分の一に達しない。それではどこで接合するのだろう。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それも生やさしいものでなく、三抱えもありそうなのが、潮風に揉まれる為めか、あらゆる気紛れな形をしている。田子浦辺まで続いていると仙夢さんが説明してくれた。