“気取:けど” の例文
“気取:けど”を含む作品の著者(上位)作品数
中里介山18
吉川英治6
有島武郎4
夏目漱石3
泉鏡花3
“気取:けど”を含む作品のジャンル比率
文学 > ドイツ文学 > 小説 物語4.3%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.3%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)0.3%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
誰か庵寺の玄関に来ていることを気取けどったけれど、青嵐は承知しながら聞流しにしている。米友がかえって落着かない気持で、
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こうして笠を被って合羽を着て、大小を差して並んでみれば、それは物騒な破牢者とは誰にも気取けどられることではありません。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「ああ、それでよかった。うッかり先生が知らずに行ったりなどしたら、武蔵が気取けどって、どんな先手を打つかもしれねえ」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「その時にゃ、またどうかならあな、いいかい、くれぐれも血迷って先へ気取けどられちゃあいけないよ」——と別れようとすると、
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
といいながらすばやく目くばせすると、事務長はすぐ何かわけがあるのを気取けどったらしく、巧みに葉子にばつを合わせた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
怒ったふり気取けどられたくないと、物を言おうとすれば声は干乾ひからびついたようになる、たん咽喉のどへ引懸る。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
明子はその秘密に気取けどられるのを嫌忌けんきするかの様にすばやく身をひるがえして自動車のステップを踏んだ。
青いポアン (新字旧仮名) / 神西清(著)
なるほど、執念深い彼等のことではあり、異様な六感が働いて、ほんとうに我々のここにいるのを気取けどったかな。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
心置きない、そして古藤を信頼している様子を巧みにもそれとなく気取けどらせるような葉子の態度はだんだん古藤の心を静めて行くらしかった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
暗に乗じて、捕虜が逃走を企てたことは確実で、それを気取けどった一同は、同じく暗の中を手さぐりで、捕虜を追いかけると同時に、この室を退散。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いなか者の三四郎にはてっきりそこと気取けどることはできなかったが、ただ読んだあとで、自分の心を探ってみてどこかに不満足があるように覚えた。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
女教師はびつくりして振り向いたが、その驚きを人に気取けどられないやうにと思つて、子供に物を言つた。
祭日 (新字旧仮名) / ライネル・マリア・リルケ(著)
人に気取けどられようとする時は、何かに紛らかして、なにくわぬかおをしている澄まし方などは、そのつもりで見れば驚くべき巧妙さであります。
「む、卜斎ぼくさい気取けどられぬうち、そッと馬小屋から足のはやいのを一ぴきひっぱりだしてこい」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
チンセイは、怪人たちに気取けどられぬよう、そっぽを向いて早口で語りだした。はたして彼はどんなことを口にして、丁坊の心をおどろかそうとするか?
大空魔艦 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そしてまた一方には、かういふ私の素振りを彼等に気取けどられないやうに、わざとらしく思はれないやうにと、それにも心を配らねばならなかつた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
プラスビイユと部下の刑事等は別段急いだ様子もなく、最後に室内をズッと見渡して、何等気取けどられる様な痕跡のない事を確めた上悠々と引き上げた。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
むささびか知らぬがきッきッといって屋のむねへ、やがておよそ小山ほどあろうと気取けどられるのが胸をすほどにちかづいて来て、牛が鳴いた
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
前の時のように、お雪が来ると、自分は座をはずして、浅吉と二人だけを残して置くのが、心あってするように、お雪にも気取けどられるほどになりました。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それから少年は心配気に娘に尋ねた。「あなたのお内ではもう何か気取けどつてゐるのですか。」
駆落 (新字旧仮名) / ライネル・マリア・リルケ(著)
「まあよかったというものだ。大丈夫かえ、誰にも気取けどられるようなことはありゃしめえな」
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
安岡は、自分自身にさえ気取けどられないように、木柵に沿うて、グラウンドのちり一本さえ、その薄闇うすやみの中に見失うまいとするようにして進んだ。
死屍を食う男 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
女は、すぐ気取けどった。六助が近づかぬうちに、原を斜めに横ぎって、大名小路の方へ走り込んだ。六助も、途中から向きをかえ、何処までもと、追って行った。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それを見ると主膳は直ちに、こいつ墓掘りだ、隠亡おんぼう共だわい、と気取けどりました。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そうでなくても、その以前から七兵衛が気取けどったのは、この二人の者は隠密おんみつだ。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
相手が百万石の加賀守では、駅の者も手出しができないで、その亡状ぼうじょうに任せているのだなと米友が気取けどると、またも歯をギリギリとかみ鳴らしました。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
気取けどられない範囲で葉子があらん限りのなぞを与えたにもかかわらず、古藤が堅くなってしまってそれに応ずるけしきのないのを見ると葉子はますますいらだった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
葉子はそれを気取けどると愛子に対していちだんの憎しみを感ぜずにはいられなかった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
主膳はそれを気取けどるや気取らずや、高らかに笑い上げた面をお絹の真正面に向けて、
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
——実をいふと、相手は博士の講義を聴いてゐる学生の一にんで、お玉杓子が誰だつたかと気がつくと、博士に気取けどられぬやうにこつそり逃げ出してゐたのだつた。
「ただその様子を何げなしに見て来りゃあいいんだ。まご付いて気取けどられるなよ」
半七捕物帳:13 弁天娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
これから一人か二人、ともを選んで誰にも気取けどられないようにして出かける
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
二人もその心持で、あたりの空気を動揺させない程度で会話をしていたのですが、この二人のほかに、もう一つ忍び足のあることが、たしかに今のミシという音で気取けどられました。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
青嵐居士もそう気取けどったから、そこで、再提出を求めたものに相違ない。
惜しいことにこの幽霊は、足許は確かだが、眼がかないから、眼前に横たわる好下物こうかぶつを、気取けどったことは気取ったが、そのものの質を知ることはできないのです。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それを気取けどった時に七兵衛は、駒井に注進をしようとあわただしく窓の戸をとざす瞬間、下で轟然ごうぜんたる音がすると共に、その戸をめざして一つの火の玉が飛んで来ました。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「やはり今宵も同じところに出ておるぞ。気取けどられぬように致せよ」
老中の眼鏡 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
お松はまたこんなことも、内々気取けどりもし、聞いてもいたのです。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その声を聞きつけて、お角はたちま気取けどってしまいました。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
(木村ニハ見エナイハズデアッタガ気取けどッタカモ知レナイ)木村ハ寝室マデ手伝ッテ運ンデカラ「先生、今夜ノヿハ私ヲオ信ジニナッテ下サイ、オ嬢サンガスベテ御存ジデス」ト云ッタ。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そしておぬいさんがそれを気取けどろうはずはもとよりなかった。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
それはなるべく妹に自分の心を気取けどられないためであった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いなせに、腰低く、べらべらと並べ立てて近づく鳶の者、片手に、こぶしを固めて、いざと言わば、張り倒そうとしているのだが、気の上ずった、心の狂った長崎屋には、それが、気取けどれない。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
卜斎、気取けどるやいなや、おそろしい形相ぎょうそう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
渡瀬はそれを見ると自分の心持が気取けどられたなと思った。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「それは大丈夫だと思います。かたく申しつけてまいりましたから——あなた様をはじめ、一同道場にいるようにつくろって、よもや、源三郎一派に気取けどられるようなことはあるまいと存じます」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
邪魔の入ったのを気取けどって女はそこに隠れていたのだ。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
しおたれた、細い姿で、こうべを垂れて、唯一人、由井ヶ浜へ通ずる砂道を辿たどることを、られてはならぬ、知られてはならぬ、気取けどられてはならぬというようなおもいであるのに
星あかり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そっと遠回しに、気取けどられないように聞くからね。
やはり眼が悪いのだろうと思いまして、若旦那に気取けどられぬように、出来るだけ顔を近付けて見ましたけれども、白い紙はやはり白い紙で、いくら眼をこすりましても、物が書いてある模様は見えません。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ただ顔を見覚えておくために、眼の前に坐っている運転手の顔を、反射鏡で気取けどられないように覗き込んだが、見れば見る程ガッシリした体格で、肩幅なぞは普通人の一倍半ぐらいりそうに見える。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
むさゝびからぬがきツ/\といつてむねへ、やがおよ小山こやまほどあらうと気取けどられるのがむねすほどにちかづいてて、うしいた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたくしが側で殿様へ旨くとりなし、あなたをよく思わせたのですよ、殿様はなか/\凛々りゝしいお方ですから、貴方あなたと私とのなかが少しでも変な様子があれば気取けどられますのだが
こちらの侵入を気取けどって、非常に狼狽ろうばいしているように思われる。狼狽したからとて、逃げ場はあるまい、はいるに不便なところは、出づるにも不便なはず。兵馬は、前以てこれを見届けておきました。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
開き戸をあけた音でも気取けどれそうなもの。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「それは火薬である、その方はそれを持って、なにげなきていで小舎へ帰れ、気取けどられぬように、小舎を締め切って程よいところから火を出せ、その火を合図に我々が取囲んで、一人も残さずからめ取る」
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そして自分としては決して園丁の言うことを信じてはいないが、さりとて一概に笑い去り得ぬ節もあるように思われ、何とも思案に余ることであったが、妻に気取けどられぬよう、はたして妻と悲哀トリステサとの間に
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
公儀で表沙汰となさるには、まだどころが充分でない。といって、これから大がかりに、所司代やお目付が手を廻せば、向うで気取けどってしまうから、この探索は弦之丞様一人がいいという御方針になったらしい。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分自身にも、どうしてソンな気持に変ったか解らなかったが、しかし私はそのまんま、身動き一つしないで突伏していたので、自分の話に夢中になっている正木博士には、私のそんな気持の変化を気取けどられよう筈がなかった。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
せめて、あの笛の音が、今いう新来の客人たち、つまり、さいぜんの若い旅のさむらいの人と、それから、どう考えても気味の悪い二人連れの壮士とにだけは、あの笛の音を気取けどらせたくないという心が無性むしょうにお雪の胸にのぼります。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
せんだってなどは主人がやさしく吾輩の頭をで廻しながら、突然この猫の皮をいでちゃんちゃんにしたらさぞあたたかでよかろうと飛んでもない了見りょうけんをむらむらと起したのを即座に気取けどって覚えずひやっとした事さえある。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
油断はならぬ! 壁辰は、相手に気取けどられぬようにそろそろと、内ぶところの手をどんぶりへ入れて、そこに、寝る間も離したことのない十手のを、いざとなったら飛び掛る気、朱総しゅぶさを器用に手の甲へき締めて、ぎっしり握った。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
戦いの日、モン・サン・ジャンの高地の縁にあって、断崖だんがいの上にある溝であり、地面の中に隠されたわだちであり、何物もそれと気取けどらせる物のないその凹路おうろは、少しも目につかなかったのである、言い換えれば恐るべきものだったのである。
「それじゃお前、今夜、人が寝静まってから逃げ出すことにしようよ。先生はお帰りになるかならないか知れないけれど、どちらにしてもあの通り酔っぱらっておいでなさるから、夜中に眼をおさましなさるようなことはないけれど、国公さんに気取けどられないように気をつけて下さい」
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
鶏を料理するにも、この焼石の機転が無くてはならぬ。鶏を安心させておいて、その瞬間にはつと落す。落すにはそれ/″\自分が手につた方法をえらんで差支さしつかへないが、たゞ落すその一瞬間は鶏に気取けどられぬ程の微妙デリケートところが無くてはならぬ。
「何しろ厳しい馬鹿詮議せんぎで、下手へたをするとこっちの秘密を気取けどられそうなんだ。そこで俺は、道を代えて讃岐境さぬきざかいから、山越えで阿波へ入りこむつもり、一足先に多度津たどつまでしているから、てめえは早速、お千絵様からもう一通貰ってきてくれ、それが今度の眼目だからな」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)