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ふりがな文庫
“
気取
(
けど
)” の例文
旧字:
氣取
むさゝびか
知
(
し
)
らぬがきツ/\といつて
屋
(
や
)
の
棟
(
むね
)
へ、
軈
(
やが
)
て
凡
(
およ
)
そ
小山
(
こやま
)
ほどあらうと
気取
(
けど
)
られるのが
胸
(
むね
)
を
圧
(
お
)
すほどに
近
(
ちかづ
)
いて
来
(
き
)
て、
牛
(
うし
)
が
啼
(
な
)
いた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一夜を
妓楼
(
ぎろう
)
に明かした彼は
伯母
(
おば
)
への手前、そういう場合にすぐそれと
気取
(
けど
)
られるような
憔悴
(
しょうすい
)
した後ろ暗いさまを見せまいとして
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
近所へ
気取
(
けど
)
られないように呼び起して、取りあえず上等の下駄を買って、上等の鼻緒をスゲさせている……つもりになってみる。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「その時にゃ、またどうかならあな、いいかい、くれぐれも血迷って先へ
気取
(
けど
)
られちゃあいけないよ」——と別れようとすると
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こうして笠を被って合羽を着て、大小を差して並んでみれば、それは物騒な破牢者とは誰にも
気取
(
けど
)
られることではありません。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
安岡は、自分自身にさえ
気取
(
けど
)
られないように、木柵に沿うて、グラウンドの
塵
(
ちり
)
一本さえ、その
薄闇
(
うすやみ
)
の中に見失うまいとするようにして進んだ。
死屍を食う男
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
心置きない、そして古藤を信頼している様子を巧みにもそれとなく
気取
(
けど
)
らせるような葉子の態度はだんだん古藤の心を静めて行くらしかった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
田舎
者
(
もの
)
の三四郎にはてつきり
其所
(
そこ
)
と
気取
(
けど
)
る事は出来なかつたが、たゞ読んだあとで、自分の心を
探
(
さぐ
)
つて見て
何所
(
どこ
)
かに不満足がある様に覚えた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そしてまた一方には、かういふ私の素振りを彼等に
気取
(
けど
)
られないやうに、
態
(
わざ
)
とらしく思はれないやうにと、それにも心を配らねばならなかつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
チンセイは、怪人たちに
気取
(
けど
)
られぬよう、そっぽを向いて早口で語りだした。はたして彼はどんなことを口にして、丁坊の心をおどろかそうとするか?
大空魔艦
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あなたをよく思わせたのですよ、殿様はなか/\
凛々
(
りゝ
)
しいお方ですから、
貴方
(
あなた
)
と私との
間
(
なか
)
が少しでも変な様子があれば
気取
(
けど
)
られますのだが、
些
(
ちっと
)
も知れませんよ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
妻に
気取
(
けど
)
られぬよう、はたして妻と
悲哀
(
トリステサ
)
との間に、そういう浅ましい関係が成り立っているものかどうか、それを一つ探索していただきたいということをも
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
実をいふと、相手は博士の講義を聴いてゐる学生の一
人
(
にん
)
で、お玉杓子が誰だつたかと気がつくと、博士に
気取
(
けど
)
られぬやうにこつそり逃げ出してゐたのだつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
女教師はびつくりして振り向いたが、その驚きを人に
気取
(
けど
)
られないやうにと思つて、子供に物を言つた。
祭日
(新字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
すると、こちらはすぐにそれを
気取
(
けど
)
って、これまたはなはだ感情をそこねてしまった。こうした発端は無事な結末を予想させるはずがない。やがて一同は席についた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
と長船君は何うやら様子を
気取
(
けど
)
ったらしく、相手にばかり喋らせて、急に口数を
利
(
き
)
かなくなった。
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
(木村ニハ見エナイハズデアッタガ
気取
(
けど
)
ッタカモ知レナイ)木村ハ寝室マデ手伝ッテ運ンデカラ「先生、今夜ノヿハ私ヲオ信ジニナッテ下サイ、オ嬢サンガスベテ御存ジデス」
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
怒った
振
(
ふり
)
も
気取
(
けど
)
られたくないと、物を言おうとすれば声は
干乾
(
ひから
)
びついたようになる、
痰
(
たん
)
も
咽喉
(
のど
)
へ引懸る。
故
(
わざ
)
と
咳
(
せき
)
払して、
可笑
(
おかし
)
くも無いことに
作笑
(
つくりわらい
)
して、猫を冠っておりました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
相手に
気取
(
けど
)
られぬようにそろそろと、内ぶところの手を
丼
(
どんぶり
)
へ入れて、そこに、寝る間も離したことのない十手の
柄
(
え
)
を、いざとなったら飛び掛る気、
朱総
(
しゅぶさ
)
を器用に手の甲へ
捲
(
ま
)
き締めて
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「ただその様子を何げなしに見て来りゃあいいんだ。まご付いて
気取
(
けど
)
られるなよ」
半七捕物帳:13 弁天娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
断崖
(
だんがい
)
の上にある溝であり、地面の中に隠された
轍
(
わだち
)
であり、何物もそれと
気取
(
けど
)
らせる物のないその
凹路
(
おうろ
)
は、少しも目につかなかったのである、言い換えれば恐るべきものだったのである。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
忽
(
たちま
)
ち
気取
(
けど
)
られることもないとはいえんのであるが、同じ馳走をするのにも、新蕎麦を打ったからというて蕎麦を勧めるという事は無造作であって、しかも親しみのある馳走ぶりであって
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
プラスビイユと部下の刑事等は別段急いだ様子もなく、最後に室内をズッと見渡して、何等
気取
(
けど
)
られる様な痕跡のない事を確めた上悠々と引き上げた。ルパンの位置が困難になって来た。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
そっと遠回しに、
気取
(
けど
)
られないように聞くからね。イエスかノウか、それだけわかればいいんだもの。(間)もしノウだったら、もうここへは来て頂かないことにしましょうね。そうだわね。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
いなせに、腰低く、べらべらと並べ立てて近づく鳶の者、片手に、こぶしを固めて、いざと言わば、張り倒そうとしているのだが、気の上ずった、心の狂った長崎屋には、それが、
気取
(
けど
)
れない。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「やはり今宵も同じところに出ておるぞ。
気取
(
けど
)
られぬように致せよ」
老中の眼鏡
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
あらゆる
毛孔
(
けあな
)
が一時に息を吐いたやうだつた。明子はその秘密に
気取
(
けど
)
られるのを
嫌忌
(
けんき
)
するかの様にすばやく身を
飜
(
ひるがえ
)
して自動車のステップを踏んだ。女は熱く湿つた呼吸をボアの羽根毛に埋め込んだ。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
蘭堂はすぐ
様
(
さま
)
それを
気取
(
けど
)
って尋ねた。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
誰か庵寺の玄関に来ていることを
気取
(
けど
)
ったけれど、青嵐は承知しながら聞流しにしている。米友がかえって落着かない気持で
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ああ、それでよかった。うッかり先生が知らずに行ったりなどしたら、武蔵が
気取
(
けど
)
って、どんな先手を打つかもしれねえ」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
葉子はそれを
気取
(
けど
)
られまいと、しいて左の手を軽くあげて
鬢
(
びん
)
の毛をかき上げながら、コップを事務長のと打ち合わせたが
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
いなか者の三四郎にはてっきりそこと
気取
(
けど
)
ることはできなかったが、ただ読んだあとで、自分の心を探ってみてどこかに不満足があるように覚えた。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それとなくかまを掛けて聞きますと、確かに旦那様のようでございますから、
直
(
す
)
ぐとは存じましたが、ひょッと途中で蟠龍軒に
気取
(
けど
)
られるといかぬと思いまして
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
若旦那に
気取
(
けど
)
られぬように、出来るだけ顔を近付けて見ましたけれども、白い紙はやはり白い紙で、いくら眼をこすりましても、物が書いてある模様は見えません。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
落すにはそれ/″\自分が手に
入
(
い
)
つた方法を
択
(
えら
)
んで
差支
(
さしつかへ
)
ないが、
唯
(
たゞ
)
落すその一瞬間は鶏に
気取
(
けど
)
られぬ程の
微妙
(
デリケート
)
な
点
(
ところ
)
が無くてはならぬ。気取られたが最後肉の味はまづくなる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
知られてはならぬ、
気取
(
けど
)
られてはならぬというような
思
(
おもい
)
であるのに、まあ!
廂
(
ひさし
)
も、屋根も、居酒屋の
軒
(
のき
)
にかかった杉の葉も、百姓屋の
土間
(
どま
)
に
据
(
す
)
えてある
粉挽臼
(
こなひきうす
)
も、皆目を以て
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼は相手に
気取
(
けど
)
られまいと苦心しながら、ラスコーリニコフの方へ意地わるげな視線を投げ、いまいましい貧乏男が行ってしまって、自分の番の来るのをじれったそうに待っている。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「それは大丈夫だと思います。かたく申しつけてまいりましたから——あなた様をはじめ、一同道場にいるようにつくろって、よもや、源三郎一派に
気取
(
けど
)
られるようなことはあるまいと存じます」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「あなたのお内ではもう何か
気取
(
けど
)
つてゐるのですか。」
駆落
(新字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
人に
気取
(
けど
)
られようとする時は、何かに紛らかして、なにくわぬ
面
(
かお
)
をしている澄まし方などは、そのつもりで見れば驚くべき巧妙さであります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
といいながらすばやく目くばせすると、事務長はすぐ何かわけがあるのを
気取
(
けど
)
ったらしく、巧みに葉子にばつを合わせた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
といって、これから大がかりに、所司代やお目付が手を廻せば、向うで
気取
(
けど
)
ってしまうから、この探索は弦之丞様一人がいいという御方針になったらしい。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
突然この猫の皮を
剥
(
は
)
いでちゃんちゃんにしたらさぞあたたかでよかろうと飛んでもない
了見
(
りょうけん
)
をむらむらと起したのを即座に
気取
(
けど
)
って覚えずひやっとした事さえある。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
むささびか知らぬがきッきッといって屋の
棟
(
むね
)
へ、やがておよそ小山ほどあろうと
気取
(
けど
)
られるのが胸を
圧
(
お
)
すほどに
近
(
ちかづ
)
いて来て、牛が鳴いた、遠くの
彼方
(
かなた
)
からひたひたと
小刻
(
こきざみ
)
に
駈
(
か
)
けて来るのは
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ただ顔を見覚えておくために、眼の前に坐っている運転手の顔を、反射鏡で
気取
(
けど
)
られないように覗き込んだが、見れば見る程ガッシリした体格で、肩幅なぞは普通人の一倍半ぐらい
有
(
あ
)
りそうに見える。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
暗に乗じて、捕虜が逃走を企てたことは確実で、それを
気取
(
けど
)
った一同は、同じく暗の中を手さぐりで、捕虜を追いかけると同時に、この室を退散。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
邪魔の入ったのを
気取
(
けど
)
って女はそこに隠れていたのだ。嗅ぎ慣れた女の
臭
(
にお
)
いが鼻を襲ったと仁右衛門は思った。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
女は、すぐ
気取
(
けど
)
った。六助が近づかぬうちに、原を斜めに横ぎって、大名小路の方へ走り込んだ。六助も、途中から向きをかえ、何処までもと、追って行った。
柳生月影抄
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それはなるべく妹に自分の心を
気取
(
けど
)
られないためであった。眼の色を彼女に読まれないためであった。そうして現にその不自然な
所作
(
しょさ
)
から来る影響を受けていた。彼は何となく臆病な感じがした。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私のそんな気持の変化を
気取
(
けど
)
られよう筈がなかった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
取
常用漢字
小3
部首:⼜
8画
“気取”で始まる語句
気取屋