気力きりょく)” の例文
旧字:氣力
そうして、くるしそうないきづかいをしていました。口笛くちぶえきましても、ついてくる気力きりょくがもうボンにはなかったのであります。
おじいさんの家 (新字新仮名) / 小川未明(著)
壁を見詰めている彼の瞳の中に、なんだかこう新しい気力きりょくが浮んできたように見えた。壁に、どうしたものかたくさんの蠅が止まっている。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
と口をゆがめてぎしりをしたまま、早足の燕作は、こしを立てる気力きりょくもなく、なにかわけのわからないことをさけびつづけた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
でもそのときには、もう奥がたも気が遠くなって、死んだようになっていましたから、とても立ちあがって、兄弟きょうだいたちをむかえる気力きりょくはありませんでした。
青ひげ (新字新仮名) / シャルル・ペロー(著)
それは気力きりょくと、権力けんりょくにおける自信じしんとがりぬので。命令めいれい主張しゅちょう禁止きんし、こううことはすべかれには出来できぬ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しかしながらいまのこの人には、そんな内心ないしんにいくぶん自負じふしているというような、気力きりょくかげもとどめてはいない。きどってだまっていた、むかしのおもかげがただそのかたちばかりに残ってるのだ。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
気分きぶんがわるいの?」と、彼女かのじょは、こんどみみもとへくちちかづけて、いいました。けれど、小僧こぞうさんには、こたえるだけの気力きりょくがなかったのです。
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
学士は一人でコツコツと組立を急いでいたけれど、十一時になると、もう気力きりょくが無くなったと見え、ペンチを機械台の上にほうり出してしまった。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かれは、絶体絶命ぜったいぜつめいかんじた。数秒すうびょうのちに、自分じぶんからだが、いくしゃくたかいところから地上ちじょう落下らっかして粉砕ふんさいするのだと意識いしきするや、不思議ふしぎにも、気力きりょくがった。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼らは、失敗してこっちへ戻ってくるともうすっかり気力きりょくがなくなってね、そのうえにあの世界でいろいろな邪悪あくまって、それを洗いおとすために、それはそれはひどい苦しみをくりかえすのだ。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かれらは、やがてとしをとり、気力きりょくがなくなり、永久えいきゅうにふるさとを見捨みすてなければならないのでした。
砂漠の町とサフラン酒 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうちにボンは、しだいに気力きりょくおとろえてゆきました。正雄まさおや、ねえさんがそのびましたけれど、しまいには、まったくそのこえがボンにはこえないようになりました。
おじいさんの家 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、いかにやさしい、信仰深しんこうぶかいおかあさんでも、つかれれば、しぜんと眠気ねむけもよおし、ねむることによって、気力きりょく回復かいふくする、わかい、健康けんこう肉体にくたいぬしたることにわりはありません。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かみさまからもらった、あしにしかたよらないからだ。気力きりょくのない人間にんげんだけがあしちながら、はたらくのをわすれて、はじらずにも、あたまばかりげて、おめぐみにあずかろうとする。
きつねをおがんだ人たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろうは、これをると、きっとどこかで、わしかなにものかとたたかってきずけてきたにちがいない、そうして、ここまでんできて、ついに気力きりょくうしなってちたのだとおもいましたから、かれ
薬売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
からすは、ようようのことで、いのちたすかりましたけれど、つばさきずついて、からだは、うえとさむさのために、綿わたのようにつかれて、えだにしっかりまっているだけの気力きりょくもなくなってしまいました。
一本のかきの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちいさなもののみみは、たしかだ。ほんとうに、子供こどもたちのいうとおり、このオルガンは、愉快ゆかいがしない。こわれているからだ。しかしおれには、もう、それをあたらしくつくるだけの気力きりょくがなくなった。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「それだから、気力きりょくも、勇気ゆうきもなかったのだ。」
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)