トップ
>
母娘
>
おやこ
ふりがな文庫
“
母娘
(
おやこ
)” の例文
雪乃
母娘
(
おやこ
)
は手みやげに持って来た
浙江
(
せっこう
)
まんじゅうを、剣持与平から老公へ披露ねがって、やがて惣左とともに、さきへ帰って行った。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ああ見えていて、狂気だそうだ。娘はまた、生まれつきの馬鹿で、
母娘
(
おやこ
)
そろってあのありさまとは、なんとも哀れなものじゃのう」
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
桑原の一族では、特にみそのの
母娘
(
おやこ
)
が容貌の点でも評判が悪かつた。新吉は、母と小園を思ひ比べると途方もない憂鬱に襲はれた。
淡雪
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
別荘には、留守番をする
母娘
(
おやこ
)
の女中がいた。大月氏の慌しい電話を受けて、最初に深い眠りから
醒
(
さま
)
されたのは母の方のキヨだった。
白妖
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
自分の家へ無理に
母娘
(
おやこ
)
を連れて来た綾麿は、
厭
(
いや
)
がる二人を、天狗長兵衛
彫
(
きぎ
)
むところの観音像の前に並べて、こう口を切るのでした。
奇談クラブ〔戦後版〕:07 観音様の頬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
その頃おい、この
母娘
(
おやこ
)
のように、武士の家庭のものが
生計
(
たずき
)
のために職を求め、いろいろおかしい話、気の毒なはなしなど数々ありました。
幕末維新懐古談:20 遊芸には縁のなかったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
と
母娘
(
おやこ
)
して笑った。おしょさんの
家
(
うち
)
の
軒燈
(
けんとう
)
には
山崎
(
やまざき
)
としてあるが、両国の並び茶屋の名も「山崎」だったと坊さんのおばあさんがいった。
旧聞日本橋:18 神田附木店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ミミ
母娘
(
おやこ
)
美容院では、パーマネント・ウェーブの電流が
蜘蛛
(
くも
)
の手のように空中にひらいて小柄なスイス公使夫人の黒い髪に巻きついていた。
スポールティフな娼婦
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
と
後
(
あと
)
じさりに、——いま
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
く
櫛卷
(
くしまき
)
と、
島田
(
しまだ
)
の
母娘
(
おやこ
)
を
呼留
(
よびと
)
めながら、
翁
(
おきな
)
の
行者
(
ぎやうじや
)
が
擦違
(
すれちが
)
ひに、しやんとして、
逆
(
ぎやく
)
に
戻
(
もど
)
つて
來
(
き
)
た。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
時節柄、外国人の顔はあまり見えず、三階の南側のバルコンのついた部屋に
母娘
(
おやこ
)
のフランス人がひと組だけ滞在している。
キャラコさん:01 社交室
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ロシヤ人の
母娘
(
おやこ
)
三人、あのおしやべりの母娘三人が、昨夜から姿を消した。宿料が二月分たまつてゐると給仕長の告げ口。
チロルの旅
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
どうやら
母娘
(
おやこ
)
らしい。その後ろについて、その女の連れらしい一人の男が彼の前を通った。教会から出て来ると、彼はその人たちにお辞儀をした。
親ごころ
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
母娘
(
おやこ
)
はいっしょに湯に
浸
(
つか
)
ったり、香りたかい草木の芽をあしらった
鄙
(
ひな
)
びた午食をたべたりしたのち、まだ珍らしい
山独活
(
やまうど
)
をみやげに屋敷へ帰った。
日本婦道記:糸車
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
『
母娘
(
おやこ
)
の高慢ちきなお引きずり』が、法事の席に連なった場合に、二人をぐうの音も出ないようにやっつけて、カチェリーナが非常に素質のいい
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
けれど、残つてゐるのは果して自分たち
母娘
(
おやこ
)
だけだらうか。大ちがひだ。現にあの丹塗りの籠のなかには、ああして鸚鵡がとまつてゐるではないか。
春泥:『白鳳』第一部
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
私の隣りのテエブルの
母娘
(
おやこ
)
づれらしい方は、ふたりとも昨日と同じの黒い衣服をつけて、若い女の方は相変らず綺麗に化粧をしていたが、もう一方の
旅の絵
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
老父は彼女が来てからはよく小さい孫と二人づれで出て行つた。家ではさうした間こそ老母と彼女とがいろ/\
母娘
(
おやこ
)
らしい話をするに都合よい時間だつた。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
昔或る処に貧乏な
母娘
(
おやこ
)
がありました、お父様は早くになくなつて今はお母様と娘のお玉と二人
切
(
きり
)
でしたが
何
(
なに
)
しろ貧乏なので
其日其日
(
そのひそのひ
)
の喰べるものもありません
金銀の衣裳
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
母娘
(
おやこ
)
は、池ノ端数寄屋町の、ちょうど、造作が入ったばかりの小店を借り受けて、荒物屋をはじめた。
痀女抄録
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
今上野駅から出て来たらしい東北出と思われる
母娘
(
おやこ
)
連れがめいめいに大きなふろしき包みをかかえて、今や車道を横切ろうとしてあたりを見回しているところであった。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
母娘
(
おやこ
)
は
顏
(
かほ
)
をみあはせましたが、
寂
(
さび
)
しさうにその
何方
(
どちら
)
からも
何
(
なん
)
とも
言
(
ゆ
)
はず、そして
※
(
かな/\
)
のうしろ
姿
(
すがた
)
がすつかり
見
(
み
)
えなくなると、またせつせと
側目
(
わきめ
)
もふらずに
織
(
を
)
り
出
(
だ
)
しました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
と、無礼の詞も慾故には、許す
母娘
(
おやこ
)
がにこにこ顔。おさうさう様といふ声も、いつになき別誂へ。小女までも心得て、直す雪駄のちやらちやらと。揃ひも揃ひし馬鹿者めと。
誰が罪
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
父親はマリーの幼いときに世を去り、そのときから、この物語の主題となっている殺害事件の十八カ月ほど前まで、
母娘
(
おやこ
)
はパヴェ・サン・タンドレ街(原注二)に一緒に住んでいた。
マリー・ロジェエの怪事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
あとに残った子供たちに呼び立てられて、
母娘
(
おやこ
)
は寂しい影を夜の雨に
没
(
ぼっ
)
して去った。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
私は六十八番と云う大きな木札を貰って、女中に
母娘
(
おやこ
)
連れの横へ連れられて行った。
貸家探し
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
殊にこの朝は、荒涼たる天候の故か、夫人は妙に感傷的な気持ちになっていて、国道まで出ても、娘の手を放したくなかった。固く握り合った儘、
母娘
(
おやこ
)
は、また一町ほど町の方へ歩いた。
双面獣
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
私は
或
(
あ
)
る探偵小説に親子兄弟などと云うものは真向から見て似た分子がないようでも、横顔を見ると共通した所があると書いてあるのを読んで、それ以来電車の中などで
母娘
(
おやこ
)
らしい二人連や
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
ま、
敗
(
はい
)
殘の人さな。俺の
阿母
(
おふくろ
)
も然うだツたが、
當
(
こ
)
家の
母娘
(
おやこ
)
だツて然うよ。昔は何うの此うのと蟲の好い熱を吹いてゐるうちに、文明の皮を被てゐる田舎者に
征服
(
せいふく
)
されて、體も心も腐らして了ふんだ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
私たち
母娘
(
おやこ
)
の生活を気安くさせていたのでございましょう。
両面競牡丹
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
藻の花や
母娘
(
おやこ
)
が乗りし
沼渡舟
(
ぬまわたし
)
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
母娘
(
おやこ
)
は、顔を見合せた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
それを
恃
(
たの
)
みに、かの女は帰ったらしいが、
母娘
(
おやこ
)
のものを門外まで送りに行った与平が、あとで老公のそばにもどると、そっと告げた。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
口のきけない者だから、秘密のもれる恐れは断じてなかろう……というので、選ばれてこの
母娘
(
おやこ
)
の世話をすることになったのだが。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
多勢の野次馬は、このとき
漸
(
ようや
)
く気がついたように、
母娘
(
おやこ
)
二人に手を貸して、死骸をあまり遠くないお楽の茶店に
担
(
かつ
)
ぎ込みました。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
隣家は津田という小児科の医者、その隣りが
舟大工
(
ふなだいく
)
、その隣りが
空屋
(
あきや
)
であったが、近頃其所へ越して来た
母娘
(
おやこ
)
の人があった。
幕末維新懐古談:20 遊芸には縁のなかったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
一体その娘の家は、
母娘
(
おやこ
)
二人、どっちの乳母か、
媼
(
ばあ
)
さんが一人、と
母子
(
おやこ
)
だけのしもた屋で、しかし立派な
住居
(
すまい
)
でした。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わたしは『あの夫人
母娘
(
おやこ
)
を招待したが、夫人たちは来なかった、だってあの
母娘
(
おやこ
)
は素性の正しい人たちなので、素性の卑しい女のところへは来られないのだ』
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
皇太子はお玉
母娘
(
おやこ
)
を先立てゝやがて
此家
(
このうち
)
に
這入
(
はひ
)
りまして眼の前の不思議に感心をしました、
左様
(
さう
)
して
此
(
この
)
娘が大きくなつたらば自分の
后
(
きさき
)
に貰ひたいと望みました。
金銀の衣裳
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
私達がどんなに仲の悪い
母娘
(
おやこ
)
であるかと云う事をいくら云って聞かせてみてもこの人達にはそんな事は到底信ぜられないだろう。……そのときふとこういう気が私にされてきた。
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
蟲
(
むし
)
の
中
(
なか
)
でもばつたは
賢
(
かしこ
)
い
蟲
(
むし
)
でした。この
頃
(
ごろ
)
は、
日
(
ひ
)
がな一
日
(
にち
)
月
(
つき
)
のよい
晩
(
ばん
)
などは、その
月
(
つき
)
や
星
(
ほし
)
のひかりをたよりに
夜露
(
よつゆ
)
のとつぷりをりる
夜闌
(
よふけ
)
まで、
母娘
(
おやこ
)
でせつせと
機
(
はた
)
を
織
(
を
)
つてゐました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
跡に殘つた子供達に呼び立てられて、
母娘
(
おやこ
)
は淋しい影を夜の雨に沒して去つた。
水害雑録
(旧字旧仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
母娘
(
おやこ
)
の話は其所で
何故
(
なぜ
)
かとぎれた。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
母娘
(
おやこ
)
喧嘩も、「父」のこと以外ではした
例
(
ためし
)
はない。どんな仲間の悪党たちでも、お袖がお燕を愛する深さとやさしさには、見る者をして
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの
鹿沼新田
(
かぬましんでん
)
の関所で捕まったとき、
母娘
(
おやこ
)
かということを、あんなに念をいれてきいたのも、さては、母と娘の人柱が必要であったのだ!
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「松永町へ門跡様の裏から越して来た、中気病みの三次郎と、この町内の、しかも路地の外へ上州から出て来なすった、
母娘
(
おやこ
)
者のお通さん」
銭形平次捕物控:036 八人芸の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
蔵屋の
門
(
かど
)
の戸が
閉
(
しま
)
つて、山が月ばかり、
真蒼
(
まっさお
)
に成つた時、此の鍵屋の
母娘
(
おやこ
)
が帰つた。例の
小女
(
こおんな
)
は其の娘で。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
だいたいあの
母娘
(
おやこ
)
なんか、わたしの父だったら、台所の料理女にだって雇うことじゃありません。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
あら浪の浮き世に取りのこされた
母娘
(
おやこ
)
ふたり。涙にひたることも長くはゆるされなかった。明日からの
生計
(
くらし
)
の
途
(
みち
)
が眼のまえにせまっている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
初心
(
うぶ
)
な若旦那が、何かに
憑
(
つ
)
かれたようなものだ。反対にわずか一ト月ほどの間に、水を得た魚とも見えたのは
閻
(
えん
)
の
母娘
(
おやこ
)
である。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
多勢の彌次馬は、此時
漸
(
やうや
)
く氣がついたやうに、
母娘
(
おやこ
)
二人に手を貸して、死骸をあまり遠くないお樂の茶店に
擔
(
かつ
)
ぎ込みました。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“母娘”の意味
《名詞》
母娘(ぼじょう、ぼにょう、俗:おやこ、ははこ)
母と娘のこと。またはその関係。
(出典:Wiktionary)
母
常用漢字
小2
部首:⽏
5画
娘
常用漢字
中学
部首:⼥
10画
“母娘”で始まる語句
母娘旅
母娘連