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ふりがな文庫
“
栖
(
す
)” の例文
老い衰えて安楽に隠れ
栖
(
す
)
むつもりのない彼は、寂しく、悲しく、血のわく思いで、ただただ黙然とおのれら一族の運命に対していた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
見れば、夜鴉の
栖
(
す
)
を根から海へ
蹴落
(
けおと
)
す役目があるわ。日の永い国へ渡ったら主の顔色が善くなろうと思うての親切からじゃ。ワハハハハ
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
野干我が忠告を容れねば必ず兇事に遭わん獅
栖
(
す
)
より出て伸し欠し四方を見廻し三たび吼えて後汝の前に来り殺意を起すべしという
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
一旦
(
ひとたび
)
一四四
樹神
(
こだま
)
などいふおそろしき
鬼
(
もの
)
の
栖
(
す
)
む所となりたりしを、
稚
(
わか
)
き
女子
(
をんなご
)
の
一四五
矢武
(
やたけ
)
におはするぞ、
一四六
老が物見たる中のあはれなりし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
我宗徒のこの神聖なる羅馬の市の一廓に
栖
(
す
)
まんことをば、今一とせ許させ給へ。歳に一たびは
加特力
(
カトリコオ
)
の
御寺
(
みてら
)
に詣でゝ、尊き説法を承り候はん。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
かきあつめむすぶうき
栖
(
す
)
の。風吹けば風にゆられ。波立てば波にゆられて。しまらくも安からなくに。そこにして
卵子
(
かひこ
)
は生りぬ。あはれその栖を。
長塚節歌集:1 上
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
山門の
交衆
(
きょうしゅ
)
をのがれて林泉のうちに幽かに
栖
(
す
)
んでいることは静かに仏道を修し、偏に仏道を行せんがためでございます。
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「天狗の湯」はその名の如く、むかし天狗が
栖
(
す
)
んでいたところなのでしょう、とても
幽邃
(
ゆうすい
)
の境地だというのです。
山の湯の旅:――発甫温泉のおもいで――
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
そのころ
流沙河
(
りゅうさが
)
の河底に
栖
(
す
)
んでおった
妖怪
(
ばけもの
)
の総数およそ一万三千、なかで、
渠
(
かれ
)
ばかり心弱きはなかった。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
二十三日、
家
(
いえ
)
のあるじに
伴
(
ともな
)
われて、牛の牢という
渓間
(
たにま
)
にゆく。げに
此
(
この
)
流
(
ながれ
)
には
魚
(
うお
)
栖
(
す
)
まずというもことわりなり。水の
触
(
ふ
)
るる所、
砂石
(
しゃせき
)
皆赤く、
苔
(
こけ
)
などは少しも生ぜず。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
例えば家の背後に童子が
栖
(
す
)
んだという岩屋、それは崩れてその跡に清き泉
湧
(
わ
)
き、流の末には十坪ばかりの空地あって、童子出生の地と称して永く耕作をさせなかった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
支那の伝説に
鴇
(
ホウ
)
といふ妖鳥がある。この妖鳥は雌のみで、雄がないと伝へられてゐる。生来多淫で衆鳥と交ることを求めるので、鴇の
栖
(
す
)
む山には他に鳥影がないといふ。
盗まれた手紙の話
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
先頃からそれがしもつらつら思うに、
枳棘叢中
(
ききょくそうちゅう
)
鸞鳳
(
らんほう
)
の
栖
(
す
)
む所に非ず——と昔からいいます。
棘
(
いばら
)
や
枳
(
からたち
)
のようなトゲの木の中には良い
鳳
(
とり
)
は自然栖んでいない——というのです。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「女房のふところには鬼が
栖
(
す
)
むか
蛇
(
じゃ
)
が栖むか」と云う文句を聞くと、それがいかにも性慾的にかけ離れてしまった
女夫
(
めおと
)
の秘事を
婉曲
(
えんきょく
)
ながら適切に現わしているのに気づいて
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
人々山に
栖
(
す
)
んで往来し、山に
蹤跡
(
あしあと
)
が多かったがために、ヤマトと云うのだとか、大和には太古草昧の世、未だ屋舎あらず、人民ただ山に拠っていたが故に、ヤマトと云うなどと説明しているが
国号の由来
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
鶏頭はまた素朴な花で、隠れ
栖
(
す
)
む庭の隅などに咲くべきであらう。
秋草と虫の音
(新字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
夜はふけぬねむりまどけき土間の
栖
(
す
)
に何鶏の
面
(
かほ
)
か白う浮き居る
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
口寄巫女
(
くちよせみこ
)
が
栖
(
す
)
む
洞穴
(
ほらあな
)
の
惡事
(
まがごと
)
をなすべき身なるに
エロディヤッド
(旧字旧仮名)
/
ステファヌ・マラルメ
(著)
栖
(
す
)
み慣れし軒端がもとに、
休
(
いこ
)
ひゐる
賤
(
しづ
)
が
翁
(
おきな
)
を
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
西の京にばけもの
栖
(
す
)
みて久しく
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
繕ひし垣根めぐらし隠れ
栖
(
す
)
む
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
人は云ふ
鳳
(
ほう
)
枳
(
からたち
)
に
栖
(
す
)
むと
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
わが
家
(
いへ
)
の天井に
鼠
(
ねずみ
)
栖
(
す
)
めり
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
カンボジア人言うは虎
栖
(
す
)
より出る時、何気なく尾が廻る、その
尖
(
さき
)
を見て向う所を占う(アイモニエー『
柬埔寨人風俗迷信記
(
ノート・シユル・レ・クーツーム・エ・クロヤンス・スペルスチシヨース・デ・カンボジヤン
)
』)。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
おのれは
俸禄
(
ほうろく
)
に飽きたりながら、
兄弟
(
はらから
)
一属
(
やから
)
をはじめ、
六七
祖
(
みおや
)
より久しくつかふるものの貧しきをすくふ
事
(
わざ
)
をもせず、となりに
栖
(
す
)
みつる人のいきほひをうしなひ
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
そのさま
恰
(
あたか
)
も未だ巨人島にわたらぬガリワルの如く、また未だガリワルを見ざる「リリピユウシヤン」の如く、
豕
(
ゐのこ
)
を抱いて臭きことを忘れ、古井の底に
栖
(
す
)
みて天を
窺
(
うかゞ
)
ふ。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ネズミという日本語の語原を、根の国に
栖
(
す
)
む者の義ならんと説いたのは、新井白石先生が始めのようにいうが、簡単な思いつきだから、前にもそう解した人が無いとは限らぬ。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
いかに行く先々で
愚弄
(
ぐろう
)
され
哂
(
わら
)
われようと、とにかく一応、この河の底に
栖
(
す
)
むあらゆる
賢人
(
けんじん
)
、あらゆる医者、あらゆる
占星師
(
せんせいし
)
に親しく会って、自分に
納得
(
なっとく
)
のいくまで、教えを
乞
(
こ
)
おう
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
まことに宜給ふ如し。されどそを憂へずして、彼家々に
栖
(
す
)
める人の笑ひ樂みて日を送れるこそ神の惠ならめ。神は
憫
(
あはれ
)
むべき人類のために、おそろしき地下のさまを掩ひ隱し給ふとおぼし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
なるほど、水の流れ、山のたたずまい、さも
落人
(
おちうど
)
の
栖
(
す
)
みそうな地相である。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
土間の
栖
(
す
)
も夕寒むからしまだいねで
層
(
かさ
)
みおぼめくうつつ
家禽
(
いへとり
)
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
栖
(
す
)
み慣れし軒端がもとに、
休
(
いこ
)
ひゐる
賤
(
しづ
)
が
翁
(
おきな
)
を
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
我は
鼠
(
ねずみ
)
と共に
栖
(
す
)
めるなり
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
現に紀州では神社
合祀
(
ごうし
)
を濫行し神林を伐り尽くして有益鳥類
栖
(
す
)
を失い、ために害虫
夥
(
おびただ
)
しく田畑に
衍
(
はびこ
)
り、霞網などを大枚出して買い入れ雀を捕えしむるに、一
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
流石
(
さすが
)
に信濃の国なれば、鮒をかしらにはあらざりけり、
屋背
(
うしろ
)
の渓川は魚
栖
(
す
)
まず、ところのものは
明礬
(
めんばん
)
多ければなりという。いわなの居る河は鳳山亭より左に下りたる処なり。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
時
(
をり
)
々あの家にゆきて、
亡
(
う
)
せ給ふ人の
一三五
菩提
(
ぼだい
)
を
弔
(
とぶら
)
はせ給ふなり。此の翁こそ月日をもしらせ給ふべしといふ。勝四郎いふ。さては其の翁の
栖
(
す
)
み給ふ家は
何方
(
いづべ
)
にて侍るや。
主
(
あるじ
)
いふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
鶏
(
とり
)
の
栖
(
す
)
のくらき梯子にのぼりて寝て七面鳥は下寒むからむ
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
鬼が
栖
(
す
)
む國。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
広大な沙漠に人
栖
(
す
)
む天幕を尋ね当て、曠野に混雑する音響を聞き分けて、敵寇の近づくを知り、終日飲食せず
息
(
やす
)
まず走りて主人を厄より脱し、旅を果さしむるからだ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
唯彼猿はそのむかしを
忘
(
わす
)
れずして、猶亜米利加の山に
栖
(
す
)
める妻の
許
(
もと
)
へふみおくりしなどいと
殊勝
(
しゅしょう
)
に見ゆる
節
(
ふし
)
もありしが、この男はおなじ
郷
(
さと
)
の人をも
夷
(
えびす
)
の如くいいなして
嘲
(
あざけ
)
るぞかたはら
痛
(
いた
)
き。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
鬼が
栖
(
す
)
む国。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
島はよしやつらい所でも、鬼の
栖
(
す
)
む所ではございますまい。わたくしはこれまで、どこと云つて自分のゐて好い所と云ふものがございませんでした。こん度お上で島にゐろと仰やつて下さいます。
高瀬舟
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
栖
漢検準1級
部首:⽊
10画
“栖”を含む語句
国栖
小栗栖
栗栖
隠栖
鳥栖
鷺栖
栖処
来栖
深栖
国栖人
有栖川職仁親王
栖鳳
栖家
本栖
有栖川宮
本栖湖
栖息
息栖
有栖川
栖所
...