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曲輪
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くるわ
ふりがな文庫
“
曲輪
(
くるわ
)” の例文
「つべこべ申すな! ここは
曲輪
(
くるわ
)
でない。そのように世辞使わなくともよいわ。——相尋ぬることがある。偽り言うては相成らんぞ」
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ただし姫路の町は敵の放火をうけておるが、姫山の
曲輪
(
くるわ
)
は、小なりといえびくともせぬ、必ず案じるなかれと、書面での父のことば。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
古人が
曲輪
(
くるわ
)
の内より取り合わせるか、外よりするかということを問題にしているのはやはりここの問題に関したものであると思われる。
俳諧の本質的概論
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
信州伊那郡高遠の城下、三の
曲輪
(
くるわ
)
町の中ほどに、天野北山の邸があったが、ある日、北山とその弟子の、前田一学とが話し合っていた。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
讓
(
ゆづ
)
りしとぞ
爰
(
こゝ
)
に又丁山と小夜衣の兩人は
程
(
ほど
)
なく
曲輪
(
くるわ
)
を出てたり姉の丁山二世と
言替
(
いひかは
)
せし
遠山
(
とほやま
)
勘
(
かん
)
十郎と云し人も病死なせしかば其跡を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
「島原の
廓
(
くるわ
)
、今は衰へて、
曲輪
(
くるわ
)
の土塀など傾き倒れ、
揚屋町
(
あげやまち
)
の外は、家も
巷
(
ちまた
)
も甚だ汚なし。太夫の顔色、万事祇園に劣れり」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
御文庫は松の丸と呼ばれる二の
曲輪
(
くるわ
)
にあって、そこからは少しまわらなければならないが、大手や
乾
(
いぬい
)
門のように知友に会う心配は殆んどなかった。
はたし状
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
東軍は秀頼の籠る山里
曲輪
(
くるわ
)
を目がけて砲撃したから、翌五月八日、遂に秀頼淀君と共に自刃し、治長、
速水
(
はやみ
)
守久、毛利勝永、大蔵卿等之に殉じた。
大阪夏之陣
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それは田圃の近道をば
田面
(
たのも
)
の風と蓮の花の薫りとに見残した
昨夜
(
ゆうべ
)
の夢を
託
(
たく
)
しつつ
曲輪
(
くるわ
)
からの
帰途
(
かえり
)
を急ぐ人たちであろう。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「わたしがこの
曲輪
(
くるわ
)
ばかりに押し籠められて、世間へ出られないのをいいことにして、何とでもうそは云へる、さ。」
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
香以の履歴は
主
(
おも
)
に資料を仮名垣魯文の「再来紀文廓花街」に仰いだ。今紀文
曲輪
(
くるわ
)
の花道と
訓
(
よ
)
むのだそうである。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
あなたのいどころを捜すので、お
曲輪
(
くるわ
)
中の大部屋をきいてまわりましたよ。……脇坂の部屋へ行きゃ榎坂へ行った。……榎坂へ行きゃ、土井さまの部屋へ行った。
顎十郎捕物帳:07 紙凧
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ひろい
小谷
(
おだに
)
の地を三分して、一
劃
(
かく
)
ごとに一城を築き、長政はその三の
曲輪
(
くるわ
)
にたて
籠
(
こも
)
っていた。小谷城とは、三城あわせた総称である。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こういうところへ来ると、三年
曲輪
(
くるわ
)
の水でみがきあげた
灰汁
(
あく
)
の抜けた美しさが、ひとしお化粧栄えがして、梅甫の鼻もまた自然と高い……。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
一の
曲輪
(
くるわ
)
と二の曲輪のその中間に宝蔵があったがそこまで行くと行列は粛々として立ち止まった。信玄自身鍵を取ってギーと宝蔵を開けたのである。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
三の
曲輪
(
くるわ
)
へゆく乾門の通りから北へはいり、屋敷町のいちばん端に当っている——表からはいると、塀に沿ってすぐ右に、侍長屋のような建物がある。
契りきぬ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
曲輪
(
くるわ
)
に溢れ、寄手の軍勢から一際鋭角を作って、大坂城の中へ
楔
(
くさび
)
のごとく食い入って行くのを見ると、他愛もない児童のように
鞍壺
(
くらつぼ
)
に躍り上って
欣
(
よろこ
)
んだ。
忠直卿行状記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
きょうの夕刻、お
曲輪
(
くるわ
)
にちかい四谷見附附近で、なんとも
解
(
げ
)
しかねるような奇異な事件が起った。
顎十郎捕物帳:11 御代参の乗物
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
江戸のむかし、吉原の
曲輪
(
くるわ
)
がその全盛の面影を留めたのは山東京伝の著作と浮世絵とであつた。
里の今昔
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
これは東栄が
所謂
(
いわゆる
)
性悪
(
しょうわる
)
をして、新造花川に
負
(
そむ
)
いたために、
曲輪
(
くるわ
)
の法で
眉
(
まゆ
)
を
剃
(
そ
)
り落されそうになっているところである。
鴫蔵
(
しぎぞう
)
竹助の
妓夫
(
ぎふ
)
が東栄を引き立てて
暖簾
(
のれん
)
の奥に入る。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
重
(
かさ
)
ね夫婦の語らひ迄約せし上は貴殿とても一方ならぬ御中なりと
詞
(
ことば
)
の
端
(
はし
)
に長庵が
曲輪
(
くるわ
)
の樣子
具
(
つぶ
)
さに
噺
(
はな
)
し又此程は絶て遠ざかられし故小夜衣は
明暮
(
あけくれ
)
思ひ
煩
(
わづら
)
ひて
歎息
(
かこち
)
恨
(
うら
)
みし事などを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
渠等の人生は
曲輪
(
くるわ
)
の中に限られてゐて、そこを離れたものはすべて死でもあらう、虚無でもあらう。ただ男を自分のそばに引きつけてゐる間が、その商賣でもあり、生活でもあり、生命でもある。
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
そこは、他国の使臣や、諸方に放ってある
諜者
(
ちょうじゃ
)
などが、よく迎えられるところで、本丸やこの
曲輪
(
くるわ
)
とも絶縁された一
秘閣
(
ひかく
)
であった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こちらの弥太一様がわたしを名ざしでお越しなはってな、お前はこの
曲輪
(
くるわ
)
で観音太夫と仇名されている程の観音ずきじゃ。
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
金沢城二の
曲輪
(
くるわ
)
に設けられた新しい楽殿では、城主前田侯をはじめ重臣たち臨席のもとに、嘉例の演能を終って、すでに、鼓くらべが数番も進んでいた。
鼓くらべ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
何しろ、お
曲輪
(
くるわ
)
も近い。年一度の天下祭が不浄の血で
穢
(
けが
)
れたとあっては、まことに以て恐れ多い。なかんずく、年番御役一統の
恐悚
(
きょうしょう
)
ぶりときたらなんと譬えようもない。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
江戸のむかし、吉原の
曲輪
(
くるわ
)
がその全盛の面影を
留
(
とど
)
めたのは
山東京伝
(
さんとうきょうでん
)
の著作と浮世絵とであった。
里の今昔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
要害といえばこれだけで
区内
(
なか
)
に三つの
曲輪
(
くるわ
)
があって、東曲輪、西曲輪、中曲輪と称されていた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お安に渡し是から道も
廣
(
ひろ
)
ければ先へ立てと入替り最お屋敷も
終
(
つひ
)
其處
(
そこ
)
だと二足三足
遣
(
や
)
り
過
(
すご
)
す折柄聞ゆる
曲輪
(
くるわ
)
の
絲竹
(
いとたけ
)
彼の芳兵衞の長吉殺し
野中
(
のなか
)
の井戸にあらねども此處は名に
負
(
お
)
ふ
反圃中
(
たんぼなか
)
三次は
裾
(
すそ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
何せい
彼方
(
かなた
)
の
曲輪
(
くるわ
)
は
女子
(
おなご
)
のみでございますゆえ、こことは違い、泣き惑うてはただうろうろ、どう
宥
(
なだ
)
めても、悲嘆してやみませぬ。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
控えい!
曲輪
(
くるわ
)
遊びは金より気ッ腑が
資本
(
もとで
)
の筈じゃ。金も必要とあらば、江戸より千二百石、船で運んでとらすわ。
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
そこは広瀬川が大きく曲りこんで来る
断崖
(
だんがい
)
の上で、対岸に、川へ突き出た丘陵があり、それを越して向うに、青葉城の
曲輪
(
くるわ
)
の一部と、本丸天守閣を眺めることができた。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
追手
(
おって
)
に
捕
(
つか
)
まって元の
曲輪
(
くるわ
)
へ送り戻されれば、
煙管
(
キセル
)
の
折檻
(
せっかん
)
に、またしても毎夜の憂きつとめ。死ぬといい消えるというが、この世の中にこの女の望み得べき幸福の絶頂なのである。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
北の一
曲輪
(
くるわ
)
にある老母すら、報を聞くと、うれしさに落着かない
容子
(
ようす
)
なのである。ましてや寧子は、思いの
溢
(
あふ
)
れを、どう包もう。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「打ち見たところ大分のっぺりと致しておるが、その風体では無論のことに
曲輪
(
くるわ
)
の模様よく存じておろうな」
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
弘田の屋敷は黒門外といって、城の
外濠
(
そとぼり
)
に面していた。門の外の濠端道に立つと、左のほうに菅生
曲輪
(
くるわ
)
、右に備前曲輪、そして菅生曲輪の向うに本丸の天守閣が眺められた。
みずぐるま
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
堤を
下
(
おり
)
ると左側には
曲輪
(
くるわ
)
の側面、また非常門の見えたりする横町が幾筋もあって、車夫や
廓者
(
くるわもの
)
などの住んでいた長屋のつづいていた光景は、『たけくらべ』に描かれた
大音寺前
(
だいおんじまえ
)
の通りと変りがない。
里の今昔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
道をちがえて、続々と引揚げて来た各部隊は、大手、中門のあたり、二の
曲輪
(
くるわ
)
から、御本丸の広場にまで、満ち満ちていた。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見覚えるともなく見覚えておいた
曲輪
(
くるわ
)
五町街の、往来途上なぞでよく目にかけた太夫
花魁
(
おいらん
)
共の紋提灯です。
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「そのくらいのことを知らずに、この私が
曲輪
(
くるわ
)
へいったと思うのかね、とんでもない、妓は本当に知らないんだ、ねえ、そうでしょう原田さん、
貴方
(
あなた
)
はそれを御存じの筈だ」
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
生信房は、彼自身さえ、ともすると煙に巻かれそうになったが必死になって、その一人一人を、
曲輪
(
くるわ
)
の外へ、かかえ出した。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さ、行けッ。行けッ。今そち達が行って帰ったばかりの
曲輪
(
くるわ
)
へ参るのじゃ、威勢よく飛んで行けッ」
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
八月中旬の
或
(
あ
)
る日、城へあがった通胤は、二の
曲輪
(
くるわ
)
で思いがけぬ人に呼びとめられた。
城を守る者
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と、異様な昂奮をみせていたが、たちまち楠木
正季
(
まさすえ
)
と二、三の将が、坂道を駈けくだって、正成のいる三の
曲輪
(
くるわ
)
の方へと
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「退屈男のわしにはつがもねえ月じゃ。では、まだ少し早いが、ひと廻り
曲輪
(
くるわ
)
廻りをやって来るか」
旗本退屈男:02 第二話 続旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
かれらは四方から取巻いたまま、壕端を三の
曲輪
(
くるわ
)
のほうへ向っていった。
いさましい話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
御着
(
ごちゃく
)
の本城を防ぐための一支城であったに過ぎず、その
壕塁
(
ごうるい
)
も
曲輪
(
くるわ
)
造りも極めて簡単な構築で、樹木の多い丘の上に
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何はともあれ江戸へ帰ったとあらばな、ほかのところはともかく、
曲輪
(
くるわ
)
五丁町だけへは挨拶せぬと、眉間傷もおむずかり遊ばすと言うものじゃ。——菊! 別れるぞ。
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
曲輪
(
くるわ
)
うちにある兵庫の屋敷は庭もひろく樹立も
鬱蒼
(
うっそう
)
としていて、源七郎の通された客間からはその黒ずんだ緑の
梢
(
こずえ
)
ごしに城の天守がよく見えた、そのとき
昏
(
く
)
れてゆく残照をあびたその天守の屋根に
青竹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
山の五合目
虚無僧壇
(
こむそうだん
)
とよぶところ、
暗緑色
(
あんりょくしょく
)
の
峡
(
かい
)
を
隔
(
へだ
)
てた向こうと、
丸石
(
まるいし
)
を
畳
(
たた
)
みあげた
砦
(
とりで
)
の
石垣
(
いしがき
)
、
黒木
(
くろき
)
をくんだ
曲輪
(
くるわ
)
の
建物
(
たてもの
)
らしいのがチラリと見える。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“曲輪”の解説
曲輪(くるわ)とは、城の内外を土塁、石垣、堀などで区画した区域の名称である。郭(くるわ)とも書く。
主要な曲輪内には、曲輪の出入り口である虎口を封鎖する門を始め、最前線の塀、物見や攻撃を与える櫓が建てられる。主郭では司令本部となる城主の居所のほか、兵糧を備蓄する蔵、兵たちの食事を仕込む台所などの建造物が建てられていた。戦時、それぞれの曲輪には守備を担当する兵たちが駐屯した。
(出典:Wikipedia)
曲
常用漢字
小3
部首:⽈
6画
輪
常用漢字
小4
部首:⾞
15画
“曲輪”で始まる語句
曲輪外
曲輪内
曲輪門
曲輪曲輪