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敬虔
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けいけん
ふりがな文庫
“
敬虔
(
けいけん
)” の例文
パリサイ人はこのような規則ずくめをもって人々の生活を規律し、それを厳格に守ることをもって
敬虔
(
けいけん
)
であるとなしていたのである。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
こんな独り言を云いながら、
敬虔
(
けいけん
)
に短刀を抜いてみた。恐らくあげ物というやつだろう、
鍔
(
つば
)
から
切尖
(
きっさき
)
までのバランスがとれていない。
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
莊重
(
さうちよう
)
な修道院の建物と、またそこにみなぎる美しくも清らかな空氣とをいろいろに空想し思ひ描く一種の
敬虔
(
けいけん
)
な氣持が
充
(
み
)
ち
滿
(
み
)
ちてゐた。
処女作の思い出
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
そんな
敬虔
(
けいけん
)
な筒井の眼のつかい、手の
敬々
(
うやうや
)
しい重ねようはこのみ仏をまもるには、筒井より外にその人がらがありそうも覚えなかった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
『私は地上の小さな天使になりたいんです。』だからその時には、子供らしい
敬虔
(
けいけん
)
の念にむくいて、お菓子を二つ與へるんですよ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
その遺稿に対し厚き
敬虔
(
けいけん
)
の念を有し、刻苦精励これに当る人でなくては、到底この事業を完成することは出来ぬという事にも一致した。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
しかしながら、人の精神で制御できない存在者にたいする一種の
敬虔
(
けいけん
)
な恐れからして、彼女はそれらの感情から眼をそらしていた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
僕はほとんど宗教心に近い
敬虔
(
けいけん
)
の念をもって、その顔の前に
跪
(
ひざま
)
ずいて感謝の意を表したくなる。自然に対する僕の態度も全く同じ事だ。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宮城前ではどんなに乱酔されていても、昔からこの礼を忘れられたことはなく、まことにその
敬虔
(
けいけん
)
な御様子には思わず頭が下がりました。
泉鏡花先生のこと
(新字新仮名)
/
小村雪岱
(著)
たとえ
敬虔
(
けいけん
)
の意と誠実の態度とにおいてはあえて彼を
凌
(
しの
)
ぐことを
得
(
う
)
という能わざらんも人の耳を
経
(
ふ
)
ること多からず人の口と筆とを
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
夜明けの
静寂
(
せいじゃく
)
をやぶるのをおそれるかのように、おりおり用心ぶかく首をかしげるその姿には、
敬虔
(
けいけん
)
な
信仰者
(
しんこうしゃ
)
の
面影
(
おもかげ
)
を見るような気もした。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
私が初めて
甚深
(
じんしん
)
の感動を与えられ、小説に対して
敬虔
(
けいけん
)
な信念を持つようになったのはドストエフスキーの『罪と罰』であった。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
僕自身僕のポーズに
眩惑
(
げんわく
)
される傾向もたしかにあるが、正しく
敬虔
(
けいけん
)
なる心に
於
(
おい
)
て、あの家は暗い家だと僕はやっぱり判定する。笑うなかれ。
青い絨毯
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
何故
(
なぜ
)
というに、現代詩人の
中
(
うち
)
には随分
敬虔
(
けいけん
)
なような、自家の宗教を持っているらしい人があるのですからね。リルケなんぞもその方ですよ。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
父に対する
敬虔
(
けいけん
)
の念からではなかったが、常に人の心に強い力を及ぼす死に対する漠然たる敬意から、マリユスはその紙片を取って納めた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
父の家では、父も叔母も弟も、毎日必ず、朝食前に床の前にきちんと座って、例の「佐伯家系図」に向って
敬虔
(
けいけん
)
な礼拝をささげるのだった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
僕等は数列の椅子に
就
(
つい
)
て居る
敬虔
(
けいけん
)
な信者の
黙祷
(
もくたう
)
を驚かさない様にと心掛けて靴音を潜め
乍
(
なが
)
ら壁画の中にリユウバンスの諸作を探して歩いた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
作っているのは、
馬
(
うま
)
の
沓
(
くつ
)
であるが、それを作る藩士たちの様子は口もきかず、わき目もふらず、謹厳でありまた、おそろしく
敬虔
(
けいけん
)
であった。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
敬虔
(
けいけん
)
な一個の女性としてのバーグレーヴ夫人が、この事実談を一つの
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な物語に粉飾するような婦人でないことを信じているのである。
世界怪談名作集:07 ヴィール夫人の亡霊
(新字新仮名)
/
ダニエル・デフォー
(著)
殊に「この句にて腹を
医
(
いや
)
せよ」と大気焔を挙げた勢ひには、——世捨人は
少時
(
しばらく
)
問はぬ。
敬虔
(
けいけん
)
なる今日の批評家さへ
辟易
(
へきえき
)
しなければ幸福である。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
すなわち
役
(
えん
)
ノ
優婆塞
(
うばそく
)
の像で、顔も姿も解らなかったが、なお崇厳の輪郭だけは、見る人の心を
敬虔
(
けいけん
)
に導き、且つ
菩提心
(
ぼだいしん
)
を起こさせるに足りた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ただひとり、真のキリスト教信者らしい
敬虔
(
けいけん
)
な信仰にひたすら身をまかせていたのは、あわれなよぼよぼの
老婆
(
ろうば
)
であった。
寡婦とその子
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ただ彼女の支那女特有の秘密好きな冷理な性質が秘密結社と革命の企業を愛し、東洋女らしい
敬虔
(
けいけん
)
さがボルシェヴィキの堅固な道徳に陶酔した。
地図に出てくる男女
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
私はある時、彼が自己破壊のいまわしい罪であることを、非常に
敬虔
(
けいけん
)
な態度で語ったのを記憶している。しかし今の私は、彼から眼を離すまい。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
当時近代音楽の
勃興
(
ぼっこう
)
時代で、
真物
(
ほんもの
)
も
偽物
(
にせもの
)
も、ひたむきに新奇を
趨
(
お
)
うてやまなかった時、ブラームスは雄大、厳重、素朴、
敬虔
(
けいけん
)
な古典精神に
還
(
かえ
)
り
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
△△△地方裁判所の、刑事部の裁判長をしている、判事
若杉浩三
(
わかすぎこうぞう
)
氏は若い時、かなり
敬虔
(
けいけん
)
なクリスチャンでありました。
若杉裁判長
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
三造は
膝
(
ひざ
)
を直してかしこまっていた。彼はその場合、何の矛盾も感ぜずに、非常な
敬虔
(
けいけん
)
な心を持って先輩に対していた。
雨夜草紙
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
尊重するゲエテの心持も、真実に対する
敬虔
(
けいけん
)
な良沢の心持も、同じように心に受け入れることの出来る科学者は、世界中で一番幸福なものであろう
新婦人協会の請願運動
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
はじめ私は混食のキリスト信者としてこの式場に
臨
(
のぞ
)
んだのでありましたが今や神は私に
敬虔
(
けいけん
)
なるビジテリアンの信者たることを命じたまいました。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
あの自力を
恃
(
たの
)
む禅僧に、真に悟り得ている者は少ない。しかし他力的な無学な善男善女には
敬虔
(
けいけん
)
深い者がはなはだ多い。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
私はそのあまりの美しさに卑しい考えなどは起す
暇
(
ひま
)
もなく、ただもう、芸術品に対する時の様な、
敬虔
(
けいけん
)
な気持で、彼女を讃美したことでございます。
人間椅子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
山の祖神はさすがに、それとすぐ感じ取り、啓示を聴く
敬虔
(
けいけん
)
な態度で、両の掌を組み合せ、
篝火
(
かがりび
)
越しに聴こうとする。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
しかもその
根柢
(
こんてい
)
にあるのは、健康は各自のものであるという、単純な、単純な
故
(
ゆえ
)
に
敬虔
(
けいけん
)
なとさえいい得る真理である。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
神前に奉仕する
敬虔
(
けいけん
)
な職務ということにならねばならないのですが、どうもそう響かなくなっているのは習慣ですね。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
敬虔
(
けいけん
)
な信頼の思いをもっていることから、しぜんに落ちついた気持ちになって、深い愛情と強い理性と現在最高の知識をもって赤ん坊に接するならば
おさなごを発見せよ
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
寺の門はかくの如く本堂の建築とは必ず適度の距離に置かれ、境内に入るものをしてその眺望よりして
自
(
おのずか
)
ら
敬虔
(
けいけん
)
の心を起さしめるように造られてある。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私は人間のいのちの小さな種子がどんな境遇に置かれるかの運命を思うと、恐れと
敬虔
(
けいけん
)
とを感じずにはいられぬ。
光り合ういのち
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
『
主
(
しゆ
)
憐
(
あはれめ
)
よ、
主
(
しゆ
)
憐
(
あはれめ
)
よ、
主
(
しゆ
)
憐
(
あはれめ
)
よ!』と、
敬虔
(
けいけん
)
なるセルゲイ、セルゲヰチは
云
(
い
)
ひながら。ピカ/\と
磨上
(
みがきあ
)
げた
靴
(
くつ
)
を
汚
(
よご
)
すまいと、
庭
(
には
)
の
水溜
(
みづたまり
)
を
避
(
よ
)
け/\
溜息
(
ためいき
)
をする。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ラズーミヒンは
敬虔
(
けいけん
)
の念をもって、ドゥーネチカをながめた。そして、これから彼女と連れ立って行くのだと思うと、誇らしい思いさえするのであった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
読んでみると、それはドイツの小説の一字一句を訳して、そのままに引用した優しい
敬虔
(
けいけん
)
な恋の告白であった。
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
敬虔
(
けいけん
)
が上品の成分と見なされている場合なら、いつも必らず趣味を規定する、あの簡素なところをもっていた。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
かくばかり
不穏
(
ふおん
)
なる精神も、実に如何なる
厳粛
(
げんしゅく
)
、
敬虔
(
けいけん
)
、
幽静
(
ゆうせい
)
、崇高なる道念を発せしめたるか。
吾人
(
ごじん
)
はその父兄に与うる書についてこれを知るを得るなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
六人の漁夫たちは、しばらくの間、ものもいわずにそれを眺めていたが、やがて、いっせいに、お祈りする時のような
敬虔
(
けいけん
)
なようすで
跪
(
ひざまず
)
いて両手を合わせた。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
或朝、私が五階の塔へ登って、
少時
(
しばらく
)
のお祈から目を見開いたら、安部君が直ぐ
側
(
そば
)
に来て、矢張り祈っていた。私はその
敬虔
(
けいけん
)
な態度に感心して、又祈り始めた。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ひたすらに学問の尊さを味わおうとした
敬虔
(
けいけん
)
な心によるのであったことを考えてゆきますと、今さらにその高い人格を
仰視
(
ぎょうし
)
しなくてはならないのでありましょう。
マイケル・ファラデイ
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
敬虔
(
けいけん
)
な家政婦の
尤
(
もっと
)
もでもあれば熱心でもある言葉に、司祭さんも結局賛成せずにはゐられませんでした。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
しずかな足取り、
敬虔
(
けいけん
)
な面持で歩をはこんでいる。と、そのあとから聖者レザール氏の長身が現われた。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私はこれまでにも多くの人に接した、今後もまた多くの人に接するであろうが、かくの如き
敬虔
(
けいけん
)
の態度を取る人々はしばしば見られるものではあるまいと思った。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
王の改選を要求する島民の声が政府を脅していたことは事実だが、マターファ自身は一度も、まだ、そんな要求をしたことはない。彼は
敬虔
(
けいけん
)
なクリスチャンであった。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そしてその人が本当に
敬虔
(
けいけん
)
な心の持主であれば、そのほほえみの中には
哀愁
(
あいしゅう
)
の色がただよいます。まどろみなさい、死者たちよ! 月はきみたちのことを覚えています。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
“敬虔”の解説
敬虔(けいけん、el: ὁσιότης , εὐσέβεια、la: pietas、en: piety)とは、古代ギリシア以来の西洋の徳目の1つであり、親や神々に対する忠誠心、崇敬心、孝心を意味する。
キリスト教で敬虔というと、信心を意味するプロテスタントの用語である。
(出典:Wikipedia)
敬
常用漢字
小6
部首:⽁
12画
虔
漢検1級
部首:⾌
10画
“敬虔”で始まる語句
敬虔主義
敬虔摯実
敬虔雄麗