惡口わるくち)” の例文
新字:悪口
世話せわつて、たゞ不味まづさいこしらえて、三づゝへやはこんでれるだけだよ」と安井やすゐうつてからこの細君さいくん惡口わるくちいてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「そんだがよ、先刻さつきてえにいてんのに惡口わるくちなんぞいふなつみだよなあ」とわか女房等にようばうらはそれでもしんみりといつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
一寸ちよつとればぐに完全くわんぜんものくらゐかんがへて見物連けんぶつれんは、一かうなにないので、つりるよりもだつまらぬなど、そろ/\惡口わるくち掘出ほりだすのである。
聞居しが此頃人のうはさには伊勢五の養子千太郎は再度ふたゝび小夜衣のもとかよひ初めしと聞えしかば以てのほかおどろけども是は全く人の惡口わるくちならん千太郎樣にはよもや我が異見いけん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
本來ほんらいなら、別行べつぎやうしたゝめて、おほい俳面はいめんたもつべきだが、惡口わるくち意地いぢわるいのがぢき近所きんじよるから、謙遜けんそんして、二十字にじふじづめのなかへ、十七字じふしちじ割込わりこませる。いはく、千兩せんりやう大禮服たいれいふく土用干どようぼし
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いゑ中々なか/\そのやうに遠方ゑんはうことばかりでは御座ござりませぬ、追々おひ/\にと衣紋ゑもんいて咳拂せきばらひすれば、小間使こまづかすこかほあかくして似合頃にあひごろうへ惡口わるくちふくなにすやらと尻目しりめにらめば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お大は後で少時しばらく姉の惡口わるくちを言つてゐたが、此も日の暮に店を出て行く。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
けれどきみたちは金持かねもちや、金持かねもち味方みかた詩人しじんやまたそいつらといつしよに貧乏人びんぼふにん馬鹿ばかにしてゐるやつらのやうに、このおぢさんの童謠うたを一も二もなく、あたまからバカにし、惡口わるくちなんかはないだらう。
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
ふかやつらの惡口わるくちへど
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
婆等ばゝあらればさあれば博奕ばくちなんぞするにばかしつて」ぢいさんは依然いぜんとして惡口わるくちめなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うして二内部ないぶ連絡れんらくしてるといふことわかつたので、んだか張合はりあひけてる。小雨こさめす。新聞記者連しんぶんきしやれんはそろ/\惡口わるくちはじめる。地主連ぢぬしれんはまご/\してる。
なに其樣そんいたものりさうにもしないうまれるとすぐさまはしたもと貸赤子かしあかごされたのだなどゝ朋輩ほうばい奴等やつら惡口わるくちをいふが、もしかすると左樣さうかもれない、それなられは乞食こじき
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)