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惡口
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わるくち
「
世話つて、たゞ
不味い
菜を
拵らえて、三
度づゝ
室へ
運んで
呉れる
丈だよ」と
安井は
移り
立てから
此細君の
惡口を
利いてゐた。
「そんだがよ、
先刻見てえに
泣いてんのに
惡口なんぞいふな
罪だよなあ」と
若い
女房等はそれでもしんみりといつた。
一寸掘れば
直ぐに
完全な
物が
出る
位に
考へて
居た
見物連は、一
向何も
出ないので、
釣を
見るよりも
未だつまらぬなど、そろ/\
惡口を
掘出すのである。
聞居しが此頃人の
噂さには伊勢五の養子千太郎は
再度小夜衣の
許へ
通ひ初めしと聞えしかば以ての
外に
驚けども是は全く人の
惡口成ん千太郎樣にはよもや我が
異見を
本來なら、
別行に
認めて、
大に
俳面を
保つべきだが、
惡口の
意地の
惡いのがぢき
近所に
居るから、
謙遜して、
二十字づめの
中へ、
十七字を
割込ませる。
曰く、
千兩の
大禮服や
土用干。
いゑ
中々其やうに
遠方の
事ばかりでは
御座りませぬ、
未だ
追々にと
衣紋を
突いて
咳拂ひすれば、
小間使ひ
少し
顏を
赤くして
似合頃の
身の
上、
惡口の
福が
何を
言ひ
出すやらと
尻目に
眺めば
お大は後で
少時姉の
惡口を言つてゐたが、此も日の暮に店を出て行く。
けれど
君たちは
金持の
子や、
金持の
味方の
詩人やまたそいつらと
一しよに
貧乏人を
馬鹿にしてゐる
奴らのやうに、このおぢさんの
童謠を一も二もなく、
頭からバカにし、
惡口なんか
云はないだらう。
鱶の
奴らの
惡口云へど
「
此の
婆等寄れば
觸れば
博奕なんぞする
氣にばかし
成つて」
爺さんは
依然として
惡口を
止めなかつた。
然うして二
箇は
内部で
連絡して
居るといふ
事が
分つたので、
何んだか
張合は
拔けて
來る。
小雨は
降り
出す。
新聞記者連はそろ/\
惡口を
始める。
地主連はまご/\して
居る。
何其樣な
氣の
利いた
物は
有りさうにもしない
生れると
直さま
橋の
袂の
貸赤子に
出されたのだなどゝ
朋輩の
奴等が
惡口をいふが、もしかすると
左樣かも
知れない、それなら
己れは
乞食の
子だ