スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より (新字新仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
かれはその頃、すでに小牧の軍勢を収め、清洲をひき払い、浜松城に帰って、怏々と、楽しまざる数日をここに過していた時だった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
主上が、怏々として憂愁の日を送られていることを心配した者たちが、この小督に目をつけたのも無理はなかった。
現代語訳 平家物語:06 第六巻 (新字新仮名) / 作者不詳(著)
彼はこの城の先祖の不正直なことを知って怏々として楽しまなかった、それから幾分彼は一般に人間というものは不正直なものであると思うようになった。
作男・ゴーの名誉 (新字新仮名) / ギルバート・キース・チェスタートン(著)
自慢の種になるような手錬の者がいないから、殿様は怏々としてたのしまない。
落語・教祖列伝:01 神伝魚心流開祖 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
時には遠方の納屋庭で何か怏々としている牝牛の啼きごえも聞いた。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン―― (新字新仮名) / ヘンリー・デイビッド・ソロー(著)
怏々として楽しまざる日を送っていた。
世界怪談名作集:14 ラザルス (新字新仮名) / レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ(著)
菊太郎君が電車に乗ろうと言っても、僕は応じなかった。怏々として、学業が手につかない。二三日、悲観のドン底にいるのだった。頭が好いから、よく覚えている。
左門の心は然し怏々として晴れなかつた。文子があまりにいぢらしく、痛々しくみえてならないのである。無残にも卓一に棄てられたやうな、哀れの感が深いのである。然しそれも奇妙な話だ。
吹雪物語:――夢と知性―― (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
鵜沼の猛虎——といわれる豪勇な彼も、近頃は、怏々と心の楽しまない顔だった。病気と称して、一切、人を避けているのである。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私本太平記:09 建武らくがき帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それからというもの、呂布は日夜酒宴に溺れて、帳にかくれれば貂蝉と戯れ、家庭にあれば厳氏や娘に守られて、しかも酒がさめれば怏々としていた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)