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従妹
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いとこ
ふりがな文庫
“
従妹
(
いとこ
)” の例文
旧字:
從妹
あるいは
従妹
(
いとこ
)
たちが遊びに来て家中で食事している時も、一緒に笑いもすれば、また従妹が何か聞けば、受け答えもしていましたが
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
従妹
(
いとこ
)
たちがどの様に
羨
(
うらやま
)
しがるだらう、折角美事に出来て居るものだから惜しいけれど是非二三本は
掻
(
か
)
いて
御馳走
(
ごちそう
)
せねばなるまいなどと。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
この店は
従妹
(
いとこ
)
が婿を取って、現に履物組合の
頭取
(
とうどり
)
を勤めている。私は玉子を土産に持って行って、下駄を貰って帰って来たものだった。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
お袋に兄貴、
従妹
(
いとこ
)
、と多勢一緒に
撮
(
と
)
った写真を送って来た時、新吉は、「
何奴
(
どいつ
)
も
此奴
(
こいつ
)
も
百姓面
(
ひゃくしょうづら
)
してやがらア。厭になっちまう。」
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「……それでは……申します。この方は、あなたのタッタ一人のお
従妹
(
いとこ
)
さんで、あなたと
許嫁
(
いいなずけ
)
の間柄になっておられる方ですよ」
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
けれども
真直
(
まっすぐ
)
に神田橋を抜けて丸の内を疾駆する際にも、自分は今須永の
従妹
(
いとこ
)
の家に向って走りつつあるのだという心持は忘れなかった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
従妹
(
いとこ
)
のお近は大島
紬
(
つむぎ
)
の小袖と黒
繻子
(
じゅす
)
の帯を選み、常子は
稍
(
やや
)
荒い縞の
錦紗
(
きんしゃ
)
お
召
(
めし
)
の二枚
襲
(
がさね
)
と紋附の羽織と帯とを貰うことにした。
老人
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それで私はもっぱら、
脊髄病
(
せきずいびょう
)
で幼児よりほとんど不具者となっている私の
従妹
(
いとこ
)
と語り、慰めることによって日を送りました。
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
従妹
(
いとこ
)
の影を見て
双子
(
ふたご
)
は一緒に出て行つた。晨も行つてしまつた。お照が榮子を抱いて来た。泣いた
跡
(
あと
)
らしく榮子の頬がぴりぴりと動いて居る。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
母が永らくぶらぶらして居たから、市川の親類で僕には縁の
従妹
(
いとこ
)
になって居る、民子という女の児が仕事の手伝やら母の看護やらに来て居った。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
秋作氏は、てらい気のない、素直なこの
従妹
(
いとこ
)
がだいすきだった。小さい時から、親切で、
謙譲
(
ひかえめ
)
で、誰からでも愛される不思議な徳を持っていた。
キャラコさん:01 社交室
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そもじの母のドラは、ベーリングの
従妹
(
いとこ
)
とか言うたが、ステツレルに
嫁
(
とつ
)
ぐまえ、ベーリングと
懇
(
ねんご
)
ろにしおったのであろう。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
あの人は、わたしには何でも話すのでございますよ、あの人のお
従妹
(
いとこ
)
さんでいらっしゃいますって、ねえ。ほんとに、よくいらっしゃいましたよ
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「もう一つ頼みというはねえ、お爺さん、その嘉助に一人娘があるんだがなあ、おいらには
従妹
(
いとこ
)
に当るってわけなんだが」
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
従妹
(
いとこ
)
の浪江が美しくなり、神々しいまでに霊的になり、だから陰気になったこと。伯父の覚明が訳の解らないほど、不思議な人間に変わったこと。
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
従妹
(
いとこ
)
同士の
重縁
(
じゅうえん
)
でゆくゆくは兄と一緒にするという相談が、双方の親たちのあいだに結ばれていることを、わたくしも薄うす承知していましたから
蜘蛛の夢
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私はお通夜に来た
従妹
(
いとこ
)
達が笑いながら世間話をしている中へ入って行って、怒鳴りつけてやりたいとまで思いました。
消えた霊媒女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
「新七、お前さんは築地まであたしを送っておくれ。今度出て来たついでに、
従妹
(
いとこ
)
のところへも寄って行きたいから」
食堂
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
伊東とお玉とは長い知り合いで、そもそも伊東がこの町に土地を
購
(
か
)
ったことからして、お玉の周旋であった。お玉は伊東の
旧
(
ふる
)
い友人
宝沢
(
たからざわ
)
の
従妹
(
いとこ
)
である。
暴風雨に終わった一日
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
P社の記者がそれを納得して東京へ帰ってから
従妹
(
いとこ
)
に昼の西瓜の半分を切らして私の部屋の縁で麻川氏をもてなす。
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「駆落なんてえのは馬鹿のすることだよ。本所の叔母さんとか、湯島の
従妹
(
いとこ
)
とかのところへ行っているんだろう」
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「飛んでもない、いまは落人だ。——ああ、
好
(
い
)
いものがある。
別嬪
(
べっぴん
)
の
従妹
(
いとこ
)
の
骨瓶
(
こつがめ
)
です。かりに小鼓と名づけるか。この
烏胴
(
からすどう
)
で
遣
(
やッ
)
つけよう、
不可
(
いけな
)
いかな。」
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ジュリエッタ・グィッチャルディはテレーゼの
従妹
(
いとこ
)
であった。ベートーヴェンはしばらくのあいだテレーゼの妹ジョゼフィーヌにも心を惹かれていたらしい。
ベートーヴェンの生涯:02 ベートーヴェンの生涯
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
従妹
(
いとこ
)
の富美子は当時十九の而も非常な美人でしたから、身代金を与えても戻さぬ所を見ると、ひょっとしたら
無慚
(
むざん
)
にも賊の毒手に
弄
(
もてあそ
)
ばれているのかも知れません。
黒手組
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
岡の
従妹
(
いとこ
)
に当たる人が幽蘭女学校に通学していて、正月の学期から
早月
(
さつき
)
という姉妹の美しい生徒が来て
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
しかしまだ公然と僕へ対して
従妹
(
いとこ
)
を貰えと命令の
下
(
くだ
)
った訳でもなし、
外
(
ほか
)
の人へお話のあった訳でもない。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
あちこち迷った末に、翁の選択はとうとう手近い
川添
(
かわぞえ
)
の娘に落ちた。川添家は同じ清武村の
大字
(
おおあざ
)
今泉、
小字
(
こあざ
)
岡にある翁の夫人の里方で、そこに仲平の
従妹
(
いとこ
)
が二人ある。
安井夫人
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
僕はあらゆる青年のように彼の
従妹
(
いとこ
)
を見かけた時から何か彼の恋愛に期待を持っていたのだった。
彼
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ずっと後に
従妹
(
いとこ
)
のエルゼ・アインシュタインを迎えて幸福な家庭を作っているという事である。
アインシュタイン
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
留吉の
家
(
うち
)
についた時は秋の日が暮れかかっておりました。四十ばかりの女の人が私たちを出迎えましたが、それは死んだお豊さんの
従妹
(
いとこ
)
に当たるお
安
(
やす
)
さんという人でした。
白痴の知恵
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
かよ
子
(
こ
)
は、
歩
(
ある
)
きながら、まだ
見
(
み
)
ぬ
都会
(
とかい
)
のことを
考
(
かんが
)
えていました。これから二、三
年
(
ねん
)
勉強
(
べんきょう
)
にいく、そして、
朝晩
(
あさばん
)
いっしょに
暮
(
く
)
らさなければならぬ
従兄
(
いとこ
)
や、
従妹
(
いとこ
)
のことを——。
汽車は走る
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ぼくには、
従妹
(
いとこ
)
にあたる園子と呼ぶ女性とは分っていたけれど、何のことばも交わせなかった。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その間にも電気の職工にもなって高圧電気の取扱いも知っていた。更にわるいことは、
従妹
(
いとこ
)
の春江の感電死に
遭
(
あ
)
ったために、彼の享楽主義は、怪奇趣味にめらめらと燃え上った。
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あなたと
従妹
(
いとこ
)
のその奥様が亡くなられたのだし、そうなすってもいいのにと私は思うし、一方ではまた新しく熱心にお申し込みがあるというのは、やはり前生の約束事だろうと思う
源氏物語:21 乙女
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
従妹
(
いとこ
)
に引とめられてしまつて、汽車に乗つたのはかれこれ晩の六時すぎでもあつたであらう、
夜
(
よる
)
の
故
(
せい
)
か乗客は割合に少ない、
今朝
(
けさ
)
手紙を
出
(
だ
)
して
置
(
お
)
いたから
家
(
うち
)
でも待つて居るであらう
夜汽車
(新字旧仮名)
/
尾崎放哉
(著)
「
従妹
(
いとこ
)
」のような気持で
名残
(
なごり
)
を惜しんでいることは、なんとしても自分にわかり、それが、またそら恐ろしく、彼は、ずっと離れて、不安げに、ほとんど顔もあげ得ずに立っている。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
こう云う機会に
従妹
(
いとこ
)
と親しませようと云う考もあったので、それも旅館を避けた理由の一つだったのであるが、生憎梅子はひどいお母さん児で、雪子にさえもなつかないと云う風なので
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
でもまあ、なんて
生気
(
せいき
)
の無い顔をした
奴
(
やつ
)
ばかりなんだろう。学生が五人。女が三人。ひでえ女だ。永遠に、
従妹
(
いとこ
)
ベット
一役
(
ひとやく
)
だ。他は皆、生活に疲れた顔をした背広姿の三十前後の人たちである。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
永田松枝の
従妹
(
いとこ
)
に当たる永田幾代と、
縹緻
(
きりょう
)
では群をぬいている三波ふみとはなにもしなかった。二人だけはいつも見ているばかりである。笠井忠也は知らないから、「なにかやれ」と
諄
(
くど
)
くすすめた。
艶書
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
宙は驚いて眼を
瞠
(
みは
)
った。
従妹
(
いとこ
)
の倩娘が竹にそうて立っていた。
倩娘
(新字新仮名)
/
陳玄祐
(著)
「園部の家内が、私の
従妹
(
いとこ
)
にあたるのでありましてね」
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
女の
従妹
(
いとこ
)
にアキという女があった。
いずこへ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
すると十一になる
従妹
(
いとこ
)
が
誰が・何時・何処で・何をした
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
……しかもその美少女は、私のタッタ一人の
従妹
(
いとこ
)
で、私と許嫁の間柄になっているばかりでなく「一千年前の姉さんのお
婿
(
むこ
)
さんであった私」
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私は
従妹
(
いとこ
)
を愛していないだけで、嫌ってはいなかったのですが、後から考えてみると、それを断ったのが私には多少の愉快になると思います。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
元禄袖の
双子
(
ふたご
)
は一つ
齢
(
とし
)
下の
従妹
(
いとこ
)
を左右から囲んで坐つた。暫く直つて居た榮子の頬の
慄
(
ふる
)
へが母の膝に抱かれるのと一緒にまた
烈
(
はげ
)
しくなつてきた。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
葬式の時には老妻の
従妹
(
いとこ
)
に当るお近という産婆がその住んでいる甲府の町から、また下ノ関にいる娘常子というのが出て来て始末をしてくれたが
老人
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
もっとも、母のドラと
従妹
(
いとこ
)
だったせいもあるでしょうが、父とベーリングの仲は、それはまたとない間柄だったのです。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
又その娘のお由というのが気の勝った女で、関口屋の娘とは
従妹
(
いとこ
)
同士でありながら、表向きは奉公人同様に働かされているのが
口惜
(
くや
)
しくてならない。
半七捕物帳:55 かむろ蛇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今日、麻川氏は終日
椎
(
しい
)
の間の小亭で書いて居る様子だった。私達も
一寸
(
ちょっと
)
海岸へ行って帰って来ると主人は昼寝、
従妹
(
いとこ
)
は縫物私は読書ばかりして暮らした。
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
“従妹”の意味
《名詞》
従 妹(いとこ、ジュウマイ)
(漢字用例)女性の年下のいとこ。
(出典:Wiktionary)
従
常用漢字
小6
部首:⼻
10画
妹
常用漢字
小2
部首:⼥
8画
“従妹”で始まる語句
従妹御
従妹達