幾倍いくばい)” の例文
牛女うしおんなは、大女おおおんなで、ちからも、またほかのひとたちよりは、幾倍いくばいもありましたうえに、性質せいしつが、やさしくあったから、人々ひとびとは、牛女うしおんな力仕事ちからしごとたのみました。
牛女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これによつて地球ちきゆう内部ないぶとほるときの地震波ぢしんぱはやさは、地球ちきゆう鋼鐵こうてつとした場合ばあひ幾倍いくばいにもあたることがわかり、また地球ちきゆう内部ないぶてつしんからつてをり
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
しかしてのちある義士ぎし一撃いちげきたほれたりとかば事理分明じりぶんめいにして面白おもしろかるべしといへどもつみばつ殺人罪さつじんざいは、この規矩きくにははづれながら、なほ幾倍いくばい面白味おもしろみそなへてあるなり。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
それは人間にんげんからだ幾倍いくばいもあるおほきないしをもつてつくられたはかとか、あるひは宗教しゆうきよう目的もくてき使つかつた場所ばしよとかいふものでありまして、それに使用しようされたいし非常ひじようおほきいので
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
飛行船から投下された爆弾以外に、まだ寸土すんども敵兵に踏まれてゐない英国に比較すると、この精神的打撃はさら幾倍いくばいの深刻さを加へてゐると見るのがまさに妥当の見解である。
点頭録 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれ只管ひたすらひぢ瘡痍きず實際じつさいよりも幾倍いくばいはるかおも他人ひとにはせたい一しゆわからぬ心持こゝろもちつてた。寸暇すんかをもをしんだかれこゝろ從來これまでになく、自分じぶん損失そんしつかへりみる餘裕よゆうたぬほど惑亂わくらん溷濁こんだくしてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「そうしたら、どんなに、このみせ評判ひょうばんとなるでしょう。あなたは、たしかに、この人形にんぎょうよりは、幾倍いくばいうつくしいかしれない。」と、主人しゅじんはいいました。
生きた人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すなは人命じんめい損失そんしつ實際じつさい幾倍いくばいし、財産ざいさん損失そんしつ幾十倍いくじゆうばいにもおよんだであらう。じつにその村民そんみん行動こうどう震災しんさいたいしてわれ/\の理想りそうとするところ實行じつこうしたものといへる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
もしおれにこのおつ上等じょうとううまたしたなら、このうまより幾倍いくばいよくらすかしれない。だいいちりっぱなうまで、どこへしてもずかしくないだろうとかんがえました。
駄馬と百姓 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしはいいこえうたをうたいますが、こちょうはだまっています。そのかわりわたしよりも幾倍いくばいとなくきれいなんです。」と、小鳥ことりこたえて、やがてどこにかってしまいました。
いろいろな花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なんて人間にんげんというやつは自分じぶんかってなんだ。おまえさんなぞは、人間にんげん幾倍いくばいとなくちからつよいじゃないか。なぜこんなつななんかってしまって、やまなかげていかないのだね。
馬を殺したからす (新字新仮名) / 小川未明(著)