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こもりうた
ふりがな文庫
“
子守唄
(
こもりうた
)” の例文
「ねえ、おかよや、おまえ、この
子守唄
(
こもりうた
)
をきいたことがあって?」といって、
箱
(
はこ
)
の
中
(
なか
)
から一
枚
(
まい
)
のレコードを
抜
(
ぬ
)
いて、
盤
(
ばん
)
にかけながら
谷にうたう女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その上「野越え山越え里打ち過ぎて」と云い、「あの山越えてこの山越えて」と云う詞には、どこか
子守唄
(
こもりうた
)
に似た調子もある。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
有名な「
子守唄
(
こもりうた
)
」は三十五歳の時の作。一八七〇年から七一年にわたる
普仏
(
ふふつ
)
戦争の時には愛国の血に燃えて雄大な合唱曲「
凱旋
(
がいせん
)
の歌」を作った。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
一言にして言えば、それは時間の遠い
彼岸
(
ひがん
)
に実在している、彼の魂の故郷に対する「郷愁」であり、昔々しきりに思う、
子守唄
(
こもりうた
)
の
哀切
(
あいせつ
)
な思慕であった。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
千穂子も淋しくて仕方がないのだと、まるで、自分の
娘
(
むすめ
)
を可愛がるようなしぐさで、千穂子の背中をさすり、
子守唄
(
こもりうた
)
を歌って
慰
(
なぐさ
)
めてやりたくなるのである。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
これは私の
子守唄
(
こもりうた
)
であった。ともかく私はただ食って生きているだけではない、という自分に対する言訳のために、茶碗ひとつ、箸一本を身辺に置くことを許さなかった。
いずこへ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
和上の
傷
(
きづ
)
は
二月
(
ふたつき
)
で癒えたが、其の
傷痕
(
きづあと
)
を一目見て
鎌首
(
かまくび
)
を上げた
蛇
(
へび
)
の様だと身を
慄
(
ふる
)
はせたのは、
青褪
(
あをざ
)
めた
顔色
(
かほいろ
)
の奥方ばかりでは無かつた。其頃
在所
(
ざいしよ
)
の
子守唄
(
こもりうた
)
に斯う云ふのが
流行
(
はや
)
つた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
お徳は和助のちいさい時分からあの子供を抱いたり背中にのせて
子守唄
(
こもりうた
)
をきかせたりした長いなじみで、勝手の水仕事をするあかぎれの切れた手を出しては家のものの飯を盛ると
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そう言って
枕
(
まくら
)
に頭をつけて、お月様を見ながら、お母様の
子守唄
(
こもりうた
)
をききました。
夜
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
「
坊
(
ばう
)
やはいゝ
兒
(
こ
)
だ
寢
(
ねん
)
ねしな。」……と
口
(
くち
)
の
裡
(
うち
)
で
子守唄
(
こもりうた
)
は、
我
(
われ
)
ながら
殊勝
(
しゆしよう
)
である。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「ほんとうに
私
(
わたし
)
ためになりましたわ。辰子さんもいらっしゃれば
好
(
い
)
いのに。そりゃ可哀そうな人がいてよ。いつでも、
御腹
(
おなか
)
に子供がいると思っているんですって。たった一人、隅の方へ坐って、
子守唄
(
こもりうた
)
ばかり歌っているの。」
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さながら
子守唄
(
こもりうた
)
のように聞かれた。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
祖母立子声
麗
(
うら
)
らかに
子守唄
(
こもりうた
)
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「お
嬢
(
じょう
)
さま、せっかくおつれもうして、あの
女
(
おんな
)
のうたう
子守唄
(
こもりうた
)
をおきかせすることができません。」と、おかよは、なげきました。
谷にうたう女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この句の咏嘆しているものは、時間の遠い
彼岸
(
ひがん
)
における、心の故郷に対する追懐であり、春の
長閑
(
のどか
)
な
日和
(
ひより
)
の中で、夢見心地に聴く
子守唄
(
こもりうた
)
の思い出である。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
楽劇「ジークフリート」から主題を採り、ドイツの古い
子守唄
(
こもりうた
)
が織り込んであり、ワグナーにしてはこの上もなく美しい曲で、
隅々
(
すみずみ
)
までも愛情が行きわたっている。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
お爺さんは、親切ないい人でしたが、ある日ジャッキイの
子守唄
(
こもりうた
)
をききながら、死んでしまいました。ジャッキイは、またある有名な音楽家に救われて、そこの
家
(
うち
)
へ引取られてゆきました。
街の子
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
こんなことを
言
(
い
)
つて
惡戯好
(
いたづらず
)
きな
人達
(
ひとたち
)
は
父
(
とう
)
さんまで
汚
(
きたな
)
い
髮結
(
かみゆひ
)
の
子
(
こ
)
にしてしまひました。しかし、お
雛
(
ひな
)
は
幼少
(
ちひさ
)
い
時分
(
じぶん
)
の
父
(
とう
)
さんをよく
見
(
み
)
て
呉
(
く
)
れました。お
雛
(
ひな
)
の
歌
(
うた
)
ふ
子守唄
(
こもりうた
)
は
父
(
とう
)
さんの一
番
(
ばん
)
好
(
す
)
きな
唄
(
うた
)
でした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
こうして
耳
(
みみ
)
をすますと、
大海原
(
おおうなばら
)
の
波音
(
なみおと
)
のように、あるいは、かすかな
子守唄
(
こもりうた
)
のように、
都会
(
とかい
)
のうめきが、
穏
(
おだ
)
やかな
真昼
(
まひる
)
の
空気
(
くうき
)
を
伝
(
つた
)
ってくるのです。
花の咲く前
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
など、すべて同じ情趣を歌った佳句であるが、特にその新体風の長詩「
春風馬堤曲
(
しゅんぷうばていのきょく
)
」の如きは、藪入の季題に托して彼の侘しい
子守唄
(
こもりうた
)
であるところの、遠い時間への懐古的郷愁を
咏嘆
(
えいたん
)
している。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「
子守唄
(
こもりうた
)
(作品五七)」、ショパンの童心の現れた、こんな優しく美しい曲は少ない。ビクターのコルトーが断然良い(JD一六七四)。コロムビアのロンも女らしさを買われようか(名盤集)。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
お月様は、にこにこしながら、
子守唄
(
こもりうた
)
を歌うお母様と幹子とを見ていました。お母様もお月様のほうを見て笑っていらしたけれど幹子は何も見なかった。幹子はもうすやすやと眠ってしまったから。
夜
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
極めて単調子な、意味のシンプルな
子守唄
(
こもりうた
)
が私の心を
魅
(
み
)
し去ってしまう。そして、それをいつまで聞いていても、私は、この子守唄を聞くことに
飽
(
あ
)
きない。
単純な詩形を思う
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
暫
(
しばら
)
くすると
可愛
(
かあ
)
い
子守唄
(
こもりうた
)
がきこえて来ました。
人形物語
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
お
母
(
かあ
)
さんは、
正
(
しょう
)
ちゃんを
抱
(
だ
)
いて、
子守唄
(
こもりうた
)
をうたいながら、へやのうちを
歩
(
ある
)
きまわりました。そのうちに、やっと、
正
(
しょう
)
ちゃんは、すやすやと
眠
(
ねむ
)
ったようでした。
幼き日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いえ、お
嬢
(
じょう
)
さま、どうか、
今年
(
ことし
)
の
夏
(
なつ
)
、
私
(
わたし
)
の
生
(
う
)
まれた
村
(
むら
)
へいらしてください。
谷
(
たに
)
にはべにゆりが
咲
(
さ
)
いていますし、あの
悲
(
かな
)
しい
子守唄
(
こもりうた
)
をおきかせしたいのでございますから。
谷にうたう女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
すると
李
(
り
)
さんは、しずかにくれていく、
遠
(
とお
)
い
空
(
そら
)
の
方
(
ほう
)
をながめながら、「ぼうやはいい
子
(
こ
)
だ、ねんねしな」の
子守唄
(
こもりうた
)
を
吹
(
ふ
)
いてきかせました。
二人
(
ふたり
)
の
少年
(
しょうねん
)
は、じっと
耳
(
みみ
)
をすましてきいていました。
クラリネットを吹く男
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この
子守唄
(
こもりうた
)
を
聞
(
き
)
くと、
歩
(
ある
)
いてきた
少女
(
しょうじょ
)
は、すっかり
感心
(
かんしん
)
してしまいました。
海からきた使い
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
もう
日
(
ひ
)
は
暮
(
く
)
れかかっていました。
街
(
まち
)
を
離
(
はな
)
れると、
家
(
いえ
)
の
数
(
かず
)
がだんだん
少
(
すく
)
なくなりました。そのとき、
途
(
みち
)
の
上
(
うえ
)
で、ちょうど
自分
(
じぶん
)
と
同
(
おな
)
じ
年
(
とし
)
ごろの
少女
(
しょうじょ
)
が、
赤
(
あか
)
ん
坊
(
ぼう
)
を
負
(
おぶ
)
って、
子守唄
(
こもりうた
)
をうたっていました。
海からきた使い
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
口
(
くち
)
で
子守唄
(
こもりうた
)
をうたいながら、なおも、
坊
(
ぼう
)
やの
脊中
(
せなか
)
をトン、トンと、
軽
(
かる
)
くたたいていました。
昨夜
(
ゆうべ
)
から、よく
眠
(
ねむ
)
らなかったので、
疲
(
つか
)
れたとみえて、
正
(
しょう
)
ちゃんは、ほんとうに、よく
寝
(
ね
)
ついたようです。
幼き日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「ははあ、どこの
国
(
くに
)
も、
子守唄
(
こもりうた
)
は、かわらないんだね。」
クラリネットを吹く男
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“子守唄”の解説
子守唄(こもりうた、子守歌、en: lullaby)は、子供を寝かしつけたり、あやしたりするために歌われる歌の一種。世界各国で様々なものが歌い継がれている。揺籃歌(ようらんか)ともいう。
(出典:Wikipedia)
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
守
常用漢字
小3
部首:⼧
6画
唄
常用漢字
中学
部首:⼝
10画
“子守”で始まる語句
子守
子守歌
子守女
子守児
子守兒
子守娘
子守奉公