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ふうし
ふりがな文庫
“
夫子
(
ふうし
)” の例文
こんな深刻味のあるものを一女性の
繊手
(
せんしゅ
)
に
委
(
まか
)
せて
夫子
(
ふうし
)
自らは別の境地に収まっている。鴎外はなぜそんな態度を取っているのだろう。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
予これを
忖度
(
そんたく
)
す〉とは
夫子
(
ふうし
)
の
謂
(
いい
)
なり、我は自分で
行
(
や
)
っておきながら、何の訳とも分らなんだに夫子よくこれを言い
中
(
あ
)
てたと
讃
(
ほ
)
めたので
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
論者その人の徳義薄くして、その言論演説、もって人を感動せしむるに足らざるか、
夫子
(
ふうし
)
自から自主独立の旨を知らざるの罪なり。
徳育如何
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
伯夷
(
はくい
)
・
叔齊
(
しゆくせい
)
、
賢
(
けん
)
なりと
雖
(
いへど
)
も、
(七三)
夫子
(
ふうし
)
を
得
(
え
)
て
名
(
な
)
益〻
(
ますます
)
彰
(
あら
)
はれ、
顏淵
(
がんえん
)
、
篤學
(
とくがく
)
なりと
雖
(
いへど
)
も、
(七四)
驥尾
(
きび
)
に
附
(
ふ
)
して
行
(
おこなひ
)
益〻
(
ますます
)
顯
(
あら
)
はる。
国訳史記列伝:01 伯夷列伝第一
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
主人は夢の
裡
(
うち
)
まで水彩画の未練を
背負
(
しょ
)
ってあるいていると見える。これでは水彩画家は無論
夫子
(
ふうし
)
の
所謂
(
いわゆる
)
通人にもなれない
質
(
たち
)
だ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
彼は、精を窮め、微に入り、面に睟れ、背に盎き
白鹿洞
(
はくろくどう
)
の先生に非ず。彼は、宇宙を呑み、幽明を窮むる
橄欖
(
かんらん
)
林の
夫子
(
ふうし
)
に非ず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「ああ、
夫子
(
ふうし
)
が、——
古今無双
(
ここんむそう
)
の射の名人たる夫子が、弓を忘れ果てられたとや? ああ、弓という名も、その使い
途
(
みち
)
も!」
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
子、
南子
(
なんし
)
を見る。子路
説
(
よろこ
)
ばず。
夫子
(
ふうし
)
之
(
これ
)
に
矢
(
ちか
)
いて曰く、
予
(
われ
)
否
(
よからぬ
)
ところあらば、天之を
厭
(
す
)
てん、天之を
厭
(
す
)
てんと。(雍也、二八)
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
科学を
呪
(
のろ
)
うこと
迚
(
とて
)
もはなはだしく、科学的殺人の便宜を指摘する
夫子
(
ふうし
)
自身
(
じしん
)
はいつか
屹度
(
きっと
)
この「
便宜
(
コンビニエンス
)
」の材料に使われて
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いかに籠城が北条の
十八番
(
おはこ
)
でも、のびのびと屈托のない秀吉に対しては一向利き目がない。それどころか
夫子
(
ふうし
)
自身、此のお家伝来の芸に退屈し始めて来た。
小田原陣
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
道義の頽廃を嘆くことのエゴイズムも同じこと、如何に嘆いてみたところで
夫子
(
ふうし
)
自らの道義なるものゝエゴイズムをさとらなければ笑ひ話にすぎないだらう。
エゴイズム小論
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
くど/\
二言
(
ふたこと
)
三言
(
みこと
)
云うかと思うと、「それじゃまた」とお
辞儀
(
じぎ
)
をして往ってしまった。「弟が発狂した」が彼の
口癖
(
くちぐせ
)
である。弟とは
蓋
(
けだし
)
夫子
(
ふうし
)
自
(
みずから
)
道
(
い
)
うのであろう。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それを知つて居る
夫子
(
ふうし
)
自身もまた、塔のあたりを、深夜ウロウロする一人だつたのかも知れません。
銭形平次捕物控:259 軍学者の妾
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
夫子
(
ふうし
)
曰
(
のたまわ
)
く、『衆生かならず死す、死すればかならず土に帰す。これ、これを鬼という。骨肉下陰に
斃
(
たお
)
れて
野土
(
やど
)
となり、その気上に発揚して、
昭明焄蒿悽愴
(
しょうめいくんこうせいそう
)
となると、云云』
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
門前の
雀羅
(
じやくら
)
蒙求
(
もうぎう
)
を
囀
(
さへづ
)
ると説く先生あれば、
燎原
(
れうげん
)
を焼く火の如しと辯ずる
夫子
(
ふうし
)
あり。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
夫子
(
ふうし
)
が
強
(
あなが
)
ちに
爾
(
しか
)
き道義的
誤謬
(
ごびう
)
の見解を下したるは、大早計にも婦人を以て直ちに内政に参し家計を調ずる細君と
臆断
(
おくだん
)
したるに因るなり。婦人と細君と同じからむや、
蓋
(
けだ
)
し其
間
(
あひだ
)
に大差あらむ。
醜婦を呵す
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
退
(
の
)
っぴきならぬ退歩説の実例を得るためには、
夫子
(
ふうし
)
それ自身、そういう下層の日常の中で生活する必要があるという痛烈な決心をし、荷物をひき
纏
(
まと
)
めて静寂閑雅なパッシイの
高等下宿
(
パンション・ド・ファミイユ
)
から
犂氏の友情
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
小川秋明は社会主義かぶれしておると言っとるが、
夫子
(
ふうし
)
自身、無産党の連中を利用して、大衆を踊らせようとしている。それこそ社会主義者の手だが、笛吹けどもということになりはせんかな
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
此
(
これ
)
は是れ
伊川
(
いせん
)
みずから
此
(
この
)
説を造って禅学者を
誣
(
し
)
う、伊川が良心いずくにか
在
(
あ
)
る、と云い、
管
(
かん
)
を以て天を
窺
(
うかが
)
うが如しとは
夫子
(
ふうし
)
みずから
道
(
い
)
うなりと云い、
程夫子
(
ていふうし
)
崛強
(
くっきょう
)
自任
(
じにん
)
す、聖人の道を伝うる者
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
尤
(
もっと
)
も
夫子
(
ふうし
)
自
(
みずか
)
ら神学博士だった。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
こう
勢
(
いきおい
)
に乗じてぬすっとうを追い懸ける以上は、
夫子
(
ふうし
)
自身がぬすっとうに成っても追い懸けるつもりと見えて、引き返す
気色
(
けしき
)
もなく垣の根元まで進んだ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夫子
(
ふうし
)
自身は青酸などと関係のありそうな存在ではありませんから、これは全く問題外です。
死の予告
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
昔孔子
老耼
(
ろうたん
)
を見て帰り三日
談
(
かた
)
らず、弟子問うて曰く、
夫子
(
ふうし
)
老耼を見て何を
規
(
ただ
)
せしか、孔子曰く、われ今ここにおいて竜を見たり、竜は
合
(
お
)
うて体を成し散じて章を成す、雲気に乗じて陰陽は養わる
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
吾
(
われ
)
聞
(
き
)
く、
君子
(
くんし
)
は
己
(
おのれ
)
を
知
(
し
)
らざる
者
(
もの
)
に
(五二)
詘
(
くつ
)
して、
己
(
おのれ
)
を
知
(
し
)
る
者
(
もの
)
に
信
(
の
)
ぶと。
吾
(
われ
)
・
縲紲
(
るゐせつ
)
の
中
(
うち
)
に
在
(
あ
)
るに
方
(
あた
)
り、
(五三)
彼
(
かれ
)
、
我
(
われ
)
を
知
(
し
)
らず。
(五四)
夫子
(
ふうし
)
既
(
すで
)
に
(五五)
感寤
(
かんご
)
し、
我
(
われ
)
を
贖
(
あがな
)
へり、
是
(
こ
)
れ
己
(
おのれ
)
を
知
(
し
)
るなり。
国訳史記列伝:02 管晏列伝第二
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
宰我曰く、予を以て
夫子
(
ふうし
)
を観るに、堯舜より
賢
(
まさ
)
れること遠し。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
後、冉有が子路の所へ行って
夫子
(
ふうし
)
の言葉を告げた。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
私は私を代表している、私以外の者は一人も代表しておらない。親も代表しておらなければ、子も代表しておらない、
夫子
(
ふうし
)
自身を代表している。
否
(
いな
)
夫子自身である。
模倣と独立
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
したがって浅井君はいっこう知らない。ただ断われば済むと思っている。淋しい小夜子の運命が、
夫子
(
ふうし
)
の
一言
(
いちごん
)
でどう変化するだろうかとは浅井君の夢にだも考え得ざる問題である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
で公徳と申すと何か新しく外国から輸入して来たように考える諸君もあるかも知れんが、そう思うのは
大
(
だい
)
なる誤りで、
昔人
(
せきじん
)
も
夫子
(
ふうし
)
の
道一
(
みちいつ
)
以
(
もっ
)
て
之
(
これ
)
を
貫
(
つらぬ
)
く、
忠恕
(
ちゅうじょ
)
のみ
矣
(
い
)
と云われた事がある。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「何にもない。
時々
(
とき/″\
)
論文を書く事はあるが、ちつとも反響がない。あれぢや駄目だ。丸で世間が知らないんだから仕様がない。先生、僕の事を丸行燈だといつたが、
夫子
(
ふうし
)
自身は偉大な
暗闇
(
くらやみ
)
だ」
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「何もない。時々論文を書く事はあるが、ちっとも反響がない。あれじゃだめだ。まるで世間が知らないんだからしようがない。先生、ぼくの事を
丸行燈
(
まるあんどん
)
だと言ったが、
夫子
(
ふうし
)
自身は偉大な暗闇だ」
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夫
常用漢字
小4
部首:⼤
4画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“夫子”で始まる語句
夫子自身