大音だいおん)” の例文
さけんで、大音だいおん呵々から/\わらふとひとしく、そらしたゆびさきへ、法衣ころもすそあがつた、黒雲くろくもそでいて、虚空こくういなづまいてぶ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
願ひし處却て右樣の御疑ひを蒙ることあまり殘念なりと云はせもはてず大岡殿大音だいおんに默止れ平左衞門汝未だも奸智かんちべんを以て公儀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と、薄闇を貫いて、パッと火縄の火花が散り、ドンと一発鳴り渡ろうとした時、武士が大音だいおんに呼ばわった。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
おすといふはたれともなくサンヨウ/\と大音だいおんよばはるこゑの下に、堂内に充満みち/\たる老若男女ヲヽサイコウサイとよばはりて北より南へどろ/\と押、又よばはりて西より東へおしもどす。
うもこれは耳へけてくのに、ギン/\とかすかにきこえて判然はつきりわからぬやうだが、うかう耳へあてずに器械きかいをギユーとねぢると、判然はつきり音色おんしよく席中せきぢうぱい大音だいおんきこえるやうにたいものだ。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
雷横の大音だいおんが、しきりに声をらしていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つみおとさんと計りし事かゞみかけて寫が如し重々不屆の次第明白めいはくに申立ろと大音だいおんに云るゝを憑司はおそれず傳吉が申するのみを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大音だいおんあげ、追掛おひかけしがたちまちにくもおこり、真闇まつくらになり、大雨たいう降出ふりいだし、稲光いなびかりはげしく、大風おほかぜくがごとくなるおとして座頭ざとうはいづくにゆきしやらむ——とふのである。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おすといふはたれともなくサンヨウ/\と大音だいおんよばはるこゑの下に、堂内に充満みち/\たる老若男女ヲヽサイコウサイとよばはりて北より南へどろ/\と押、又よばはりて西より東へおしもどす。
一同うなることかと顔を見合せて居りましたが、追々怪我人けがにんは増えますばかり、義気に富みたる文治はこらえ兼て、突然いきなり一本の棒を携え、黒煙くろけむりの如き争闘の真只中まったゞなかに飛込んで大音だいおんを挙げ
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
再發さいはつさせ科人とがにんの身と成し事思ひ知れやとひながら奉行ぶぎやうの方に打向ひわれるばかりの大音だいおんあげ是迄したる我が惡事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其時そのとき荒坊主あらばうず岸破がば起上おきあがり、へさき突立つゝたツて、はつたとけ、「いかに龍神りうじん不禮ぶれいをすな、このふねには文覺もんがく法華ほつけ行者ぎやうじやつてるぞ!」と大音だいおんしかけたとふ。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
をどりといふもをけうちいもあらふがごとし。ゆゑに人みな満身みうちあせをながす。第七をどり目にいたりて普光寺ふくわうじ山長やまをとこ耕夫さくをとこの長をいふ)手にさゝらもち、人の手輦てぐるまのりて人のなかへおし入り大音だいおんにいふ。
と熊の惣身そうしんに抱付きました。此のていを見るより猟人かりゅうどは益々大音だいおん
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
丁々坊 お使いのもの!(森の梢に大音だいおんあり)——おぐし御矢おんや、お返し申し上ぐる。……唯今。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
をどりといふもをけうちいもあらふがごとし。ゆゑに人みな満身みうちあせをながす。第七をどり目にいたりて普光寺ふくわうじ山長やまをとこ耕夫さくをとこの長をいふ)手にさゝらもち、人の手輦てぐるまのりて人のなかへおし入り大音だいおんにいふ。
関所に立向たちむかつて、大音だいおんに(権現ごんげんが通る。)と呼ばはれ、すみやかに門をひらく。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)