トップ
>
多勢
>
たぜい
ふりがな文庫
“
多勢
(
たぜい
)” の例文
しかしチユウヤは、勇敢に戦つて、捕手を
二人
(
ふたり
)
斬
(
き
)
り殺した。けれども、とうとう
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
で、捕手のために逮捕されてしまつた。
日本の女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
斯
(
かか
)
る始末となって
多勢
(
たぜい
)
に
取巻
(
とりまか
)
れては、
到底
(
とても
)
本意
(
ほんい
)
を遂げることは
覚束
(
おぼつか
)
ない。一旦はここを逃げ去って、二度の復讐を計る方が無事である。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
然るに今、
多勢
(
たぜい
)
の妾を養い、本妻にも子あり、妾にも子あるときは、兄弟同士、父は一人にて母は
異
(
こと
)
なり。夫婦に区別ありとはいわれまじ。
中津留別の書
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
我
(
われ
)
は
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
つて、
双
(
さう
)
の
眼
(
まなこ
)
で
明
(
あきら
)
かに
見
(
み
)
る
采
(
さい
)
の
目
(
め
)
を、
多勢
(
たぜい
)
が
暗中
(
あんちゆう
)
に
摸索
(
もさく
)
して、
丁
(
ちやう
)
か、
半
(
はん
)
か、
生
(
せい
)
か、
死
(
し
)
か、と
喧々
(
がや/\
)
騒
(
さわ
)
ぎ
立
(
た
)
てるほど
可笑
(
をかし
)
な
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
い。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
塵
(
ちり
)
積って山をなすと云うから、微々たる一生徒も
多勢
(
たぜい
)
が
聚合
(
しゅうごう
)
すると
侮
(
あなど
)
るべからざる団体となって、
排斥
(
はいせき
)
運動やストライキをしでかすかも知れない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
僕は連を捜しに出掛けようとしたが、その時ふと気が附いて見れば、一人の男が自分の売場に立つて、
多勢
(
たぜい
)
の人の頭を見越して、僕に
手招
(
てまねき
)
をしてゐた。
不可説
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
「まあまあ、そこのところをひとつ——どうかそういうわけでございますから旦那様、
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
でどうもはや、どうかお引移りを願いたいもので……」
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
學び得て覺えある
惡漢
(
しれもの
)
なれ共
不意
(
ふい
)
と云
多勢
(
たぜい
)
にて
押伏
(
おしふせ
)
られし事故
汚面々々
(
をめ/\
)
と
召捕
(
めしとら
)
れけり斯て又友次郎は其朝馬喰町の旅宿を
曉
(
あけ
)
寅刻
(
なゝつ
)
に立出て板橋の方へ
到
(
いた
)
り吾助を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
である。ときには、ひょっとしたら自分たちはそういう異類のものゝ血筋なのではないか。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
何よりも
多勢
(
たぜい
)
の側にとって不利なので、存分に動きのとれる峠下の広野へ泰軒をひきだし、また自分たちも一歩でも江戸に近よろうと、軍之助の指揮のもとに、一同
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
僕は一生懸命にそうはさせまいとしましたけれども、
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
で
迚
(
とて
)
も
叶
(
かな
)
いません。
一房の葡萄
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
と、クーパーはふんがいしてみたが、なにしろ
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
でどうにもならない。
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
何故
(
なぜ
)
早く云わん、それじゃア
狼藉者
(
ろうぜきもの
)
が忍び込み、飯島が
流石
(
さすが
)
手者
(
てしゃ
)
でも
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
、
切立
(
きりた
)
てられているのを、お前が一方を切抜けて知らせに来たのだろう、宜しい、手前は剣術は知らないが
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あの名だたる名家の劍と一門の
多勢
(
たぜい
)
に對して、一個の武藏が、ただよくそれを克服したとか、強かつたとかいふのみでなく、精神的に觀ても、すでに或る高い境地にまで到達してゐた跡が見える。
折々の記
(旧字旧仮名)
/
吉川英治
(著)
「この化け物め。なんで人間にむかって無礼を働くのだ」と、士は勇気を回復して叫んだが、やはり
多勢
(
たぜい
)
にはかなわない。
中国怪奇小説集:05 酉陽雑爼(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
下士はよき役を
勤
(
つとめ
)
て
兼
(
かね
)
て家族の
多勢
(
たぜい
)
なる家に非ざれば、
婢僕
(
ひぼく
)
を使わず。
昼間
(
ひるま
)
は町に
出
(
い
)
でて物を買う者少なけれども、夜は男女の
別
(
べつ
)
なく町に
出
(
いず
)
るを常とす。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
何しろ
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
と云い、こちらは年よりの事でございますから、こうなっては勝負を争うまでもございません。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
また早い話が、この峠を越さねばと申して、
多勢
(
たぜい
)
のものが難渋をするでもなし、で、聞いたままのお茶話。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
多勢
(
たぜい
)
の間に立って、多数より
優
(
すぐ
)
れたりとの自覚あるものは、身動きが出来ぬ時ですら得意である。博覧会は当世である。イルミネーションはもっとも当世である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お角は血に
染
(
し
)
みた剃刀を打振って、群がり来る折助の面を望んでは縦一文字、横一文字に斬って廻る。けれども、
多勢
(
たぜい
)
を恃む折助、
賭博打
(
ばくちうち
)
、後から後からと押して来る。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と、どなったが、もちろん
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
で、とてもかなわないと見えたし、そのうえ、じつはこのとき竹見にもいささか考えがあって、わざと相手のやりほうだいにまかせておいたのだった。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
若
(
も
)
し向うが
多勢
(
たぜい
)
で乱暴を仕掛けられた時は、
止
(
や
)
むを得ず腰の物を取らんければならぬ、其の時離れていては都合が悪い、それゆえ襖の蔭へ置きまして、余程
柄前
(
つかまえ
)
が
此方
(
こっち
)
へ見えるようにして
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
、あたいはスタコラ逃げ出して、駕籠でここへとんできたわけだが、もう穴は埋まったに相違ねえ。ねえ小父ちゃん。お前はとっても強い人だって、丹下の父上が
始終
(
しじゅう
)
言っていたよ。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
あの名だたる名家の剣と一門の
多勢
(
たぜい
)
に対して、一箇の武蔵が、ただよくそれを克服したとか、強かったとかいうのみでなく、精神的に観ても、すでに或る高い境地に近づきかけていた跡が見える。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夜なかに
多勢
(
たぜい
)
が押し寄せて来たのを見て、賊徒の夜襲と早合点して、太鼓を鳴らして村内の者どもを呼びあつめた。
中国怪奇小説集:10 夷堅志(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
夫
(
そ
)
れからいよ/\巴里に着して、先方から接待員が迎いに出て来ると、一応の挨拶終りて
先
(
ま
)
ず
此方
(
こっち
)
よりの
所望
(
しょもう
)
は、随行員も
多勢
(
たぜい
)
なり荷物も多いことゆえ
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
多勢
(
たぜい
)
が朝に晩に、この一人を突つき廻わして、幾年の
後
(
のち
)
この一人の人格を堕落せしめて、下劣なる趣味に誘い去りたる時、彼らは殺人より重い罪を犯したのである。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
東山少尉は、
振笛
(
しんてき
)
を吹いて、残りすくない部下を、非常召集した。だが、敵は
多勢
(
たぜい
)
で、服装に似ず、戦闘力は強かった。局舎守備隊も苦戦と見えて、連絡は、どう頑張っても、とれなかった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
愚と言われ、
嫉妬
(
しっと
)
と言われ、じんすけと
嘲
(
あざ
)
けられつつも、
多勢
(
たぜい
)
の人数を
狩集
(
かりあつ
)
めて、あの辺の汽車の沿道一帯を、
粟
(
あわ
)
、
蕎麦
(
そば
)
、稲を買求めて、草に刈り、
芥
(
あくた
)
にむしり、甚しきは古塚の横穴を
発
(
あば
)
いてまで
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
息
(
いき
)
はきれる。——それに、
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
だ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なにを申すも
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶせい
)
……。(嘆息する。)わずか一日のいくさで……。思えば
果敢
(
はか
)
ないことでござりました。
平家蟹
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
中津人は俗物であると
思
(
おもっ
)
て、
骨肉
(
こつにく
)
の
従兄弟
(
いとこ
)
に対してさえ、心の中には何となく
之
(
これ
)
を
目下
(
めした
)
に
見下
(
みくだ
)
して居て、
夫等
(
それら
)
の者のすることは一切
咎
(
とがめ
)
もせぬ、
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ただ神経ばかり痛めて、からだは悪くなる、人は
褒
(
ほ
)
めてくれず。向うは平気なものさ。坐って人を使いさえすればすむんだから。
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
どうせ、
叶
(
かな
)
わないのは知れているさ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「どうもソノ、あの場合ぐずぐずしていると、こっちの部下たちが、みんな海の中に、なげこまれそうになったもんでしてナ。なにしろ
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
というやつです。そのうえ、向こうは、なかなか
手剛
(
てごわ
)
いごろつきぞろいなんです」
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「そうして幽霊の小屋へ行って、何かごた付いたろう。はは、相手が悪い。おまけに
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
だ。なぐられて突き出されて、ちっと器量が悪かったな」
半七捕物帳:57 幽霊の観世物
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ほとんど最下等の労働者にさえ
歯
(
よわい
)
されない
人非人
(
にんぴにん
)
として、
多勢
(
たぜい
)
の侮辱を受けている。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
船の
割
(
わり
)
にしては
多勢
(
たぜい
)
の
乗組人
(
のりくみにん
)
でありしが、この航海の事に
就
(
つい
)
ては色々お話がある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
もがいても狂っても、
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
である。采女は大地に捻じつけられて、両腕をひしひしと
縛
(
くく
)
られてしまった。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
もし積極的に出るとすれば金の問題になる。
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
の問題になる。換言すると君が金持に頭を下げなければならんと云う事になる。衆を
恃
(
たの
)
む小供に恐れ入らなければならんと云う事になる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
まして
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
であるから、中間はとても反抗する力はなかった。かれは彼等のなすままにおめおめ服従して、白昼諸人のまえに生き恥を
晒
(
さら
)
すほかはなかった。
半七捕物帳:23 鬼娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
なにをいうにも
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
ですから、こうなったら逃げるよりほかはない。異人たちは真っ蒼になって坂下の方へ逃げました。別手組も一緒に逃げました。弥次馬は
閧
(
とき
)
の声をあげて追って来る。
半七捕物帳:58 菊人形の昔
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかも本寺から
多勢
(
たぜい
)
の僧侶を送って来ることは、道中の経費その他に多額の物入りを要するので、本寺の僧はその一部に過ぎず、他は近所の同派の寺々から臨時に雇い入れることになっている。
半七捕物帳:65 夜叉神堂
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“多勢”の意味
《名詞》
多くの人達。大勢。
(出典:Wiktionary)
多
常用漢字
小2
部首:⼣
6画
勢
常用漢字
小5
部首:⼒
13画
“多勢”で始まる語句
多勢子