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喫驚
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びつくり
ふりがな文庫
“
喫驚
(
びつくり
)” の例文
『
何
(
な
)
んぼ
何
(
な
)
んでも、不意に二人でいんだら、
家
(
うち
)
で
喫驚
(
びつくり
)
しますがな。』と、お光は
自家
(
うち
)
へ小池を伴なつて歸るのを
澁
(
しぶ
)
る樣子であつた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
吾等
(
われら
)
も
喫驚
(
びつくり
)
して
其方
(
そなた
)
を
振向
(
ふりむ
)
くと、
此時
(
このとき
)
、
吾等
(
われら
)
の
立
(
た
)
てる
處
(
ところ
)
より、
大約
(
およそ
)
二百ヤード
許
(
ばかり
)
離
(
はな
)
れた
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
から、
突然
(
とつぜん
)
現
(
あら
)
はれて
來
(
き
)
た
二個
(
ふたり
)
の
人
(
ひと
)
がある。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
其處へ以てマルコ・ポーロが殆ど見たこともない蒙古人の風をして歸つて來ましたから皆の者は
喫驚
(
びつくり
)
して彼奴詐僞師に違ひないなど申す。
元時代の蒙古人
(旧字旧仮名)
/
桑原隲蔵
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
例令
(
たとひ
)
品物
(
しなもの
)
が
有
(
あ
)
つた
處
(
ところ
)
で、
自分
(
じぶん
)
の
現在
(
いま
)
の
力
(
ちから
)
では
到底
(
たうてい
)
それは
求
(
もと
)
められなかつたかも
知
(
し
)
れぬと
今更
(
いまさら
)
のやうに
喫驚
(
びつくり
)
して
懷
(
ふところ
)
へ
手
(
て
)
を
入
(
い
)
れて
見
(
み
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それで先方も驚いたが、こちらが一層
喫驚
(
びつくり
)
して、倉皇と逃げ帰つたといふ牛乳屋の話を、お藤さんは面白さうに私にして聞かせるのだつた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
▼ もっと見る
高い桜の
枯
(
かれ
)
枝を余念なく眺めて居た女は、急に三四郎の方を振り向く。あら
喫驚
(
びつくり
)
した、
苛
(
ひど
)
いわ、といふ顔付であつた。然し答は尋常である。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
(やあ、
御坊様
(
ごばうさま
)
、)といはれたから、
時
(
とき
)
が
時
(
とき
)
なり、
心
(
こゝろ
)
も
心
(
こゝろ
)
、
後暗
(
うしろぐら
)
いので
喫驚
(
びつくり
)
して
見
(
み
)
ると、
閻王
(
えんわう
)
の
使
(
つかひ
)
ではない、これが
親仁
(
おやぢ
)
。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
室
(
へや
)
の戸を
軽
(
かる
)
く叩く物音に自分は
喫驚
(
びつくり
)
して夢から覚めた。ホテルのボオイが早や石油のランプを持ち運んで来たのである。
海洋の旅
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「さあ、裏から廻はりませう。さうすれば此の真つ暗に見える『天の岩戸』の中にどれ程の光りが
湛
(
たゝ
)
へられてあるか、貴方は
喫驚
(
びつくり
)
なさるでせう。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
俺の
母犬
(
おふくろ
)
は俺を生むと間もなく
暗黒
(
やみ
)
の晩に
道路
(
わうらい
)
で寝惚けた巡行巡査に足を踏まれたので、
喫驚
(
びつくり
)
してワンと吠えたら狂犬だと云つて殺されて了つたさうだ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
ところがその西瓜が仙蔵も次郎作もまだ見たこともない程のものでした。それは酒を
拵
(
こし
)
らへるときの、
大樽
(
おほだる
)
ほどもありました。二人は大へん
喫驚
(
びつくり
)
しました。
漁師の冒険
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
爺
喫驚
(
びつくり
)
して「竿持ツて来るのは止めるから、早く降りて呉れ、旦那でも来れあ俺が叱られるから。」と云ふ。
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
小樽は、冬子だな! と直ぐに気づいたにも拘はらず、その瞬間には飛びあがるほど
喫驚
(
びつくり
)
した。
黄昏の堤
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
めたん子は愚鈍でのろのろしてゐるが、時と場合によると
喫驚
(
びつくり
)
するくらゐ素早いことがあつた。
めたん子伝
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
まつたく
喫驚
(
びつくり
)
しました。今まで全然氣のつかなかつた一大事を、いま突然教へられたやうな驚きであつたのです。忽ち胸はどきどきとしだしましたが、それもすぐ納りました。
金比羅参り
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
梅子は
遽然
(
きよぜん
)
我に返へりつ、「あら、芳ちやん、
喫驚
(
びつくり
)
しましたよ、
何
(
どう
)
なすつて」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
どうなと勝手にしおれいと。枕を取つて投げ棄てる、力は抜けても、中に立つ柱の際に嘉平は
喫驚
(
びつくり
)
。ひやあ太一さうまでも怒らぬものじや。病気の毒じや勘忍せい。悪いはおれじや、ま、待てやい。
移民学園
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
さう漁夫が言つたから少年は
喫驚
(
びつくり
)
した。そして突然泣き出した。
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
初めは
喫驚
(
びつくり
)
しても、文吾の小ひさな度胸は、もうスツカリ据わつてしまつた。矢でも鐵砲でも持つて來いといふ氣になつた。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
彼の思想は、人間の暗黒面に出逢つて
喫驚
(
びつくり
)
する程の
山出
(
やまだし
)
ではなかつた。
彼
(
かれ
)
の神経は斯様に陳腐な秘密を
嗅
(
か
)
いで嬉しがる様に退屈を感じてはゐなかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
午前
(
ごぜん
)
、
囘診
(
くわいしん
)
においでなすつた
醫師
(
せんせい
)
が、
喫驚
(
びつくり
)
なさいました。
不思議
(
ふしぎ
)
なくらゐ、
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
から
脈
(
みやく
)
がよく
成
(
な
)
つたんです……
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
『
大
(
おほ
)
きくなりました
段
(
だん
)
か。
近々
(
きん/\
)
に
橄欖島
(
かんらんたう
)
でお
逢
(
あ
)
ひになつたら、そりや
喫驚
(
びつくり
)
なさる』とまた
兵曹
(
へいそう
)
が
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
何とか先に手紙でも來れや、
職業
(
くち
)
の方だつて見付けるに都合が
可
(
いゝ
)
んだ。昨日は實際僕
喫驚
(
びつくり
)
したぜ。何にも知らずに會社から歸つて見ると後藤の肇さんが來てるといふ。
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「田舎のお父つあん見やはつたら、
喫驚
(
びつくり
)
しやはりまツせ。——矢つ張り機嫌ようしてはりまツか。」
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
は
私
(
わたし
)
もどうかしてと
思
(
おも
)
つてね、それだがおつぎが
度胸
(
どきよう
)
のあるのぢや
私
(
わたし
)
も
喫驚
(
びつくり
)
したよ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
早速友人に遲刻を責めつつ事情を聞くと、その友人がうとうと車中で居睡をして居る間に、馬車が泥濘の裡に顛覆して、否やといふ程、頭を打ち付けた。
喫驚
(
びつくり
)
したが、車内のこととて身動きが出來ぬ。
大師の入唐
(旧字旧仮名)
/
桑原隲蔵
(著)
も一人のは
喫驚
(
びつくり
)
して振り迎つた。
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
あの時は、ほんとに
喫驚
(
びつくり
)
したよ。東京の
何家
(
どつ
)
かの
女將
(
おかみ
)
にしては
野暮臭
(
やぼくさ
)
くもあるし、第一言葉が違ふし、それにフイと下駄を見ると、ヒドい
奴
(
やつ
)
を
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
獅子
(
しゝ
)
、
虎
(
とら
)
、
猛狒等
(
ゴリラなど
)
いづれも
此
(
この
)
不思議
(
ふしぎ
)
なる
鐵檻
(
てつおり
)
の
車
(
くるま
)
に
一時
(
いちじ
)
は
喫驚
(
びつくり
)
したのであらう、
容易
(
ようゐ
)
に
手
(
て
)
を
出
(
いだ
)
さない。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
何とか先きに手紙でも来れや、
職業
(
くち
)
の方だツて見付けるに都合が
可
(
いい
)
んだ。昨日は実際僕
喫驚
(
びつくり
)
したぜ。何にも知らずに会社から帰ツて見ると、後藤の肇さんが来てるといふ。
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
お秋さんは右の手を拔いて左の肩で背負子を支へて左の膝を曲げてそつと地上へ卸した。持つてゐて呉れといふので自分は背負子を支へてゐる。一寸引つ立てて見たら重いのに
喫驚
(
びつくり
)
した。
炭焼のむすめ
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
要するに行ける所迄行つて見なかつたから、見当が付かない。思ひ切つてもう少し行つて見ると
可
(
よ
)
かつた。けれども恐ろしい。別れ際にあなたは度胸のない方だと云はれた時には、
喫驚
(
びつくり
)
した。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
この現實の暴露に狼狽し
喫驚
(
びつくり
)
したのは無理でない。
支那猥談
(旧字旧仮名)
/
桑原隲蔵
(著)
「なんや、おまはんか——おゝ、
喫驚
(
びつくり
)
した!」
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
此方
(
こつち
)
は
喫驚
(
びつくり
)
して
默
(
だま
)
つて
視
(
なが
)
める。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「此處や、此處や。」と叫ぶと、千代松は
喫驚
(
びつくり
)
した顏をして、竹丸と同じやうに其の白い字の標札を仰いだ。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
新坊は、常にない智惠子の此擧動に
喫驚
(
びつくり
)
して、泣くのは
礑
(
はた
)
と止めて不安相に大きく目を睜つた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
猪之介は
喫驚
(
びつくり
)
した顏をして、かう言ひながら
背後
(
うしろ
)
を振り向いた。旦那は尖つた口をいよ/\尖らして
兵隊の宿
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
新坊は、常にない智恵子の此挙動に
喫驚
(
びつくり
)
して、泣くのは
礑
(
はた
)
と止めて不安相に
大
(
おほき
)
く眼を
睜
(
みは
)
つた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
茫然
(
ぼんやり
)
立つてゐる小児でもあれば、
背後
(
うしろ
)
から
窃
(
そつ
)
と行つて、目隠しをしたり、
唐突
(
いきなり
)
抱上げて
喫驚
(
びつくり
)
さしたりして、快ささうに笑つて行く。千日紅の花でも後手に持つた、腰曲りの
老媼
(
ばばあ
)
でも来ると
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「あゝ
喫驚
(
びつくり
)
した。……やけんど、
牝
(
めん
)
たと間違へてけつかる。」
太政官
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
『病人が突然やつて來て、
喫驚
(
びつくり
)
したらう? 夜になつても矢つ張り暑いね。』
我等の一団と彼
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「ずツと前に
診
(
み
)
てもろた醫者が、リョーマチやいうて、其の藥ばかり呉れてたんが
惡
(
わる
)
おましたんや。子宮だしたんやもんなア、此處の院長さんが
診
(
み
)
やはつて、餘ツぽどわるなつたるいうて、
喫驚
(
びつくり
)
してゐやはつた。」
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
二三日前でした、由松は先生と然うしてゐて、突然眼を瞑つて
背後
(
うしろ
)
に倒れました。先生は靜かに由松を抱いて小使室へ行つて、頭に水を掛けたので子供は蘇生しましたが、私共は一時
喫驚
(
びつくり
)
しました。
足跡
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
二三日前でした、由松は先生と然うしてゐて、突然眼を
瞑
(
つぶ
)
つて
背後
(
うしろ
)
に倒れました。先生は静かに由松を抱いて小使室へ行つて、頭に水を掛けたので小供は蘇生しましたが、私共は一時
喫驚
(
びつくり
)
しました。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そして、『罷めましたよ。貴方が
喫驚
(
びつくり
)
するから。』
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『
其麽
(
そんな
)
に
喫驚
(
びつくり
)
する事はねえさ。』
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
“喫驚”の意味
《名詞》
喫 驚(きっきょう, きっけい, びっくり)
驚くこと。
(出典:Wiktionary)
喫
常用漢字
中学
部首:⼝
12画
驚
常用漢字
中学
部首:⾺
22画
“喫驚”で始まる語句
喫驚仰天