參詣さんけい)” の例文
新字:参詣
致し罷り在候處さんぬる十二月中私し儀上野の大師へ參詣さんけい途中とちう上野車坂下にて大橋文右衛門にめぐり逢ひ夫れより同人宅へ參り樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
參詣さんけい老若男女らうにやくなんによは、ぞろ/\と、るやうに松並木まつなみきみち往來わうらいして、ふくろはひつたあめや、かみこしらへたはたのやうなものが、子供こどもにも大人おとなにもあつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
さては身延みのぶ參詣さんけいをするのであつたか。遙拜えうはいしつゝ、わたしたちは、いまさらながら二人ふたりを、なみだぐましく見送みおくつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「紋太夫の位牌はありません。誰も參詣さんけいするものがないのです。しかしこちらに戒名が書き附けてあります。」
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
高僧頭巾こそづきん肩掛かたかけひきまとひ、良人つまきみもろとも川崎かはさき大師だいし參詣さんけいみちすがら停車塲ていしやば群集くんじゆに、あれは新橋しんばしか、何處どこのでらうとさゝやかれて、奧樣おくさまともはれぬるながられをあさからずうれしうて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さてまた江戸馬喰町二丁目なる武藏屋長兵衞夫婦は後藤半四郎を送り大師河原だいしがはら參詣さんけいして歸りしがかねて後藤より頼まれし越後浪人新藤市之丞の世話せわ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
殿樣とのさまのおすやうなはなしたねすくなうござりましてな。またひと多田院ただのゐん參詣さんけいはなしでもいたしませうか。』
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
おもしたとて今更いまさらうなるものぞ、わすれて仕舞しまあきらめて仕舞しまへと思案しあんめながら、去年きよねんぼんにはそろひの浴衣ゆかたをこしらへて二人ふたりしよ藏前くらまへ參詣さんけいしたることなんどおもふともなくむねへうかびて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たま/\の旅行りよかうだし、靜岡しづをかまで行程ゆきして、都合つがふで、あれから久能くのう𢌞まはつて、龍華寺りうげじ——一方ひとかたならず、わたしのつたないさくおもつてくれた齋藤信策さいとうしんさくひと)さんのはかがある——其處そこ參詣さんけいして
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
十三じふそ三國みくにかはふたして、服部はつとり天神てんじん參詣さんけいし、鳥居前とりゐまへ茶店ちやみせやすんだうへ、またぼつ/\とかけた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
取繕とりつくろひ申にぞ次右衞門三五郎口をそろへて然らば其石塔せきたふ參詣さんけい致し度貴僧きそうには先へ歸られ其用意よういをなし置給へと云に祐然かしこまり候と急ぎ立歸りて無縁むえんの五りんたふ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
……晝間ひるま出掛でかけられますか。つて路次ろじて、觀世音くわんぜおん參詣さんけいした。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なにもいざこざはない、はなしかへつててゆつくりするが、これからぐに筑波山つくばさん參詣さんけいだ。友達ともだち附合つきあひでな、退引のつぴきならないで出掛でかけるんだが、おあきさん、おまへ呼出よびだしたのはほかことぢやない、路用ろようところだ。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)