「この山中へ追い込めばもはや袋の鼠である、いずれへ行っても紀州領、帰れば我々の追手が十重二十重、山中に永く迷いおれば食糧はなし」
			
				
					大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
				
			
		このとき! 十重二十重にとり巻く警護の武士が、ドッ! とどよめきだったかと思うと、左膳の濡れ燕が闇にひらめいて!
			
				
					丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
				
			
		
				
					銭形平次捕物控:124 唖娘 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
				
			
		この個性は外界によって十重二十重に囲まれているにもかかわらず、個性自身に於て満ち足らねばならぬ。その要求が成就されるまでは絶対に飽きることがない。
			
		
				
					右門捕物帖:16 七化け役者 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
				
			
		その年の五月、進んで翼賛政治会に入会したが、そこはもはや軍閥の策源地であり、彼は十重二十重にめぐらされた憲兵の警戒の中にあって身動きもできなくなっている自分を見出した。
			
				
					叛骨・中野正剛:――主観的な覚え書き (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
				
			
		
				
					人造人間戦車の機密:――金博士シリーズ・2―― (新字新仮名) / 海野十三(著)
				
			
		よせては六万余騎のぐんぜいをもって蟻のはいでるすきまもなく十重二十重に打ちかこみ、のぶなが公をそうだいしょうとして、柴田しゅりのすけ、にわ五郎ざえもん、佐久間うえもんのじょうなど
			
		
				
					銭形平次捕物控:030 くるい咲き (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
				
			
		門前町まで来るうちに、百人以上にもなって、縄付きの武蔵ひとりを十重二十重に警固して行くのだった。
			
				
					宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
				
			
		
				
					大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
				
			
		曹操は、中央の式殿に、悠揚と陣座をとって、腹心の大将や武士に、十重二十重、護られていた。
			
				
					三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
				
			
		
				
					銭形平次捕物控:126 辻斬 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
				
			
		その網を取払って、そうして、茂太郎の口から聞くところによれば、熟睡中に不意に襲いかかって、自分の口をおさえ、その上をこの通り十重二十重に包んでしまった者がある。
			
				
					大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
				
			
		「ぼくは賊の手なみに感心しているのですよ。彼はやっぱりえらいですなあ。ちゃんと約束を守ったじゃありませんか。十重二十重の警戒を、もののみごとに突破したじゃありませんか。」
			
		
				
					私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
				
			
		竹矢来のそとは十重二十重に、数千数百の群衆が、おもわずワーッと悲嘆の声をあげましたが、つづいて警固の役人のどなる声と、頭上にひらめく槍と刀のおどかしにキモをつぶして
			
		
				
					三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
				
			
		美しいお糸を十重二十重に包んで、昼のうちから水も漏らさぬ警戒振りです。
			
				
					銭形平次捕物控:002 振袖源太 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
				
			
		しかし、一千の守兵が、十重二十重の大軍に抗しながら、山上の厳冬にも耐えてきたのは、とてもそれまでにあった武門の旧知識や習慣だけでは、まにあわなかったに相違ない。
			
				
					私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
				
			
		
				
					銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
				
			
		「ヘエ——、下っ引が五六十人、十重二十重に囲んでいますよ」
			
				
					銭形平次捕物控:100 ガラッ八祝言 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
				
			
		「——が、いずれ敵は、長陣を覚悟のうえで、十重二十重にこの城をとり巻こう」
			
				
					三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)