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八疊
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はちでふ
別莊はずつと
其の
奧の
樹深い
中に
建つて
居るのを、
私は
心づもりに
知つて
居る。
總二階十疊に
八疊の
𢌞り
縁で、
階下は
七間まで
數へて
廣い。
はてな、じつと
聞くと、
小さな
麻がみしもでも
着て
居さうだ、と
思ふうち、
八疊に、
私の
寢た
上あたりで、ひつそりとなる。
近所には、
六歳かに
成る
男の
兒で、
恐怖の
餘り
氣が
狂つて、
八疊二間を、
縱とも
言はず
横とも
言はず、くる/\
駈𢌞つて
留まらないのがあると
聞いた。
……お
二階の
病床を、
久しぶりで、
下階の
八疊の
縁さきで、
風冷かな
秋晴に、
湯どうふを
召がりながら
よくものを
考へ
見よ、
汝が
常に
住まへる
處、
知らず、
六疊か、
八疊か、
廣さも
十疊に
過ぎざるべし。
隣の
間の
八疊に、
家内とその
遠縁にあたる
娘を、
遊びに
一人預かつたのと、ふすまを
並べてゐる。
東京かね——
番町——
海水浴、
避暑にくる
人はありませんかな。……この
景氣だから、
今年は
勉強ぢやよ。
八疊に
十疊、
眞新しいので、
百五十圓の
所を
百に
勉強するですわい。
中二階の
六疊を
中にはさんで、
梯子段が
分れて
二階が
二間、
八疊と
十疊——ざつとこの
間取りで、なかんづくその
中二階の
青すだれに、
紫の
總のしつとりした
岐阜提灯が
淺葱にすくのに
成程、
其の
八疊に
轉寢をすると、とろりとすると
下腹がチクリと
疼んだ。
一體三間ばかりの
棟割長屋に、
八疊も、
京間で
廣々として、
柱に
唐草彫の
釘かくしなどがあらうと
言ふ、
書院づくりの
一座敷を、
無理に
附着けて、
屋賃をお
邸なみにしたのであるから、
天井は
高いが
もう/\として、
八疊は
黒い
吹雪。