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はちでふ
近所には、
六歳かに
成る
男の
兒で、
恐怖の
餘り
氣が
狂つて、
八疊二間を、
縱とも
言はず
横とも
言はず、くる/\
駈𢌞つて
留まらないのがあると
聞いた。
……お
二階の
病床を、
久しぶりで、
下階の
八疊の
縁さきで、
風冷かな
秋晴に、
湯どうふを
召がりながら
而して
誰も
居ない
八畳の
真中に、
其の
双六巌に
似たと
言ふ
紫縞の
座蒲団が
二枚、
対坐に
据えて
有つたのを
一目見ると、
天窓から
水を
浴びたやうに
慄然とした。