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ぎやうさん
ふりがな文庫
“
仰山
(
ぎやうさん
)” の例文
己
(
おれ
)
は余り人を信じ過ぎて、君をまで
危地
(
きち
)
に置いた。こらへてくれ
給
(
たま
)
へ。去年の秋からの
丁打
(
ちやううち
)
の
支度
(
したく
)
が、
仰山
(
ぎやうさん
)
だとは
己
(
おれ
)
も思つた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「まあ、あんた……そないに一々やつて下さんすな……これ……。」と老母はそれと見て取つて
仰山
(
ぎやうさん
)
に
遮
(
さへぎ
)
つても駄目だつた。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
其
(
その
)
斷然
(
だんぜん
)
たる
樣子
(
やうす
)
と、
其
(
その
)
握
(
にぎ
)
り
拳
(
こぶし
)
の
小
(
ちひ
)
さゝと、
之
(
これ
)
に
反
(
はん
)
して
主人
(
しゆじん
)
の
仰山
(
ぎやうさん
)
らしく
大
(
おほ
)
きな
拳骨
(
げんこつ
)
が、
對照
(
たいせう
)
になつて
皆
(
みんな
)
の
笑
(
わらひ
)
を
惹
(
ひ
)
いた。
火鉢
(
ひばち
)
の
傍
(
はた
)
に
見
(
み
)
てゐた
細君
(
さいくん
)
は
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
烏が
仰山
(
ぎやうさん
)
来た。寺の屋根へ
留
(
とま
)
つたは。はれ屋根が青うく光つてきた。海のやうに光つて来たわ。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
取
(
とり
)
たてゝ
何
(
なに
)
も
斯
(
か
)
う
自分
(
じぶん
)
ばかり
美事
(
みごと
)
な
寶
(
たから
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
るやうに
誇
(
ほこ
)
り
顏
(
がほ
)
に
申
(
まを
)
すことの
可笑
(
をか
)
しいをお
笑
(
わら
)
ひに
成
(
な
)
りましやう、だから
私
(
わたし
)
は
口
(
くち
)
に
出
(
だ
)
して
其樣
(
そん
)
な
仰山
(
ぎやうさん
)
らしい
事
(
こと
)
は
言
(
い
)
ひませぬけれど
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
蛙
(
かはづ
)
の
声
(
こゑ
)
がます/\
高
(
たか
)
くなる、これはまた
仰山
(
ぎやうさん
)
な、
何百
(
なんびやく
)
、
何
(
ど
)
うして
幾千
(
いくせん
)
と
居
(
ゐ
)
て
鳴
(
な
)
いてるので、
幾千
(
いくせん
)
の
蛙
(
かはづ
)
が
一
(
ひと
)
ツ
一
(
ひと
)
ツ
眼
(
め
)
があつて、
口
(
くち
)
があつて、
足
(
あし
)
があつて、
身躰
(
からだ
)
があつて、
水
(
みづ
)
ン
中
(
なか
)
に
居
(
ゐ
)
て
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
などと
云
(
い
)
つて、
殆
(
ほとん
)
ど
他
(
ひと
)
には
口
(
くち
)
も
開
(
き
)
かせぬ、
而
(
さう
)
して
其相間
(
そのあひま
)
には
高笑
(
たかわらひ
)
と、
仰山
(
ぎやうさん
)
な
身振
(
みぶり
)
。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
……今年も
仰山
(
ぎやうさん
)
實がなりました。……けどもな、あの穴へ手を入れると、あの時に燒けたのが消し炭になつてゐて、黒う手に附きまツせ。……あゝこの
銀杏
(
いてふ
)
は
雌
(
めん
)
やこと、實がなつてへん。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
牡丹色の
薔薇
(
ばら
)
の花、
仰山
(
ぎやうさん
)
に植木のある
花園
(
はなぞの
)
の
愼
(
つゝ
)
ましやかな誇、牡丹色の
薔薇
(
ばら
)
の花、風がおまへの
瓣
(
はなびら
)
を
飜
(
あふ
)
るのは、ほんの偶然であるのだが、それでもおまへは不滿でないらしい、
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
併し、彼の呼んだのは妙に落着いた大きな声のひとり言のやうであつたのに対して、お桑の答へは実に
仰山
(
ぎやうさん
)
な叫びであつた。その声で、今まで淋しさをこらへて居た彼が飛び上らうとした程。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
事實、世の中に樹木といふものが無くなつたならば、といふのが
仰山
(
ぎやうさん
)
すぎるならば、若し其處等の山や谷に森とか林とかいふものが無くなつたならば、恐らく私は旅に出るのをやめるであらう。
樹木とその葉:02 草鞋の話旅の話
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
「床屋だ?」老公は
仰山
(
ぎやうさん
)
さうなその
身装
(
みなり
)
をも一度じろつと見直した。大臣だつたら冷汗を掻き、次官局長の
輩
(
てあひ
)
だつたら神経衰弱にもなりさうな眼附だつたが、床屋はけろりと
済
(
すま
)
した顔をしてゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
時子は
仰山
(
ぎやうさん
)
に目を見張つてみせた。礼助は、
真面目
(
まじめ
)
な顔をして
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
小谷は
仰山
(
ぎやうさん
)
な表情になつた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
そんなに
仰山
(
ぎやうさん
)
な
手風琴
(
てふうきん
)
を
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
臺所
(
だいどころ
)
から
縁側
(
えんがは
)
に
出
(
で
)
て
仰山
(
ぎやうさん
)
に
覗
(
のぞ
)
き
込
(
こ
)
む
細君
(
さいくん
)
を「これ
平民
(
へいみん
)
の
子
(
こ
)
はそれだから
困
(
こま
)
る……
食
(
た
)
べものではないよ。」とたしなめて「
何
(
ど
)
うだい。」と、
裸體
(
らたい
)
の
音曲師
(
おんぎよくし
)
、
歌劇
(
オペラ
)
の
唄
(
うた
)
ひ
子
(
こ
)
と
言
(
い
)
ふのを
振
(
ふ
)
つて
見
(
み
)
せて
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
露西亜の過激派のやうに腹が減つてるらしい
蝦蟇
(
ひきがへる
)
が、草の
間
(
なか
)
からむつくり顔を出したり、自由恋愛家のやうな
蝗
(
いなご
)
が雄と雌と
抱
(
いだ
)
き合つて跳ね合つたりする度に、二人は
仰山
(
ぎやうさん
)
さうに声を立てて
吃驚
(
びつくり
)
した。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と
仰山
(
ぎやうさん
)
に驚いて
姉妹
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
仰
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
山
常用漢字
小1
部首:⼭
3画
“仰”で始まる語句
仰
仰向
仰有
仰言
仰天
仰臥
仰々
仰付
仰反
仰飲