“二個(ふたり)” の例文
吾等(われら)も喫驚(びつくり)して其方(そなた)を振向(ふりむ)くと、此時(このとき)、吾等(われら)の立(た)てる處(ところ)より、大約(およそ)二百ヤード許(ばかり)離(はな)れた森(もり)の中(なか)から、突然(とつぜん)現(あら)はれて來(き)た二個(ふたり)の人(ひと)がある。
まず「贖い主」の事を見るに、九章三十三節には「また我ら(神と人と)の間には我らの二個(ふたり)の上に手を置くべき仲保あらず」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
頼みたく今日は和女(そなた)の歸りをば實は二個(ふたり)で待てゐたりと言ばお金は斑(まばら)なる齒(は)を顯(あらは)して打笑ひ然いふ目出度お話と聞ては吾儕(わたし)も實に嬉(うれ)しく斯いふ事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と裳(もすそ)をずりおろすようにして止(と)めた顔と、まだ掴(つか)んだままの大(おおき)な銀貨とを互(たがい)に見較(みくら)べ、二個(ふたり)ともとぼんとする。時に朱盆(しゅぼん)の口を開いて、眼(まなこ)を輝(かがやか)すものは何。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それが慣(なら)い性(せい)となり遂には煮ても焼ても食えぬ人物となったのである、であるから老先生の心底(しんてい)には常に二個(ふたり)の人が相戦っておる、その一人は本来自然の富岡氏(うじ)
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ゆめゆめあるまじき事にして、徹頭徹尾、恕(じょ)の一義を忘れず、形体(からだ)こそ二個(ふたり)に分かれたれども、その実は一身同体と心得て、始めて夫婦の人倫を全うするを得べし。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
船から降りて来た若い二個(ふたり)連れの女の方へわざと凭れかかるように寄りそうて、鞄をとり、ひっそりした離れで、はばかりも近うございます、錠前つきの家族風呂もございますと連れこんで
放浪 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
小僧等の目をさへ驚かしたる篠田方の二個(ふたり)の女性(をんな)、老いたるは芸妓殺(げいしやころし)を以て満都の口の端(は)に懸(かゝ)りたる石川島造船会社の職工兼吉の母にて、若きは近き頃迄烏森(からすもり)に左褄(ひだりづま)取りたる花吉の変形なり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
そして三十三節にては「また我らの間には我ら二個(ふたり)の上に手を置くべき仲保(ちゅうほう)あらず」といいて、彼は神と己の間に仲保者のなきを遺憾(いかん)としたのである。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
退(しりぞ)き投首(なげくび)なし五日の中に善惡二つを身一つにして分る事の最(いと)難(かた)ければ思案に暮(くれ)るに最前(さいぜん)よりも部屋の外にて二個(ふたり)が問答(もんだふ)立聞(たちぎき)せし和吉は密と忠兵衞の側(そば)へ差寄り袂(たもと)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
輕氣球(けいきゝゆう)が天空(てんくう)より落(お)ちた。本艦(ほんかん)より端艇(たんてい)を下(おろ)した。救(すく)ひ上(あ)げたる二個(ふたり)の人(ひと)は日本人(につぽんじん)である。一人(ひとり)は冐險家(ぼうけんか)らしい年少(ねんせう)の紳士(ゼントルマン)、他(た)の一人(ひとり)は我(わ)が海軍(かいぐん)の兵曹(へいそう)である。いぶかしや、何故(なにゆゑ)ぞ。
先日の御手紙には富岡先生と富岡氏(し)との二個(ふたり)の人がこの老人の心中に戦かっておるとのお言葉が有った、実にその通りで拙者も左様思っていた、然るにちょうど御手紙を頂いた時分以来は
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
来(きた)れる二個(ふたり)の眷属(けんぞく)は三界無宿の非人にて、魔道に籍ある屠犬児(いぬころし)、鳩槃荼(くはんだ)、毗舎闍(びしゃじゃ)を引従え、五尺に足らざる婦人(おんな)ながら、殺気勃々(ぼつぼつ)天を衝(つ)きて、右の悪鬼に襖(ふすま)を開けさせ、左の夜叉(やしゃ)に燭(しょく)を持たせ
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「神は我の如き人にあらざれば我かれに答うべからず、我ら二個(ふたり)して共に審判(さばき)に臨むべからず」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
お厭(いと)ひなくば其所(そこ)は冷(ひえ)れば此方(こなた)にてと座敷の中へ花莚(はなござ)を敷(しか)せて二個(ふたり)を招(せう)ずるに此方は喜び有難(ありがた)き旨を演(のべ)つゝ上へ登り風呂敷包(ふろしきづつみ)を解開(ときひら)き辨當を出し吹筒(すゐづつ)の酒を飮んと爲(なし)けるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
現(あら)はれ來(きた)つた二個(ふたり)の人(ひと)は紛(まぎら)ふ方(かた)なき日本人(につぽんじん)で、一人(ひとり)は色(いろ)の黒々(くろ/″\)とした筋骨(きんこつ)の逞(たく)ましい水兵(すいへい)の姿(すがた)、腰(こし)に大刀(だいたう)を横(よこた)へたるが、キツと此方(こなた)を眺(なが)めた、他(た)の一人(いちにん)は、威風(ゐふう)凛々(りん/\)たる帝國海軍士官(ていこくかいぐんしくわん)の服裝(ふくさう)
夜叉羅刹(やしゃらせつ)は猶予(ためら)わず、両個(ふたり)一斉に膝を立てて、深川夫人の真白き手首に、黒く鋭き爪を加えて左右より禁扼(とりしばり)、三重(みえ)襲(かさ)ねたる御襟(おんえり)を二個(ふたり)して押開き、他目(ひとめ)に触(ふ)らば消えぬべき、雪なす胸の乳(ち)の下まで
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)