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しもべ
ふりがな文庫
“
下僕
(
しもべ
)” の例文
ふたりの
下僕
(
しもべ
)
と、ひとりの童子をつれ、四人づれで今、
四明
(
しめい
)
ヶ
嶽
(
だけ
)
の谷道から上って来たのであるが、ふと光秀のすがたを見かけると
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
旅よそおいをした若い娘を
乳母
(
うば
)
らしい老女と
下僕
(
しもべ
)
らしい男とが、守護でもするように前後にはさんで、入り込んで来た一組であった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
摂政家の公子 ある時の事、私が天和堂の
門口
(
かどぐち
)
に立って居りますと一人の貴族が
下僕
(
しもべ
)
を連れてこちらの方向に向いてやって来ました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
身のまわりの物をまとめた荷を
下僕
(
しもべ
)
に負わせて、花蔵院というところにある水野外記の
別墅
(
べっしょ
)
へ着いたのはその日の
昏
(
く
)
れがただった。
晩秋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
九時過になるまでもデザァトは出されなかつた。そして十時には、まだ
下僕
(
しもべ
)
たちがお盆だの
珈琲
(
コーヒー
)
の茶碗だのを持つてあちこちしてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
暫らく見ていた宇津木兵馬は、山田奉行の役人の
下僕
(
しもべ
)
とも見える男の傍へ寄って、その持っている槍をお貸し下されたしと申し入れます。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
坊主はかしづく
下僕
(
しもべ
)
であつた。さうして女優が身を投げたと思つたのは池ではなくて、神意によつて車軸を流す豪雨だつた。
貝殻追放:017 泉鏡花先生と里見弴さん
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
わしなんぞも今はまだ、腰に
梓
(
あずさ
)
も張らぬものの、やがてはあの庭先で、
箒木
(
ほうき
)
を取っている
下僕
(
しもべ
)
のように、ヨボヨボしてしまわねばならぬのじゃ
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
修道院の方では、フォーシュルヴァンに対する感謝の念は大なるものだった。フォーシュルヴァンは最良の
下僕
(
しもべ
)
となり、最も大切な庭番となった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
つまらぬ
下僕
(
しもべ
)
なども主人に従って六条院へ来る時には、服装も身の取りなしをも晴れがましく思うのであったから
源氏物語:23 初音
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「
下僕
(
しもべ
)
を殺し、女房を殺し、大澤夫婦を殺し、その上妹のお山までも殺した
極惡非道
(
ごくあくひだう
)
、それでも罪は無いといふか」
銭形平次捕物控:296 旅に病む女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いや決してそんなことはあるまい。わしの
安否
(
あんぴ
)
も
定
(
き
)
まらぬうちに、自害する勇気はとてもあるまい。それに
有王
(
ありおう
)
がついている。あの忠実な勇敢な
下僕
(
しもべ
)
が。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
これまで人を
誑
(
ば
)
かす誑かすと言ひ慣らはして来た狸が、馴れてみると、決して誑かすものでないといふ事を知るのは、「真理」の
下僕
(
しもべ
)
だと言つてゐる学者が
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
下僕
(
しもべ
)
たちが脳味噌を絞った
挙句
(
あげく
)
、その四角な空気孔を、下から厚い紙で三重に目張りをしてしまった。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
の聖人の忠実な
下僕
(
しもべ
)
であった。そして彼は、「マルシアス河の悲歌」の作者ユウリビデスを退けたストア学徒の血を
享
(
う
)
けて、悲劇を
嗤
(
わら
)
い、ひたすら神と力を
遵奉
(
じゅんぽう
)
した。
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
ある日、長者が
櫓
(
やぐら
)
へあがつて沼の中を見渡すと、沼の中には一羽の白鳥が餌をあさつてゐたのぢや。長者は、急にその白鳥がほしくなつて、
下僕
(
しもべ
)
にいひつけて射らせたのぢや。
黄金の甕
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
君やわしらが、文字を使って書きものをしとるなどと思ったら大間違い。わしらこそ彼等文字の精霊にこき使われる
下僕
(
しもべ
)
じゃ。しかし、また、彼等精霊の
齎
(
もたら
)
す害も
随分
(
ずいぶん
)
ひどい。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
教会と神学者は余を捨つるも余のいまだ聖書を捨つる能わざるは余はいまだ爾に捨てられざるの一徴候なり、余は爾の
下僕
(
しもべ
)
ルーテルが我の福音なりとて
縋
(
すが
)
りし
加拉太
(
ガラテヤ
)
書に行かん
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
マリテレーズにおける
下僕
(
しもべ
)
レオナール惨殺犯人としてさきに検挙されたる両名中ボーシュレーなるものの素性は最近に至ってようやく判明したるが彼は
極悪無道
(
ごくあくぶどう
)
なる前科者にて
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
下谷
(
したや
)
の
御門前
(
ごもんぜん
)
で行倒れになりかけているのを気の毒に思って連れ帰って
下僕
(
しもべ
)
にした。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「まあ、嬉しいやら、びっくりやら——何んと思うて、あの、
下僕
(
しもべ
)
の真似など?」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
たくさん使っていた
下僕
(
しもべ
)
の一人でもが、今
侍
(
かしず
)
いていてくれればなどと思う。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
机
(
つくゑ
)
の
前
(
まへ
)
にマツチは
有
(
あ
)
つて、
彼
(
かれ
)
は
其
(
そ
)
れを
見
(
み
)
てゐながら、
其癖
(
そのくせ
)
、
大聲
(
おほごゑ
)
を
上
(
あ
)
げて
小使
(
こづかひ
)
を
呼
(
よ
)
んでマツチを
持
(
も
)
つて
來
(
こ
)
いなどと
云
(
い
)
ひ、
女中
(
ぢよちゆう
)
のゐる
前
(
まへ
)
でも
平氣
(
へいき
)
で
下着
(
したぎ
)
一つで
歩
(
ある
)
いてゐる、
下僕
(
しもべ
)
や、
小使
(
こづかひ
)
を
捉
(
つかま
)
へては
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
此処には仁兵衛という水兵上りの
下僕
(
しもべ
)
がねて居たのでした。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
「姫よ、我を爾の傍におけ、我は爾の
下僕
(
しもべ
)
になろう。」
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「はい。
下僕
(
しもべ
)
と二人で這入って参ります。」
月世界競争探検
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
光悦はその時から、灰屋の門の前に立って、そこの鳴子に訪れを通じ、
箒
(
ほうき
)
を持って出て来た
下僕
(
しもべ
)
に案内されて、
前栽
(
せんざい
)
の中へ入っていた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その仏堂の向いにまた小さな離れ家があって博士はそこに住んで居ります。で博士と私との御膳を
拵
(
こしら
)
えるために一人の
下僕
(
しもべ
)
を置きました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
自分を追ひ廻して、手籠にまでしようとした
下僕
(
しもべ
)
に對して、斯んな眞劍な同情を持つのは何んとしたことでせう。
銭形平次捕物控:203 死人の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
特に異常な性質を持つてゐるといふ
印
(
しるし
)
になる
畸形
(
きけい
)
な點があるわけでもない。まつたく、この子供が、既に惡魔の
下僕
(
しもべ
)
で、その
身代
(
みがは
)
りであらうとは誰が思ひ得ようか。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「お嬢様!」とそれを聞くと
下僕
(
しもべ
)
の小平が、まずたくましい顔の上へ、敵がい心をムラムラとだした。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
黄金
(
こがね
)
の甕を
下僕
(
しもべ
)
に
負
(
しよ
)
はせて、今もこの村の真中に流れてゐるあの川の岸まで落ちのびて来たのぢやが、毎日の
五月雨
(
さみだれ
)
で水は増してゐるし、橋も舟もないし、困り切つてゐると、車の庄の家来は
黄金の甕
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
すこしもものをいわせないことにし——しゃべれば隆夫は日本語しか話せなかった——治明博士はその
忠実
(
ちゅうじつ
)
なる
下僕
(
しもべ
)
として仕えているように見せかけ、そのキラマン号の下級船員の信用を得て
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
机
(
つくえ
)
の
前
(
まえ
)
にマッチはあって、
彼
(
かれ
)
はそれを
見
(
み
)
ていながら、その
癖
(
くせ
)
、
大声
(
おおごえ
)
を
上
(
あ
)
げて
小使
(
こづかい
)
を
呼
(
よ
)
んでマッチを
持
(
も
)
って
来
(
こ
)
いなどと
云
(
い
)
い、
女中
(
じょちゅう
)
のいる
前
(
まえ
)
でも
平気
(
へいき
)
で
下着
(
したぎ
)
一つで
歩
(
ある
)
いている、
下僕
(
しもべ
)
や、
小使
(
こづかい
)
を
捉
(
つかま
)
えては
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
老公としては、家臣とか
下僕
(
しもべ
)
とかいう以上に、自分のたましいをふきこみ、自分の信条をもって訓育してきた子弟でもある。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其家
(
そこ
)
へ泊って一両日
経
(
た
)
ちますとギャア・ラマの好意で送られた
下僕
(
しもべ
)
は、まあこの
塩梅
(
あんばい
)
なら大丈夫でございましょうといって帰ってしまいました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
天道
(
てんたう
)
樣が許して置く筈は無い、それに、女房や
下僕
(
しもべ
)
を殺したのは何んとしても勘辨出來ない
銭形平次捕物控:296 旅に病む女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は、あなたのお父様に、お仕えしていた
卑
(
いや
)
しい
下僕
(
しもべ
)
の、その家内なのでございます。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼は、自分の確かな
酬
(
むく
)
いと、汚れなき榮冠を期待してゐた。この次には誰か知らぬ人の手が、善良な信仰深い神の
下僕
(
しもべ
)
は、遂に主の
歡
(
よろこ
)
びの内に召されたと云つて寄越すだらうと思ふ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
また日をふるに従い、長官公邸の下役から
下僕
(
しもべ
)
にまで、お髯さん、お髯さん、と朱同を呼ぶ愛称はその人柄への好意とともにたかまっていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……アッハッハッ、これくらいでよかろう。……当家の総領でありながら、玄関にもかからず
下僕
(
しもべ
)
かのように、コソコソと裏口からあがり込んだ心状、察してこの辺で勘弁してくれ。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それ以来、彼は、岡崎の草庵へ来て、草庵の
拭
(
ふ
)
き掃除やら裏方の用やら、夜の番人やら、なにくれとなく忠実に
下僕
(
しもべ
)
の勤めをしていたのだった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこへ
下僕
(
しもべ
)
が二、三人、おくればせに走って来て、兵衛を介抱し歩ませた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
(彼は何を血迷っているのか。自分の
下僕
(
しもべ
)
であるあの
小童
(
こども
)
を、頭上に差し上げて、あれを一体どうするつもりだろう?)
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
六十近い
下僕
(
しもべ
)
らしい男が、汗を拭き拭き走って来た。
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
御存じやも知れませぬが、蜂須賀村の小六と申す者の屋敷に、わずかながら
下僕
(
しもべ
)
働きしていた縁故などもござりまして
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「——ここへは、許しなくば
下僕
(
しもべ
)
の者も参りませぬ。見らるる通り
塗籠
(
ぬりごめ
)
の
一間
(
ひとま
)
、外にお声のもれることもない」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なあに、あれで気がいい
奴
(
やっこ
)
だから、なにもこわがることはない。
李
(
り
)
といって、
子飼
(
こがい
)
からのわが家の
下僕
(
しもべ
)
さ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
箭四郎
(
やしろう
)
でございます」日野の家を移る時から
従
(
つ
)
いてきた
下僕
(
しもべ
)
は、この箭四郎と、若党の
介
(
すけ
)
だけであった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、台所の
下婢
(
かひ
)
どもや、
下僕
(
しもべ
)
などから、自分たちの仲間のように思われて、人気のあることだけだった。
日本名婦伝:太閤夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“下僕”の意味
《名詞》
男性の召使い。下男。
(出典:Wiktionary)
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
僕
常用漢字
中学
部首:⼈
14画
“下”で始まる語句
下
下手
下駄
下手人
下谷
下婢
下総
下司
下野
下流