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鼻緒
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はなを
ふりがな文庫
“
鼻緒
(
はなを
)” の例文
「
尤
(
もつと
)
も、店へ置いて、女達が皆んなで履くから、齒は摺り
減
(
へ
)
つてゐるし、
鼻緒
(
はなを
)
も
緩
(
ゆる
)
くなつて、誰でも突つかけられないことはありません」
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
午餐
(
ひる
)
に
勘次
(
かんじ
)
が
戻
(
もど
)
つて、
復
(
また
)
口中
(
こうちう
)
の
粗剛
(
こは
)
い
飯粒
(
めしつぶ
)
を
噛
(
か
)
みながら
走
(
はし
)
つた
後
(
あと
)
へ
與吉
(
よきち
)
は
鼻緒
(
はなを
)
の
緩
(
ゆる
)
んだ
下駄
(
げた
)
をから/\と
引
(
ひ
)
きずつて
學校
(
がくかう
)
から
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
黒縮緬
(
くろちりめん
)
の
羽織
(
はおり
)
、
唐繻子
(
たうじゆす
)
の
帯
(
おび
)
を
〆
(
し
)
め、小さい
絹張
(
きぬばり
)
の
蝙蝠傘
(
かうもりがさ
)
を
傍
(
そば
)
に置き、
後丸
(
あとまる
)
ののめりに
本天
(
ほんてん
)
の
鼻緒
(
はなを
)
のすがつた
駒下駄
(
こまげた
)
を
履
(
は
)
いた
小粋
(
こいき
)
な
婦人
(
ふじん
)
が、女
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
後向
(
うしろむ
)
きに
成
(
な
)
りて
猶
(
なほ
)
も
鼻緒
(
はなを
)
に
心
(
こゝろ
)
を
盡
(
つく
)
すと
見
(
み
)
せながら、
半
(
なかば
)
は
夢中
(
むちう
)
に
此下駄
(
このげた
)
いつまで
懸
(
かゝ
)
りても
履
(
は
)
ける
樣
(
やう
)
には
成
(
な
)
らんともせざりき。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
また
今日
(
こんにち
)
の
下駄
(
げた
)
によく
似
(
に
)
て
鼻緒
(
はなを
)
の
前
(
まへ
)
の
孔
(
あな
)
が
右足
(
みぎあし
)
は
左
(
ひだり
)
に、
左足
(
ひだりあし
)
は
右
(
みぎ
)
にかたよつて
出來
(
でき
)
た
石
(
いし
)
の
下駄
(
げた
)
が
出
(
で
)
て
來
(
く
)
ることがあります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
▼ もっと見る
引開
(
ひきあけ
)
て直しける
雪踏
(
せつた
)
の
鼻緒
(
はなを
)
の
最
(
いと
)
太
(
ふと
)
き心を隱す元益が出てしづ/\進み入に店の者等は之を見れば
年
(
とし
)
未
(
ま
)
だ
三十路
(
みそぢ
)
に
足
(
たら
)
ざれど
人品
(
じんぴん
)
骨柄
(
こつがら
)
賤
(
いや
)
しからず
黒羽二重
(
くろはぶたへ
)
に丸の中に
桔梗
(
ききやう
)
の
紋
(
もん
)
附
(
つき
)
たる
羽織
(
はおり
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
行春
(
ゆくはる
)
やゆるむ
鼻緒
(
はなを
)
の
日和下駄
(
ひよりげた
)
自選 荷風百句
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
平次は
鼻緒
(
はなを
)
の切れ相な下駄を引摺つて行くと、松と青桐の幹五尺ほど下に
藁
(
わら
)
がこひをしてあり、一寸剥がして見ましたが、其處は誰の惡戯か
銭形平次捕物控:266 処女神聖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
見
(
み
)
るに
毒
(
き
)
の
氣
(
どく
)
なるは
雨
(
あめ
)
の
中
(
なか
)
の
傘
(
かさ
)
なし、
途中
(
とちう
)
に
鼻緒
(
はなを
)
を
踏
(
ふ
)
み
切
(
き
)
りたるばかりは
無
(
な
)
し、
美登利
(
みどり
)
は
障子
(
しようじ
)
の
中
(
なか
)
ながら
硝子
(
がらす
)
ごしに
遠
(
とほ
)
く
眺
(
なが
)
めて、あれ
誰
(
だ
)
れか
鼻緒
(
はなを
)
を
切
(
き
)
つた
人
(
ひと
)
がある
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「少し氣が付けば、誰にでもわかる事だよ。あの女は、粗末乍ら身扮がキチンとしてゐるくせに、
履物
(
はきもの
)
が右と左が違つて居た——
鼻緒
(
はなを
)
も、塗も——」
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
信
(
のぶ
)
さん
何
(
ど
)
うした
鼻緒
(
はなを
)
を
切
(
き
)
つたのか、
其姿
(
そのなり
)
は
何
(
どう
)
だ、
見
(
み
)
ッとも
無
(
な
)
いなと
不意
(
ふい
)
に
聲
(
こゑ
)
を
懸
(
か
)
くる
者
(
もの
)
のあり。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
平次はさう言ふうちにも手早く仕度を整へて、十手を一本
懷
(
ふところ
)
にブチ込むと、
鼻緒
(
はなを
)
の堅い
麻裏
(
あさうら
)
を突つかけるのです。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
姉
(
あね
)
さま
唐茄子
(
とうなす
)
、
頬
(
ほう
)
かふり、
吉原
(
よしはら
)
かふりをするも
有
(
あ
)
り、
且那
(
だんな
)
さま
朝
(
あさ
)
よりお
留守
(
るす
)
にて、お
指圖
(
さしづ
)
し
給
(
たま
)
ふ
奧
(
おく
)
さまの
風
(
ふう
)
を
見
(
み
)
れば、
小褄
(
こづま
)
かた
手
(
て
)
に
友仙
(
ゆふぜん
)
の
長襦袢
(
ながじゆばん
)
下
(
した
)
に
長
(
なが
)
く、
赤
(
あか
)
き
鼻緒
(
はなを
)
の
麻裏
(
あさうら
)
を
召
(
めし
)
て、あれよ
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
これは名前だけは
怖
(
おつ
)
かない敵役のやうですが、ヒヨロヒヨロとした青白い四十男で、劍術よりは下駄の
鼻緒
(
はなを
)
を直したり、障子を張つたり
月代
(
さかやき
)
を當つたりすることのうまい人間です。
銭形平次捕物控:149 遺言状
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
下女の話を
大概
(
たいがい
)
にして、外へ出て見ると、昨日の雨で
生乾
(
なまかわ
)
きの大地には、
斑々
(
はん/\
)
として足跡が入り亂れ、どれが曲者のやらわかりませんが、その
悉
(
こと/″\
)
くが女物の水下駄で、現に
鼻緒
(
はなを
)
のゆるんだのが二足
銭形平次捕物控:170 百足屋殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
傷は左の首筋、頸動脈を切つたのは心得た手口で、凄いほど切れる薄刄のやうですが、其處に落散つて居るのは離れ/″\に赤い
鼻緒
(
はなを
)
の下駄だけ、刄物も下手人の殘したものも、何んにも見えません。
銭形平次捕物控:263 死の踊り子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
疊敷の店から降りて、そゝくさと赤い
鼻緒
(
はなを
)
を突つかけます。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鼻緒
(
はなを
)
がなか/\足の指にはまりません。
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“鼻緒”の解説
鼻緒(はなお)は、下駄や草履などの履物を足に固定する仕組みで、狭義では前緒、すなわち履物の爪先側に穿たれた前壺にすげて、履物の両側に渡された横緒を固定する紐状ないし帯状の緒を指す。転じて、より広い意味では横緒も含めた緒全体を指すようになり、さらに西洋起源の履物としてのトングサンダルなどの同様の仕組みについても鼻緒という言い方が用いられる。
(出典:Wikipedia)
鼻
常用漢字
小3
部首:⿐
14画
緒
常用漢字
中学
部首:⽷
14画
“鼻緒”で始まる語句
鼻緒屋
鼻緒問屋
鼻緒入
鼻緒商売