鹽辛しほから)” の例文
新字:塩辛
莞爾くわんじとしてきながら、よし/\それもよし、蒲鉾かまぼこ旅店はたごや口取くちとりでお知己ちかづき烏賊いか鹽辛しほから節季せつきをかけて漬物屋つけものやのびらでとほり外郎うゐらう小本こほん物語ものがたり懇意こんいなるべし。
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「見ろ、此太繩を切つて落せば、五人は道具部屋の中で巨石おほいしに打たれて鹽辛しほからになつて死ぬばかりだ」
うみぢゃ、終始たえずなみだ滿干みちひきがある、身體からだふねその鹽辛しほからなみはしる、溜息ためいきかぜぢゃ、なみだなみとも荒𢌞あれまはり、なみだはまたそれを倍〻ます/\るゝ、はて、なぎきふなんだら
老人等としよりら自分じぶんさわはうにばかりこゝろうばはれて卯平うへいのことはそつちのけにしたまゝであつた。卯平うへいはそれでも種々いろいろ百姓料理ひやくしやうれうり鹽辛しほから重箱ぢゆうばこはしをつけて近頃ちかごろになくこゝろよかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
するに空腹なる時は途中にてこまるならんとある杉酒屋へ入て酒を五合熱燗あつかんあつらへ何ぞさかなはなきやと問に最早みな賣切うりきれかつを鹽辛しほからばかりなりと答へけるをは何よりの品なりとて五合の酒を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
源吉の鹽辛しほから聲を聞くと、お菊の死骸にはへのやうにむらがつた彌次馬は、一ぺんにパツと飛散ります。
相州さうしう小田原をだはらまち電車鐵道でんしやてつだう待合まちあひの、茶店ちやみせ亭主ていしゆことばれば、土地とち鹽辛しほから蒲鉾かまぼこ外郎うゐらうおよ萬年町まんねんちやう竹屋たけやふぢ金格子きんがうし東海棲とうかいろう料理店れうりてん天利てんりしろ石垣いしがきおよ外廓そとぐるわ梅林ばいりんは、およ日本一につぽんいちなり
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
粘膜ねんまくのやうにあかうるほひをつた二つの道筋みちすぢつたひてつめたくれたはなかれすゝりながら、はしよこへて汁椀しるわん鹽辛しほから干納豆ほしなつとうつまんでくちれたり茶碗ちやわんなかいたりして幾杯いくはいかのめしつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
露拂つゆはらひのガラツ八が持前の鹽辛しほからい地聲でワメキ立てながら、人波をかきわけて中へくゞると
それで蔬菜そさい庖丁はうちやうにかゝるあひだくちにこそつぱい干菜ほしな切干きりぼしやそれも缺乏けつばうげれば、れでも彼等かれら果敢はかない貯蓄心ちよちくしんもつと發揮はつきした大根だいこん鹽辛しほから漬物つけものをけにのみ副食物ふくしよくぶつもとめるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「變でしたよ、何處か荒つぽいところがあつて——身扮みなりも言葉遣も大店の息子らしくはして居ましたが、顏の色が妙に陽焦けがして居るし、聲が少し鹽辛しほからで、手足も妙に荒れて居ましたね」
「昨夜のおかず鹽辛しほからかつたのか」