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雷
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いかずち
ふりがな文庫
“
雷
(
いかずち
)” の例文
雲の
内侍
(
ないじ
)
と呼ぶ、雨しょぼを踊れ、と怒鳴る。水の輪の拡がり、嵐の狂うごとく、聞くも堪えない
讒謗罵詈
(
ざんぼうばり
)
は
雷
(
いかずち
)
のごとく
哄
(
どっ
)
と沸く。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一首の意は、天皇は
現人神
(
あらひとがみ
)
にましますから、今、天に
轟
(
とどろ
)
く
雷
(
いかずち
)
の名を持っている山のうえに
行宮
(
あんぐう
)
を御造りになりたもうた、というのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
地を叩く雨声、空に転がる
雷
(
いかずち
)
、耳へ口を寄せても根限り呶鳴らなければ通じない。と、この時、ううと唸ってまたぞろ甚右衛門が走り出した。
釘抜藤吉捕物覚書:08 無明の夜
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
加藤主税は
炎
(
ほのお
)
を吐くような呼吸と
雷
(
いかずち
)
のような気合で、力に任せて鍔押しに押して来ると、島田虎之助はゆるゆると左へ廻る。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「やあ、
理不尽
(
りふじん
)
な。道誉にも会わさず、ムザと
刃
(
やいば
)
を
下
(
くだ
)
してみよ、その刃へ
噛
(
か
)
みついて、なんじらの頭上へ、呪いの
雷
(
いかずち
)
を呼び降ろしてくれるぞ」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
お雪はいきなり手にしていた縫物を投げすてるなり、つかつかと巳之吉の前へ来て
凄
(
すご
)
い
雷
(
いかずち
)
のような目をして巳之吉を見た。
雪女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
が、やがて勇気を振い起すと、胸に組んでいた腕を解いて、今にも彼等を片っ端から
薙倒
(
なぎたお
)
しそうな
擬勢
(
ぎせい
)
を示しながら、
雷
(
いかずち
)
のように怒鳴りつけた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
日暮方から
鳴出
(
なりだ
)
した雷は
益々
(
ますます
)
すさまじくなって、
一天
(
いってん
)
墨を流したようで、
篠突
(
しのつ
)
く大雨、ぴかりぴかりと
電
(
いなずま
)
が目の
眩
(
くら
)
むばかり障子に
映
(
うつ
)
って、その
毎
(
たび
)
に天地も
覆
(
くつがえ
)
るように
雷
(
いかずち
)
が鳴り渡る
稚子ヶ淵
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この夕立の
大合奏
(
サンフォニー
)
は
轟
(
とどろ
)
き渡る
雷
(
いかずち
)
の
大太鼓
(
おおだいこ
)
に、強く高まるクレッサンドの調子
凄
(
すさま
)
じく、やがて優しい
青蛙
(
あおがえる
)
の笛のモデラトにその
来
(
きた
)
る時と同じよう忽然として
掻消
(
かきけ
)
すように
止
(
や
)
んでしまいます。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
細き声またいわく、「自然の法則とは神の意なり。
雷
(
いかずち
)
は彼の声にして嵐は彼の口笛なり、然り、死もまた彼の天使にして彼が彼の愛するものを彼の
膝下
(
しっか
)
に呼ばんとする時
遣
(
つかわ
)
し賜う
救使
(
きゅうし
)
なり」
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
ここいらへんはまだいかにも田舎じみた小川です。が、すこしそれに沿って歩いていますと、すぐもう川の向うに
雷
(
いかずち
)
の村が見えてきました。土橋があって、ちょっといい川原になっています。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
すばしっこそうな『
吹雪
(
ふぶき
)
』『
雷
(
いかずち
)
』『
電
(
いなずま
)
』
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
雷
(
いかずち
)
の神濃き雲を
舒
(
の
)
ぶるとき
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
雨を呼ぶか、
雷
(
いかずち
)
が鳴るか、
穴山
(
あなやま
)
軍勝つか、
胡蝶陣
(
こちょうじん
)
勝つか?
武田伊那丸
(
たけだいなまる
)
と
小幡民部
(
こばたみんぶ
)
の
民蔵
(
たみぞう
)
は、どんな行動をとりだすだろうか? 富士はすべて見おろしている——
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
白い手を挙げ、
衝
(
つ
)
とさして、
麓
(
ふもと
)
の里を教うるや否や、牛は
雷
(
いかずち
)
のごとく
舞下
(
まいさが
)
って、
片端
(
かたっぱし
)
から村を焼いた。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何でも天地
開闢
(
かいびゃく
)
の
頃
(
ころ
)
おい、
伊弉諾
(
いざなぎ
)
の
尊
(
みこと
)
は
黄最津平阪
(
よもつひらさか
)
に
八
(
やっ
)
つの
雷
(
いかずち
)
を
却
(
しりぞ
)
けるため、桃の
実
(
み
)
を
礫
(
つぶて
)
に打ったという、——その
神代
(
かみよ
)
の桃の実はこの木の枝になっていたのである。
桃太郎
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
鳴る
雷
(
いかずち
)
のすさまじさ降る雨のはげしさに
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
雷
(
いかずち
)
のような
一喝
(
いっかつ
)
。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
すると重なり合った山々の奥から、今まで忘れていた自然の言葉が声のない
雷
(
いかずち
)
のように
轟
(
とどろ
)
いて来た。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ただときおりドドーン、ドドドドドーン! と
胴
(
どう
)
の
間
(
ま
)
にぶつかってはくだける
怒濤
(
どとう
)
が、百千の
鼓
(
つづみ
)
を一時にならすか、
雷
(
いかずち
)
のとどろきかとも思えて、人の
魂
(
たましい
)
をおびやかす。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一人
口火
(
くちび
)
を切つたから
堪
(
たま
)
らない。
練馬大根
(
ねりまだいこん
)
と言ふ、おかめと
喚
(
わめ
)
く。雲の
内侍
(
ないじ
)
と呼ぶ、
雨
(
あめ
)
しよぼを踊れ、と
怒鳴
(
どな
)
る。水の輪の拡がり、嵐の狂ふ如く、聞くも堪へない
讒謗
(
ざんぼう
)
罵詈
(
ばり
)
は
雷
(
いかずち
)
の如く
哄
(
どっ
)
と
沸
(
わ
)
く。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
雷
(
いかずち
)
が猶鳴り続けた。その内に対岸の山が煙り出すと、どこともなくざっと木々が鳴って、一旦暗くなった湖が、見る見る向うからまた白くなった。彼は始めて顔を挙げた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
たとえ地軸が裂け、
天
(
そら
)
を
覆
(
くつがえ
)
す
雷
(
いかずち
)
があっても、武蔵の耳に、そんな声の届くわけもない。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「命が惜しくば、その方どもも天上皇帝に
御詫
(
おわび
)
申せ。さもない時は立ちどころに、護法百万の
聖衆
(
しょうじゅ
)
たちは、その方どもの
臭骸
(
しゅうがい
)
を
段々壊
(
だんだんえ
)
に致そうぞよ。」と、
雷
(
いかずち
)
のように
呼
(
よば
)
わります。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
春の
雷
(
いかずち
)
に
震
(
ふ
)
り落された花のように、お
濠端
(
ほりばた
)
を、諸藩の家臣が駈けてゆく。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ばらばらと駈け寄ろうとする、——と後ろからその襟がみを掴んだ
神禰宜
(
かんなぎ
)
の左典、
雷
(
いかずち
)
のような気合をかけて新九郎を大地へ投げつけ、その
利
(
き
)
き
腕
(
うで
)
を捻じ上げて、脊骨のくじけるほど踏み押さえた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小脇差で、たった一打ちに、お八重の首を、ぶらんと、斬って伏せた一角は、どっどと、
雷
(
いかずち
)
にあわせて鳴る大谷川の
激潭
(
げきたん
)
のふちを、
蹌々
(
そうそう
)
と——
踉々
(
ろうろう
)
と——刃の血を、雨に、洗わせながら歩いて行く。
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たちまち鳴りはためいた
雷
(
いかずち
)
が、かれの耳もとをつんざいた一せつな、
下界
(
げかい
)
にあっては、ほとんどそうぞうもつかないような
朱電
(
しゅでん
)
が、ピカッピカッと、まつげのさきを
交錯
(
こうさく
)
したかと思うまもあらばこそ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
声は
長坂
(
ちょうはん
)
の水に
谺
(
こだま
)
し、殺気は落ちかかる
雷
(
いかずち
)
のようであった。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ
雷
(
いかずち
)
と、どうどうと軒先の水音が騒がしいのみである。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
事のとつぜんは、青天の
雷
(
いかずち
)
、まさにそのもので
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雷
(
いかずち
)
のような声だった。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
春の
雷
(
いかずち
)
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“雷”の意味
《名詞》
(かみなり)雲と雲の間、または雲と地の間に起きる大規模な放電現象。
(出典:Wiktionary)
雷
常用漢字
中学
部首:⾬
13画
“雷”を含む語句
雷鳴
雷神
遠雷
大雷
雷光
雷電
雷火
雷鳥
春雷
雷除
雷雲
大雷鳴
雷霆
疾風迅雷
雷雨
地雷火
魚雷
雷声
雷公
百雷
...