身構みがま)” の例文
せよと言ひながら腰の一刀引拔ひきぬきつゝ身構みがまへなせばわるものどもは打笑ひ何の小癪こしやくあをさい息杖いきづゑとりのべ打てかゝるを此方はさわがず切拂ひ又打込を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
馬もびっくりしましたぁね、(おいどいつだい、何の用だい。)おどおどしながらはねきて身構みがまえをしてうバキチにいたってんです。
バキチの仕事 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
その真剣しんけんぶりに、万千代や小姓たちが、少しあとへさがったのをしおとして、かれはまた、ふたたびげいにとりかかるような身構みがまえをキッと取り
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「きたっ!」といって、みんなは、すような身構みがまえをしたけれど、もうすすきがなかった。はや、トラックは、まえにきてまりました。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこには思いがけなくも、帆村を始め、捜査課長、検事、判事など十四五人が、ダリアの方に身構みがまえをしていた。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と、やがて立留たちとどまって室内しつない人々ひとびとみまわして昂然こうぜんとしていまにもなに重大じゅうだいなことをわんとするような身構みがまえをする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
とほり。」と傲然がうぜんとして、坊主ばうず身構みがまそでかゝげた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
椅子いすをもて我をたむと身構みがまへし
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
して身構みがまふるに、かの毒龍どくりようまひ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「どういうものか、あいつはきらいでな。ひどいめにあわせてくれなけりゃ。」と、叔父おじは、かなづちをにぎって、きたらげつける身構みがまえをしていました。
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、やが立留たちとゞまつて室内しつない人々ひと/″\みまはして昂然かうぜんとしていまにもなに重大ぢゆうだいことはんとするやうな身構みがまへをする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「こりゃ、山男。出はって。切ってしまうぞ。」達二は脇差わきざしをいて身構みがまえしました。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
さあ、ここはどんなところかと、八木少年は、すばやく身構みがまえをして、ぐるっと四方八方をにらみまわした。そこは一坪ばかりの円形の穴倉あなぐらになっていた。そこから一方へトンネルがつづいていた。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
青年わかものは、つた見得みえに、後退あとずさりしながら身構みがまへして
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
搖上ゆりあ搖下ゆりおろされ今にも逆卷さかまくなみに引れ那落ならくしづまん計りなれば八かんねつ地獄ぢごくの樣もかくやとばかりおそろしなんどもおろかなり看々みる/\山の如き大浪おほなみは天神丸の胴腹どうはらへ打付たればあはれやさしも堅固けんごしつらへし天神丸も忽地たちまち巖石がんせきに打付られ微塵みぢんなつくだけ失たり氣早きばやき吉兵衞は此時早くも身構みがまへして所持の品は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
少女しょうじょは、っていた、パンをちぎりました。とつぜん、なにかおとがして、ねこのそばへちました。おどろいたははねこは、まるくして、不意ふい来襲者らいしゅうしゃそなえて、身構みがまえをしました。
どこかに生きながら (新字新仮名) / 小川未明(著)
かたり取たとは不埓ふらちの一言今一ごんきいて見よ其分には置まじと煙管きせる追取おつとり身構みがまへなし威猛高ゐたけだかのゝしるにぞ彌々いよ/\驚怖おどろく千太郎くやし涙にかきくれまう是迄と大聲あげ長庵殿そりや聞えぬぞへ今更に然樣にばかり言るゝからは矢張やつぱりかたりに相違なしと半分はんぶんいはせず長庵は汝若年者故に何事も勘辨かんべんして言はして置ば付上り跡形あとかたも無き惡口雜言あくこうざふごんまう此上は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)