見苦みぐる)” の例文
見るに衣裳なり見苦みぐるしけれども色白くして人品ひとがら能くひなまれなる美男なればこゝろ嬉敷うれしくねやともなひつゝ終に新枕にひまくらかはせし故是より吉三郎もお菊を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
このひとすぐれた才子さいしでありましたが形恰好なりかつこうすこへんで、せいたかかたて、見苦みぐるしかつたので、人々ひと/″\わらつてゐました。
マーキュ 出來できた。此上このうへ洒落競しゃれくらべぢゃぞ。これ、足下おぬしそのうすっぺらなくつそこは、いまこと/″\って、はて見苦みぐるしいあししゃらうぞよ。
多門たもん小手こてを一本にめんを二本とりました。数馬は一本もとらずにしまいました。つまり三本勝負の上には見苦みぐるしい負けかたを致したのでございまする。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ふたりは道すがら話もせずに、はらのうちでねりにねってきたのである。どうやら見苦みぐるしくもなくあいさつがすんだので、ふたりは重荷おもにをおろしたようである。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
俺達わしたち受持うけもっている以上いじょう、そちたちだんじてそんな見苦みぐるしい真似まねわさせられぬ。これからそちたちはどこまでもあいってくれ。が、そちたちはどこまでもきよ関係かんけいをつづけてくれ……。
覺悟かくご今更いまさらなみだ見苦みぐるしゝとはげますはことばばかりれまづはらまぶたつゆえんとするいのちさてもはかなし此處こゝ松澤まつざは新田につた先祖累代せんぞるゐだい墓所ぼしよひるなほくら樹木じゆもくしげみを吹拂ふきはら夜風よかぜいとゞ悲慘ひさんこゑ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ともの人たちは、太子たいしのお馬先うまさき見苦みぐるしいとおもって、あわてていたてようとしますと、太子たいしはやさしくおめになって、ものをおやりになり、なさけぶかいお言葉ことばをおかけになりました。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
平岡ひらをかいへは、此十数年来の物価騰れて、中流社会が次第々々にめられてく有様を、住宅じうたくうへく代表してゐる、尤も粗悪な見苦みぐるしきかまへである。とくに代助には左様さう見えた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すごすご都に歸り來りし、打漏うちもらされの見苦みぐるしさ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
はて、見苦みぐるしいわい。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
御稱美ごしようびありて早速御召抱おめしかゝへ成るべくとの由なれば直樣すぐさま御對面ごたいめんあらるべしついては先生の御衣服おいふくあま見苦みぐるし此段をも申上たれば小袖こそで一重ひとかさね羽織はおり一ツとを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
坂をのぼつて伝通院の横へると、細く高い烟突が、てらてらあひだから、きたないけむを、くもの多いそらいてゐた。代助はそれをて、貧弱な工業が、生存のために無理に呼吸いき見苦みぐるしいものと思つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
見て大いにわらひ二人の手下に打對うちむかひ役にも立ぬ無駄骨折むだぼねをりさてはたらうすい奴等と云はれて二人は大いにおそ無益むえきの殺生致せしと天窓あたまき/\閉口へいこうしたる其有樣ぞ見苦みぐるしき次郎はかさねて申樣此樣な仕事しごと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)