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罵
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のの
ふりがな文庫
“
罵
(
のの
)” の例文
そして胃を病んで死んだのであるが、寝こんでから息をひきとるまで、半年以上ものあいだ彼を「不孝者」といって
罵
(
のの
)
しり続けた。
泥棒と若殿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と
罵
(
のの
)
しる者もあったが、それでも、万一の
騒擾
(
そうじょう
)
を怖れてか、
門扉
(
もんぴ
)
は、固く閉じたまま、開きもしなければ、答えもしないのである。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
手枷
(
てかせ
)
足枷をして、面前にひき出し、「汝の違言に依って、北条家は
亡
(
ほろ
)
んだではないか。主家を亡して快きか」と、
罵
(
のの
)
しった。
真田幸村
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私達は、竹柵の外から、
鮨詰
(
すしづめ
)
に押し込まれている、ロスケを
罵
(
のの
)
しったり、石を
抛
(
ほう
)
り込んだりして、一時間ぐらい費やした。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
なんという不道徳漢と誰に
罵
(
のの
)
しられても仕方がない。その日、姉の家に移転してから、初めて、二つの雑誌社から、小説註文の編集者がみえた。
野狐
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
▼ もっと見る
千代子にこう
罵
(
のの
)
しられた僕は、実際誰の目にも立派な腕白小僧として見えたろう。僕自身も腕白小僧らしい思いをした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、巻舌で息子を
罵
(
のの
)
しった。その
見幕
(
けんまく
)
に、泣き出すかと思った子は、ちょこちょこといって箏の前へ坐ったのだった。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
我自ら我身を顧りみれば
孑然
(
げつぜん
)
として小虫の如く、車夫に
罵
(
のの
)
しられ馬丁に叱られ右に避け左にかがまりて、ようやくに志す浅草三間町へたどり着きたり。
良夜
(新字新仮名)
/
饗庭篁村
(著)
「学校の先生なんテ、私は
大嫌
(
だいきら
)
いサ、ぐずぐずして眼ばかりパチつかしているところは蚊を
捕
(
つかま
)
え
損
(
そこ
)
なった
疣蛙
(
えぼがえる
)
みたようだ」とは
曾
(
かつ
)
て自分を
罵
(
のの
)
しった言葉。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
いよ/\
上手
(
じょうず
)
のように思われて
凡
(
およ
)
そ一年ばかりは
胡摩化
(
ごまか
)
して居たが、何かの
拍子
(
ひょうし
)
にツイ
化
(
ばけ
)
の皮が現われて
散々
(
さんざん
)
罵
(
のの
)
しられたことがある、と云うようなもので
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
青眼は藍丸王のこのように荒々しい、
狂気
(
きちがい
)
じみた姿を見たのはこれが初めてでした。又このように無慈悲な言葉で、嘲けられ
罵
(
のの
)
しられた事も初めてでした。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
小翠はもうそれを知って扉を閉めて、二人が何といって
罵
(
のの
)
ってもそのままにして
啓
(
あ
)
けなかった。王侍御は怒って斧で扉を破った。小翠は笑いを含んだ声でいった。
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
浅間しさも浅間しい、が、人間何よりも
餌食
(
えじき
)
だね。私も餌食さえふんだんなら、何も畜生が歯を
剥
(
む
)
くように、建具屋の甥や、妹の娘の婿か、その
蒔絵屋
(
まきえや
)
なんか
罵
(
のの
)
しりやしない。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
親爺の
罵
(
のの
)
しり声も耳に入らぬ体で、熱心に、石膏像の芯の布みたいなものを検べていたが、やがて、こちらを向いて立上った時には、彼はハッする程
険
(
けわ
)
しい表情になっていた。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
兵隊はいやなものでも、将校と云うものはいいものだろうと思っていたが、いつか練兵場で練兵するのを見ていたら、若い将校が一人の兵隊をつかまえて、何か声高に
罵
(
のの
)
しっていた。
枯菊の影
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「あかん、あかん、弾けるまで夜通しかかったかて
遣
(
や
)
りや」と激しく
叱咜
(
しった
)
する声がしばしば階下の奉公人共を
驚
(
おどろ
)
かした時によるとこの幼い女師匠は「
阿呆
(
あほう
)
、何で覚えられへんねん」と
罵
(
のの
)
しりながら
撥
(
ばち
)
を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そして新吉原から始まった、あの
狡猾
(
こうかつ
)
で卑しい女や男たちに向って。かれらは昌平を軽侮し、騙し、裸に剥き、そして
罵
(
のの
)
しり辱しめた。
七日七夜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「くれぐれも、六波羅衆の息子などにかまうなよ。何と
罵
(
のの
)
しられても、耳をおさえて、走って行くのだぞよ。よいか」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「真正」だと判断した町の医者に、
避病舎
(
ひびょうしゃ
)
に入院を命ぜられると、女房はまるで間の悪さの全部が子供のせいででもあるように口汚なく
罵
(
のの
)
しるのだった。——
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
彼の
罵
(
のの
)
しる言葉は、人を罵しった経験を知らないような落ちつきを
具
(
そな
)
えた彼の声を通して、敬太郎の耳に響くので、敬太郎も強く反抗する気になれなかった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それは俺を悩ますと同時に、
嘲
(
あざ
)
けり恥しめ
罵
(
のの
)
しっているのじゃ。あゝ俺は貴女のその笑顔に
堪
(
た
)
えない。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
老僧は
猶
(
なお
)
も父が病中母を
罵
(
のの
)
しったこと、
死際
(
しにぎわ
)
に大塚剛蔵に其
一子
(
いっし
)
を托したことまで語りました。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
すると
忽
(
たちま
)
ち
背後
(
うしろ
)
の森の中に人音が聞えて、女の追手と
覚
(
おぼ
)
しき荒くれ男の数名が口々に『
素破
(
すわ
)
こそ淫仙よ』『殺人魔よ』『
奪屍鬼
(
だっしき
)
よ』と
罵
(
のの
)
しりつつ立ち現われ、前後左右を取り巻いて
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そして伊藤公は——かなりな
我儘
(
わがまま
)
をする人だというので憎み
罵
(
のの
)
しるものもあればあるほど、
畏敬
(
いけい
)
されたり、
愛敬
(
あいきょう
)
があるとて
贔屓
(
ひいき
)
も強かったり、ともかくも明治朝臣のなかで
巍然
(
ぎぜん
)
とした大人物
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ある者は警察の無能を
罵
(
のの
)
しり、東京中の私立探偵を総動員せよと論じた。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
降ればぬかり照れば
埃
(
ほこり
)
だつ道や、往来の人びとのけたたましく
罵
(
のの
)
しり喚くこえなど、すべてがうるおいのない暴あらしい感じだったから
日本婦道記:おもかげ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
自分は彼に対して
怒
(
おこ
)
り得るほどの勇気を持っていなかった。怒り得るならば、この間
罵
(
のの
)
しられて彼の書斎を出るとき、すでに
激昂
(
げっこう
)
していなければならなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もし富岡先生に
罵
(
のの
)
しられたばかりなら彼は何とかして思切るほうに
悶
(
もが
)
いたであろう、その
煩悶
(
はんもん
)
も苦痛には相違ないが、これ
戦
(
たたかい
)
である、彼の意力は
克
(
よ
)
くこの悩に
堪
(
た
)
えたであろう。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
と
罵
(
のの
)
しった。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
だがそうではないかもしれない、「やい」とか「しゃらくせえまねをするな」というような
罵
(
のの
)
しり声は、
慥
(
たし
)
かに床下のほうから聞えて来た。
泥棒と若殿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そればかりでなく、松本は田口を
捕
(
つら
)
まえて、役には立つが頭のなっていない男だと
罵
(
のの
)
しった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それを藤吉が人知れず苦にしていた矢先、またもやこういうて
罵
(
のの
)
しられたものですから言うに言われぬ不平が一度に破裂したのでございます、よけいなお世話だ、親方のお古ならどうした
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
いきなり弥六の胸ぐらへ
掴
(
つか
)
みかかり、「この大嘘つき」「ろくでなし」「恥知らずのぺてん師」「おっちょこちょい」「
唐茄子
(
とうなす
)
野郎」など、
凄
(
すさ
)
まじい勢いで
罵
(
のの
)
しりたてた。
ゆうれい貸屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
同時に、そう云う訳なら、自分が
直
(
じか
)
に宗助から相当の値で譲って貰えばよかったに、惜しい事をしたと云った。最後に横町の道具屋をひどく
罵
(
のの
)
しって、
怪
(
け
)
しからん
奴
(
やつ
)
だと云った。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「——まあ、なんて人を馬鹿にする木念仁だろう」嬢はとんと足踏みをし、眼をつり上げて
罵
(
のの
)
しった、「あたしの美しさなんかてんでわからない
木偶
(
でく
)
の坊だわ、ええ口惜しい」
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
贈り物あらば、われも十日を、
二十日
(
はつか
)
を、帰るを、忘るべきに、
罵
(
のの
)
しるは
卑
(
いや
)
し
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
下からはまた二十本も三十本もの手を一度に
挙
(
あ
)
げて、みんな仙太郎さんの方を向きながら、ろんじだのがれんだのという
符徴
(
ふちょう
)
を、
罵
(
のの
)
しるように呼び上げるうちに、
薑
(
しょうが
)
や
茄子
(
なす
)
や
唐
(
とう
)
茄子の
籠
(
かご
)
が
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ばかなことをした、と彼は自分を
罵
(
のの
)
しった。ことによるとこれで七重との長い友情もだめになるかもしれない。おそらくもう七重は自分とは会わなくなるだろう。彼はそんなふうにも思った。
艶書
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その女の夫となった男の軽薄を
罵
(
のの
)
しって
措
(
お
)
かなかった。しまいにこう云った。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
股引
(
ももひき
)
だの寝衣だのおしめだの下帯だのが干してあり、その下ではちょうど雑魚でも群れているように、
襤褸
(
ぼろ
)
を着た子供たちが
泥溝板
(
どぶいた
)
を踏鳴らしながら、喚いたり泣き叫んだり、
罵
(
のの
)
しり合ったり
恋の伝七郎
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「ワハハハハハサヴェジ・チーだ、サヴェジ・チーだ」と口々に
罵
(
のの
)
しる。主人は
大
(
おおい
)
に
逆鱗
(
げきりん
)
の
体
(
てい
)
で突然
起
(
た
)
ってステッキを持って、往来へ飛び出す。迷亭は手を
拍
(
う
)
って「面白い、やれやれ」と云う。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「なんという恰好だ」銀之丞はあたまごなしにこう
罵
(
のの
)
しる
恋の伝七郎
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
とわざわざ
罵
(
のの
)
しった事がある。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
罵
常用漢字
中学
部首:⽹
15画
“罵”を含む語句
罵詈
罵倒
嘲罵
罵声
罵詈讒謗
冷罵
罵詈雑言
悪罵
面罵
痛罵
怒罵
罵言
漫罵
熱罵
呶罵
罵殺
惡罵
慢罵
罵詈悪口
唾罵
...