くゝ)” の例文
上役人かみやくにんの扱いに不服を唱えるとは不届千万ふとゞきせんばんな奴だと云って、その三人を庭のの枝にくゝり上げ、今日で三日半ほど日乾ひぼしにされて居ります
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かくてもいまいかりは解けず、お村の後手うしろでくゝりたる縄のはし承塵なげしくぐらせ、天井より釣下つりさげて、一太刀斬附きりつくれば、お村ははツと我に返りて
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「まア、飛ばねえやうに、繩ででもくゝつて置いてお呉れなせえ、此方こつちからだもちぎれねえやうに、今ま一杯つてくからネ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
御臺所おだいどころ町、妻戀町一帶に網を張らせ、少しでも怪しい者があつたら引つくゝるやうにと指圖をして置いたのです。
二人ふたりわらくゝつたおほきなたばいてはねばつたものでもはがやうつかつて熱心ねつしんせはしくうすはらたゝきつけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
高手たかて小手こてしばりあげ傍らなるはしらくゝ着置つけおきヤレ/\大騷ぎをしたりと云ながら其身は臥寢ふしどいりたりけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つら/\此住居すまゐを見るに、いしずえもすえず掘立ほりたてたるはしらぬきをば藤蔓ふぢづるにてくゝりつけ、すげをあみかけてかべとし小きまどあり、戸口は大木のかはの一まいなるをひらめてよこ木をわたし
支倉の奴は木で鼻をくゝったような挨拶をしやがったが、おかみさんが分ったひとでねえ、病気の方は医者にかけて治療させると云う事になって姪の奴は一先ず世話した人の宅へ引取って
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
それから小切こぎれを持ち出して来て、指の附根をしっかりとくゝりました。それだけの応急手当をして置いて、雨のふりしきる暗いなかを医者のところへ駈けて行きました。阿部さんは運がよかったのです。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
文「なんだ、くゝり上げて置いた、無法なことをするなア、そんなら仕方がない、兎も角此処こゝへ連れて来てくれぬか」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さて下に三把をならべ、中には二把、うへには一把、これをなはにて強くくゝふもとのぞん蹉跌すべらかすに、こほりたる雪の上なれば幾百丈の高も一瞬まばたきにふもとにいたるをそりにのせてひきかへる。
今度も左様さうです、松島が負傷したに就て、軍隊や元老の方からも八釜やかましく言うて来て困る、是非何とかして、篠田をくゝらねばならぬからと言ふんでせう——其りや成程
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
押伏おしふせ忽ち高手小手にくゝし上れば富右衞門はたましひ天外にとび茫然ばうぜんとしてあきれしが是はそも何科なにとが有て此繩目なはめ私し身に取ていさゝかも御召捕めしとりになるべきおぼえ無しと云せも果ず役人は富右衞門を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
また砂利の上にむしろを敷きまして、其の上に高手小手たかてこてくゝされて森山勘八が居りますお目付が席を進みて。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
されど命のをしきにやおの/\おのこしなはをつけこれを岩のとがりなどにくゝしおく。こゝに往来ゆきゝするには岩に足のかゝるべき所をわづかに作り、岩にとりつきてのぼくだりをなす。
つれたる浪人體らうにんていの者夫婦づれとも言べき樣子にて男の衣類は黒羽二重の紋付もんつきに下には縞縮緬しまちりめんの小袖を着し紺博多こんはかたの帶をしめ大小なども相應なるを帶して更紗さらさの風呂敷包み二つ眞田さなだひもにて中をくゝり是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さて下に三把をならべ、中には二把、うへには一把、これをなはにて強くくゝふもとのぞん蹉跌すべらかすに、こほりたる雪の上なれば幾百丈の高も一瞬まばたきにふもとにいたるをそりにのせてひきかへる。
引摺ひきずられるようにしてお役所へ参り、早々届けに成りました事ゆえ、此の者をくゝし上げまして、其の罪人とがにんを入れ置く処へ入れて置き、翌日お調べというのでお役所へ呼出しになりました時には
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
或はまた山に九曲まがりくねりあるには、くだんのごとくにくゝしたるたきゞそりり、片足かたあしをあそばせて是にてかぢをとり、船をはしらすがごとくして難所なんじよよけて数百丈のふもとにくだる、一ツもあやまつことなし。
×「別段案内にゃア及びますめえ、先刻さっき二三人廻してくゝって……」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)