笑止せうし)” の例文
わするゝひとありとかきしがこれはまたいかにかへるべきいへわすれたるかとしもまだわかかるを笑止せうしといはゞ笑止せうしおもへばさていぶかしきことなり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
立んとて此大雪に出で行きたれどもなん甲斐かひやあらん骨折損ほねをりぞん草臥くたびれ所得まうけ今に空手からてで歸りんアラ笑止せうしの事やとひとごと留守るすしてこそは居たりけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さてその俊秀しゆんしうなる当代たうだい小説家せうせつかが普通日用にちようの語をさへ知らぬ事は、ヒイキたるぼく笑止せうしとするよりも、残念とする所だが今ではこれが新聞記者にも及んだらしい。
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
ふくら雀は風にもまるる笑止せうしや正直一途いちづの源吾兵衛はひよいと世に出て人にもまるるもまるる
真珠抄 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
東京とうきやうの或る固執派オルソドキシカー教会けうくわいぞくする女学校ぢよがつかう教師けうし曾我物語そがものがたり挿画さしゑ男女なんによあるを猥褻わいせつ文書ぶんしよなりとんだ感違かんちがひして炉中ろちう投込なげこみしといふ一ツばなし近頃ちかごろ笑止せうしかぎりなれど
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
籠中かごのなかひとこゑふるはし、「おひとわるい、かゝ難儀なんぎきようがりてなぶりたまふは何事なにごとぞ。きみ御心おんこゝろはいかならむ、まこと心細こゝろぼそくなりさふらふ」と年效としがひもなくなみだながす、御傍おそば面々めん/\笑止せうしおも
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
殊に、今でも眼についてゐるのは、副長の慌て方で、この前の戦争の時には、随分、驍名げうめいせた人ださうですが、その顔色を変へて、心配した事と云つたら、はた眼にも笑止せうしな位です。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
たゞ甲板かふはんに据ゑぬればげにや笑止せうしきはみなる。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
袖褄そでつま引合ひてののしり合へるぞ笑止せうしなる。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
かうぶるは笑止せうし千萬但證據有やと尋ぬるに然れば福井町にすむ權三助十と云ふ駕籠舁かごかき二人證人なりと申せば八右衞門くび
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ゆき後朝あしたすゑつむはな見參げんざんまへのこヽろなるべし、さて笑止せうしとけなしながらこヽろにかヽれば、何時いつ門前もんぜんとほときれとなくかへりて、ることもれかしとちしが
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
トヾの結局つまり博物館はくぶつくわん乾物ひもの標本へうほんのこすかなくば路頭ろとういぬはらこやすが学者がくしやとしての功名こうみやう手柄てがらなりと愚痴ぐちこぼ似而非えせナツシユは勿論もちろん白痴こけのドンづまりなれど、さるにても笑止せうしなるはこれ沙汰さた
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
ともばやしこそ笑止せうしなれ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
寝惚ねぼけがほなる笑止せうしさに
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
つとめられし大橋文右衞門殿が今日けふは一文二文の袖乞そでごひを致しらるゝとは餘りなる零落おちぶれやうさても/\笑止せうし千萬なることなりどうかなして昔年の恩報じに當時の難儀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)