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立
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だち
ふりがな文庫
“
立
(
だち
)” の例文
金吾は
袴
(
はかま
)
のもも
立
(
だち
)
を高くして、路傍から
棟梁
(
とうりょう
)
屋敷の石塀にそって駆け、カサ、カサ……と落葉のふるえる暗やみへ姿を入れる。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今の
儘
(
まゝ
)
の顔
立
(
だち
)
でよいから、表情と
肉附
(
にくづき
)
の
生生
(
いきいき
)
とした活動の美を備へた女が
殖
(
ふ
)
えて
欲
(
ほ
)
しい。髪も黒く目も黒い日本式の女は
巴里
(
パリイ
)
にも
沢山
(
たくさん
)
にある。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
机の
側
(
かたわら
)
に押立たは二本
立
(
だち
)
の
書函
(
ほんばこ
)
、これには小形の
爛缶
(
ランプ
)
が載せてある。机の下に差入れたは
縁
(
ふち
)
の欠けた火入、これには
摺附木
(
すりつけぎ
)
の
死体
(
しがい
)
が
横
(
よこたわ
)
ッている。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
何とも
容子
(
ようす
)
のいい、何処かさみしいが、目鼻
立
(
だち
)
のきりりとした、
帯腰
(
おびごし
)
がしまっていて、そして
媚
(
なまめ
)
かしい、なり恰好は女中らしいが、すてきな年増だ。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
千載
茲許
(
ここもと
)
に寄せては返す
女浪
(
めなみ
)
男浪
(
おなみ
)
は、例の如く渚を
這
(
はい
)
上る浪頭の彼方に、唯
形
(
かた
)
ばかりなる一軒
立
(
だち
)
の
苫屋
(
とまや
)
あり。
片男波
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
▼ もっと見る
小皿伏せたるやうなる
縁
(
ふち
)
狭き笠に
草花
(
くさばな
)
插したるもをかしと、
携
(
たずさ
)
へし目がね
忙
(
いそが
)
はしくかなたこなたを
見廻
(
みめぐ
)
らすほどに、向ひの岡なる一群きは
立
(
だち
)
てゆかしう覚えぬ。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
しやちほこ
立
(
だち
)
や、棒上りや、金輪の使ひ分けや、をかしな踊りなどを、
太鼓
(
たいこ
)
をたゝきながらやるのです。
シャボン玉
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
唯顔
立
(
だち
)
から云ふと、此女の方が余程上等である。口に締りがある。眼が
判明
(
はつきり
)
してゐる。
額
(
ひたひ
)
が御光さんの様にだゞつ
広
(
ぴろ
)
くない。何となく
好
(
い
)
い心持に出来上つてゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
阿爺
(
おとっさん
)
は、
亡児
(
なきこ
)
の
枕辺
(
まくらべ
)
に
座
(
すわ
)
って、次郎さんの
幼
(
おさ
)
な
立
(
だち
)
の事から臨終前後の事何くれと
細
(
こま
)
かに物語った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
換言すれば一人
立
(
だち
)
は固有の鹿舞系のものであって、二人立は獅子舞系のものと見るのである。
獅子舞雑考
(新字新仮名)
/
中山太郎
(著)
その
曉
(
あかつき
)
に
何
(
なに
)
かいさゝか
仕損
(
しそこ
)
なゐでもこしらゆれば
我
(
わ
)
れは
首尾
(
しゆび
)
よく
離縁
(
りえん
)
になりて、一
本
(
ぽん
)
立
(
だち
)
の
野中
(
のなか
)
の
杉
(
すぎ
)
ともならば、
其
(
そ
)
れよりは
我
(
わ
)
が
自由
(
じゆう
)
にて
其時
(
そのとき
)
に
幸福
(
しやわせ
)
といふ
詞
(
ことば
)
を
與
(
あた
)
へ
給
(
たま
)
へと
笑
(
わら
)
ふに
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
かの人々の弐千余円を失ひて
馳違
(
はせちが
)
ふ中を、梅提げて通るは
誰
(
た
)
が子、猟銃
担
(
かた
)
げ行くは誰が子、
妓
(
ぎ
)
と車を
同
(
おなじ
)
うするは誰が子、
啣楊枝
(
くはへようじ
)
して好き
衣
(
きぬ
)
着たるは誰が子、
或
(
あるひ
)
は二頭
立
(
だち
)
の馬車を
駆
(
か
)
る者
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
目鼻
立
(
だち
)
は十人並
勝
(
すぐ
)
れて整ふて居るが寂しい顔であるから、水晶の中から出て来たやうな顔をして明るい色の着物を着た
伴
(
つれ
)
の女に比べると、花の傍に丸太の柱が
立
(
たつ
)
て居る程に見られるのであつた。
御門主
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
鯱鉾
(
しゃちほこ
)
立
(
だち
)
をしたってわかるこッちゃァあるめえて。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
元禄の頃の
陸奥
(
むつ
)
千鳥には——木川村入口に
鐙摺
(
あぶみずり
)
の岩あり、一騎
立
(
だち
)
の細道なり、少し
行
(
ゆ
)
きて右の
方
(
かた
)
に寺あり、小高き所、堂
一宇
(
いちう
)
、継信、忠信の両妻、
軍立
(
いくさだち
)
の姿にて
相双
(
あいなら
)
び立つ。
一景話題
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
御相
(
みさう
)
いとどしたしみやすきなつかしき
若葉
(
わかば
)
木
立
(
だち
)
の
中
(
なか
)
の
盧遮那仏
(
るしやなぶつ
)
みだれ髪
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
何も聞かない
振
(
ふり
)
をして、
蛙
(
かわず
)
が手を
掙
(
もが
)
くがごとく、指で
捜
(
さぐ
)
りながら、松の枝に提灯を釣すと、謙斎が
饒舌
(
しゃべ
)
った約束のごとく、そのまま、しょぼんと、根に
踞
(
かが
)
んで、つくばい
立
(
だち
)
の膝の上へ
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小夜具
(
こよぎ
)
を
被
(
かぶ
)
って、仁王
立
(
だち
)
、一斗
樽
(
だる
)
の三ツ目入道、裸の
小児
(
こども
)
と一所になって、さす手の扇、ひく手の手拭、揃って人も無げに
踊出
(
おどりいだ
)
した頃は、
俄雨
(
にわかあめ
)
を運ぶ機関車のごとき黒雲が、音もしないで
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
立
常用漢字
小1
部首:⽴
5画
“立”を含む語句
佇立
出立
突立
腹立
引立
立会
追立
衝立
逆立
立留
直立
言立
立派
建立
焦立
立退
立停
屹立
立籠
立出
...