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短夜
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みじかよ
ふりがな文庫
“
短夜
(
みじかよ
)” の例文
短夜
(
みじかよ
)
の明けぎわにざっと
一降
(
ひとふ
)
り降って来た雨の音を夢うつつの
中
(
うち
)
に聞きながら、君江は暫くうとうとしたかと思うと、
忽
(
たちま
)
ち窓の下の
横町
(
よこちょう
)
から
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と仙太郎の
慈悲
(
なさけ
)
から図らざることで親子主従が無事に助かりましたが、
短夜
(
みじかよ
)
ゆえ
忽
(
たちま
)
ちに明けまして、
翌朝
(
よくあさ
)
仙太郎が子分に手紙を持たしてやり
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
這般
(
この
)
、好色の豪族は、
疾
(
はや
)
く雨乞の
験
(
しるし
)
なしと見て取ると、日の
昨
(
さく
)
の、
短夜
(
みじかよ
)
もはや
半
(
なか
)
ばなりし
紗
(
しゃ
)
の
蚊帳
(
かや
)
の
裡
(
うち
)
を想ひ出した。……
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
商家の小僧が
短夜
(
みじかよ
)
恨めしげに店の大戸がらがらと
明
(
あく
)
れば、
寝衣
(
ねまき
)
姿
(
すがた
)
媚
(
なまめ
)
きてしどけなき若き娘が今朝の早起を
誇顔
(
ほこりがお
)
に
銀座の朝
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
短夜
(
みじかよ
)
の明けやすく、四時半には弁公引き窓をあけて飯をたきはじめた。親父もまもなく起きて身じたくをする。
窮死
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
短夜
(
みじかよ
)
のさらに短い一ときも、あるいは、百年のちぎりを一瞬のかたらいに込めて夫婦の二世までをその純朴な情愛の仲ではかたく信じ合えていたかもしれない。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの高輪の縁側で、萩の葉の暗い庭に向ったところで、二人あることを楽みながら夜遅くまで互に蚊に
喰
(
く
)
われて起きていた
短夜
(
みじかよ
)
の空が、
復
(
ま
)
た自分を
憂鬱
(
ゆううつ
)
にする。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一、
長閑
(
のどか
)
、
暖
(
あたたか
)
、
麗
(
うららか
)
、
日永
(
ひなが
)
、
朧
(
おぼろ
)
は春季と定め、
短夜
(
みじかよ
)
、
涼
(
すずし
)
、
熱
(
あつし
)
は夏季と定め、
冷
(
ひややか
)
、
凄
(
すさまじ
)
、
朝寒
(
あささむ
)
、
夜寒
(
よさむ
)
、
坐寒
(
そぞろさむ
)
、
漸寒
(
ややさむ
)
、
肌寒
(
はださむ
)
、
身
(
み
)
に
入
(
しむ
)
、
夜長
(
よなが
)
は秋季と定め、
寒
(
さむし
)
、つめたしは冬季と定む。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
纎
(
ほそ
)
くのみ月の見え來る
短夜
(
みじかよ
)
をまだ
最中
(
さなか
)
なり落ちしきるもの
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
短夜
(
みじかよ
)
に敵のうしろを通りけり 几董
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
短夜
(
みじかよ
)
の碁を
打分
(
うちわけ
)
の
名残
(
なごり
)
かな 喜重
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
まだ
短夜
(
みじかよ
)
も明けない
逢坂山
(
おうさかやま
)
の木立の上に、鉄砲を構えて、信長のすがたを待っている怪僧があった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
麓
(
ふもと
)
の出張った低い
磧
(
かわら
)
の岸に、むしろがこいの
掘立小屋
(
ほったてごや
)
が三つばかり
簗
(
やな
)
の崩れたようなのがあって、古俳句の——
短夜
(
みじかよ
)
や(何とかして)
川手水
(
かわちょうず
)
——がそっくり想出された。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この頃の
短夜
(
みじかよ
)
とはいへど病ある身の寐られねば
行燈
(
あんどん
)
の下の時計のみ眺めていと永きここちす。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
油紙で張った雨傘に
門
(
かど
)
の
時雨
(
しぐれ
)
のはらはらと降りかかる
響
(
ひびき
)
。夕月をかすめて
啼過
(
なきすぐ
)
る
雁
(
かり
)
の声。
短夜
(
みじかよ
)
の夢にふと聞く
時鳥
(
ほととぎす
)
の声。雨の夕方
渡場
(
わたしば
)
の船を呼ぶ人の声。
夜網
(
よあみ
)
を投込む水音。
荷船
(
にぶね
)
の
舵
(
かじ
)
の響。
虫の声
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と酒が始まりましたが
短夜
(
みじかよ
)
のことゆえ、大きに遅くなりました。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
纎
(
ほそ
)
くのみ月の見え来る
短夜
(
みじかよ
)
をまだ
最中
(
さなか
)
なり落ちしきるもの
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
短夜
(
みじかよ
)
の
鉦鼓
(
しょうこ
)
にまじる
磬
(
けい
)
の音
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「
短夜
(
みじかよ
)
だ」
並木
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「梅松論」がいう——当夜、
矢矧
(
ヤハギ
)
ニ
御着
(
ゴチヤク
)
アツテ、京都鎌倉ノ両大将御対面、久々ナル御物語リ、尽クトモ見エズ——とある一条の
短夜
(
みじかよ
)
は、こうして、あわただしいまにすぐ白む。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
渠
(
かれ
)
が寝られぬ
短夜
(
みじかよ
)
に……疲れて、寝忘れて遅く起きると、
祖母
(
としより
)
の影が見えぬ……
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
物一たび去れば遂にかえっては来ない。
短夜
(
みじかよ
)
の夢ばかりではない。
雪の日
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
短夜
(
みじかよ
)
はいまだ暗きに
小嵐
(
さあらし
)
や
朴
(
ほほ
)
の木の
梢
(
うれ
)
を搖りぬまさしく
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
短夜
(
みじかよ
)
や夢も
現
(
うつつ
)
も同じこと
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
短夜
(
みじかよ
)
や同心衆の
川手水
(
かわちょうず
)
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
眠り落ちた
短夜
(
みじかよ
)
の真夜中過ぎ——部屋の窓から、ひらりと、外庭へ跳びおりた小六は、ややしばらく姿を隠していたが、再び窓口へ顔を出して、低い——聞きとれないほどな声で
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
コトコトと
嘴
(
はし
)
を鳴らし、
短夜
(
みじかよ
)
の明けた広縁には、ぞろぞろ
夥
(
おびただ
)
しい、
褐
(
かば
)
色の黒いのと、松虫鈴虫のようなのが、うようよして、ざっと障子へ
駆上
(
かけあが
)
って消えましたが、西瓜の
核
(
たね
)
が
化
(
な
)
ったんですって。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
短夜
(
みじかよ
)
はいまだ暗きに
小嵐
(
さあらし
)
や
朴
(
ほほ
)
の木の
梢
(
うれ
)
を揺りぬまさしく
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
短夜
(
みじかよ
)
や
露領
(
ろりょう
)
に近き旅の宿
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
短夜
(
みじかよ
)
や同心衆の
川手水
(
かはてうづ
)
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
明けやすい
短夜
(
みじかよ
)
である。五
更
(
こう
)
といえばもう
有明
(
ありあ
)
けの色がどこにもほのかである。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて
短夜
(
みじかよ
)
が……嬉しや、もう明けそうに、窓から白濁りの色が
注
(
さ
)
して、どんよりと光って、
卓子
(
テエブル
)
の上へ飜った、と見ると、
跫音
(
あしおと
)
が、激しくなって、ばたばたばた、とそこいらを
駈
(
か
)
けたが、風か
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
短夜
(
みじかよ
)
の
槐
(
ゑんじゆ
)
の虹に鳴く蝉の
湿
(
しめ
)
りいち早し今日も
時化
(
しけ
)
ならむ
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
短夜
(
みじかよ
)
や
暇
(
いとま
)
賜はる
白拍子
(
しらびょうし
)
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
お蔭で、夏の
短夜
(
みじかよ
)
を、日吉の寝る間は、なお僅かだった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
短夜
(
みじかよ
)
の馬込なりしか梟と
木菟
(
みみづく
)
のこゑの
互
(
かた
)
みにはして
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
夏の
短夜
(
みじかよ
)
なのでどこに明かすも、夜はすぐに白みかけた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
短夜
(
みじかよ
)
の馬込なりしか梟と
木菟
(
みみづく
)
のこゑの
互
(
かた
)
みにはして
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
短夜
(
みじかよ
)
の墓地になるのだ。
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
短
常用漢字
小3
部首:⽮
12画
夜
常用漢字
小2
部首:⼣
8画
“短”で始まる語句
短
短銃
短檠
短冊
短艇
短刀
短衣
短袴
短剣
短氣