トップ
>
発心
>
ほっしん
ふりがな文庫
“
発心
(
ほっしん
)” の例文
旧字:
發心
と
発心
(
ほっしん
)
した。郷里の両親と
占部
(
うらべ
)
牧師へ
然
(
そ
)
う書いて送った。祈祷、勉強、自省、交際、運動等の時間割を細かに作って、忠実に実行した。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「いや、
発心
(
ほっしん
)
しよう。この辺で
魯達
(
ろたつ
)
も大人しく人なみに返れという亡母亡父のおさとしかも知れん。お願い申すといたしましょう」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……
笈
(
おい
)
も笠も、用意をしたと、毎日のように
発心
(
ほっしん
)
から、
支度
(
したく
)
、見送人のそれぞれまで、続けて新聞が報道して、えらい騒ぎがありました。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
また、彼が何の
発心
(
ほっしん
)
か、近ごろになって著述の筆をとりはじめて、自叙伝めいたものを書き出したということも前に書きました。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
国師は
足利尊氏
(
あしかがたかうじ
)
を
発心
(
ほっしん
)
せしめた有名な人ですが、この無窓国師は「
長寿
(
ながいき
)
の
秘訣
(
ひけつ
)
」すなわち長生の方法について、こんな事をいっています。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
▼ もっと見る
『今昔物語』に鹿の命に代わろうとした
聖
(
ひじり
)
が、
猟人
(
かりうど
)
と
松明
(
たいまつ
)
の光で見合わせたという類の遭遇で、ほとんど凡人の
発心
(
ほっしん
)
を催すような目であった。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
吉「あ、あ、有難うがす、
私
(
わっち
)
も今更
発心
(
ほっしん
)
しました、死ぬる命は
惜
(
おし
)
みませぬ、
何
(
ど
)
うか楽に
成仏
(
じょうぶつ
)
の出来ますよう、念仏の一つも唱えて下せえまし」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
もうしばらく御
発心
(
ほっしん
)
をお延ばしになりまして、宮様がたも大人におなりになり御不安なことなどはいっさいないころまで
源氏物語:42 まぼろし
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
おそらく菩提寺の住職に因果を説かれて、お安の死霊の恨みを解くために、俄かに
発心
(
ほっしん
)
して出家を思い立ったのであろう。
半七捕物帳:16 津の国屋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
七蔵
(
しちぞう
)
がゆがみたる耳を貫けば
是
(
これ
)
も我慢の
角
(
つの
)
を
落
(
おと
)
して
黒山
(
こくざん
)
の
鬼窟
(
きくつ
)
を
出
(
いで
)
、
発心
(
ほっしん
)
勇ましく田原と共に左右の
御前立
(
おんまえだち
)
となりぬ。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
迚
(
とて
)
も
叶
(
かな
)
わぬ禁酒の
発心
(
ほっしん
)
、一箇月の大馬鹿をして酒と
烟草
(
タバコ
)
と両刀
遣
(
づか
)
いに成り果て、六十余歳の今年に至るまで、酒は自然に禁じたれども烟草は
止
(
や
)
みそうにもせず
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「エライ
発心
(
ほっしん
)
の仕方をしたものだ。坊主にでも成ろうというところを、
少婦
(
おんな
)
を連れて出て行くなんて」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
家は
潰
(
つぶ
)
され、法律上の妻には出て往かれ、今は実家の
厄介
(
やっかい
)
になって居る
久
(
ひさ
)
さんが、
何
(
なに
)
発心
(
ほっしん
)
してか今日はまる/\の
青坊主
(
あおぼうず
)
に
剃
(
そ
)
って、手拭肩に独ぶら/\歩いて居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
僧侶が信の世界において
発心
(
ほっしん
)
するが如く、私たちは美の境地において不断の精進を契ったのである。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
小倉で
発心
(
ほっしん
)
して
尼
(
あま
)
になり、小さな庵をもつことになったとは聞いていたが、こうやってじかにその姿を見るまでは、そのことを切実に考えていなかったといって好い。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
発心
(
ほっしん
)
の由来を承りたいと云うと、やはり年老いた入道で、衣の破れたのに七条の
袈裟
(
けさ
)
をかけて
看経
(
かんきん
)
していたが、
道行
(
どうぎょう
)
に痩せて顔の色は黒く、哀れなさまをしているものゝ
三人法師
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
常識にはちがいないが、私はこの常識を第一義の道と信じ、ささやかながら
発心
(
ほっしん
)
の至情を以て、また旅人ののびやかな心において、古寺古仏に対したいと思ったのである。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
参禅の三摩地を味い、諷経
念誦
(
ねんじゅ
)
の
法悦
(
ほうえつ
)
を知っていたので、和尚の
遷化
(
せんげ
)
して後も、団九郎は閑山寺を去らなかった。
五蘊
(
ごうん
)
の
覊絆
(
きはん
)
を厭悪し、すでに一念
解脱
(
げだつ
)
を
発心
(
ほっしん
)
していたのである。
閑山
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
其処
(
そこ
)
で僕も大いに
発心
(
ほっしん
)
して大学予備門へ入る為に成立学舎——
駿河台
(
するがだい
)
にあったが、
慥
(
たし
)
か今の蘇我祐準の隣だったと思う——へ入学して、
殆
(
ほと
)
んど一年
許
(
ばか
)
り一生懸命に英語を勉強した。
落第
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分のなかのむなしいものや、甘えるものや、また自分の
発心
(
ほっしん
)
や動機などに根在する不純な趣味的要素(妙な言葉ですけれど)に眼がつくほど、新しい生活に対して二の足を踏みます。
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
呉羽之介は
発心
(
ほっしん
)
して、淋しく
微
(
かす
)
かに笑を浮べました。そして
虚無僧
(
こむそう
)
の尺八の如く背負った、背なる錦の袋を取って開けひらき、中からかの絵姿を取り出して、月の光に
翳
(
かざ
)
して見るのでした。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
妾
不肖
(
ふしょう
)
なりといえどもわが子はわが手にて養育せん、誓って
一文
(
いちもん
)
たりとも彼が保護をば仰がじと
発心
(
ほっしん
)
し、その
旨
(
むね
)
言い送りてここに全く彼と絶ち、家計の保護をも謝して全く独立の歩調を
執
(
と
)
り
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
無用の
発心
(
ほっしん
)
やめ
給
(
たま
)
え、と
繁
(
しげ
)
く忠告致されましたが、とめられると
尚更
(
なおさら
)
、意地になって是が非でも出家遁世しなければならぬような気持ちになり、とめるな、とめるな、浮世がいやになり申した
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼女はどんな事情で
発心
(
ほっしん
)
し、楽しかるべき浮世を捨てたのだろう。……
鍵から抜け出した女
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「しみ/″\、遠州屋、あとで愚痴をこぼしました。——あんまり情なくって俺ァ泪も出なかった。——
発心
(
ほっしん
)
して俺も君たちの真似をするよ。——たのまれたってもう茶屋なんぞはじめるもんか。」
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
発心
(
ほっしん
)
の
髻
(
もとどり
)
を吹く
野分
(
のわき
)
かな
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
遠いむかしの、熊谷蓮生坊の
発心
(
ほっしん
)
と、その生涯も、きわめて自然に考えられる。だが彼には、心のあてとする
法然
(
ほうねん
)
の門はなかった。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
毎晩拝聴を仰せつかりながら、今こそ迷惑しているけれど、将来は必ず人に迷惑をかけるくらいの身分になりたいと
発心
(
ほっしん
)
した
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それを一段聞くと道庵がしきりに昂奮して、軽井沢で
発心
(
ほっしん
)
した武者修行の
謀叛
(
むほん
)
が、むらむらと頭を
擡
(
もた
)
げました。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
古寺を訪れる初心とは、つまりは
発心
(
ほっしん
)
であり、祈りの心の湧きおこるときでなければならぬ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
ある幸多き年のこと、気違いが
発心
(
ほっしん
)
して白装束に身をかため四国遍路に旅立ったが、そのとき四国のどこかしらで白痴の女と意気投合し、遍路みやげに女房をつれて戻ってきた。
白痴
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
その彼にも、その苦痛を、冷静に、淡々たる一句に
約
(
つづ
)
めて表現し得る或る日が到来した。少しばかりの余裕が心の中に
齎
(
もたら
)
した
賜物
(
たまもの
)
といっても好い。鶴見にはその日にはじめて
発心
(
ほっしん
)
が出来たのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
「この身の
発心
(
ほっしん
)
をあわれみ給うて
弥陀
(
みだ
)
がお手びき下されたことと存ずる。何とぞ、お慈悲をもってこの
後
(
ご
)
の安住を老骨へおさずけ下されい」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「団君、珍らしいことがあるぜ。村岡君がイヨ/\
発心
(
ほっしん
)
したよ。ピックウィック・ペーパーズを書くそうだ」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
本心から左様に
発心
(
ほっしん
)
して
精進
(
しょうじん
)
しているわけではなく、事情しからしめた故にそうなったので、この事情が除かるるならば——たとえば面の傷が
癒着
(
ゆちゃく
)
するとか
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
病気に対する恐怖——これは
永劫
(
えいごう
)
に尽きないであろう。いかなる時代においても病気と犯罪は
発心
(
ほっしん
)
の二大機縁である。薬師信仰を医術の発達せぬ時代の迷信と思っては間ちがいだ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
それはよかった……さだめしお養父君もご安心なされたであろう。おもとも、
発心
(
ほっしん
)
いたしたうえは、懸命に、勉められい。精進
一途
(
いちず
)
におのれを
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「全く腹が立っちまいますねえ、せっかく、
発心
(
ほっしん
)
なすって
功徳
(
くどく
)
を積もうとなさる殊勝なお心がけを、はたからぶちこわして行く奴が多いんで、情けなくなっちまう」
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
基督信者
(
クリスチャン
)
だから、社長のように出家の
発心
(
ほっしん
)
もしなかった。奥さんは三年患い続けて死んだのである。諦めが好い
次第
(
わけ
)
だ。今度は若くて綺麗なのを貰ったという評判だった。
人生正会員
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
蓮花の
白弁
(
びゃくべん
)
をたたむが如く、衣をさばいて両手をついた人こそ、何という奇しき意外な
発心
(
ほっしん
)
、
菖蒲
(
あやめ
)
の寮の御方ではないか。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれども、何か、先生も急に
発心
(
ほっしん
)
したことがあればこそ、こう殊勝に改まったものに相違ないと思うから、みな、神妙にうけたまわっておりますと、先生はおもむろに
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と私は
更生
(
こうせい
)
一新の
発心
(
ほっしん
)
をしたばかりだったから、無暗に理想が高くて他を律するに厳しかった。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「一念とな。それはいい
発心
(
ほっしん
)
だ。ちかって弟弟子の典膳に劣らぬよう、もういちど勉強し直すがいい。山へでも籠って」
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蛙の子は蛙になる、僕は新聞記者の子だから新聞記者になる積りでいたが、
何
(
ど
)
うせ筆で立つならもっと徹底的なところを行こうと思って、創作家になってやろうと
発心
(
ほっしん
)
した。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
昔、なにがしの
聖
(
ひじり
)
が経文を写しはじめると、悪魔が苦しがって邪魔に来たということでありますが、お銀様の
発心
(
ほっしん
)
を妨げる悪魔がそこまで来て、経文の
功力
(
くりき
)
で上へ昇れないのかも知れません。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この半さんが、
発心
(
ほっしん
)
して僧となったのは——ある年、宇治
黄檗
(
おうばく
)
の
鉄眼
(
てつげん
)
禅師という坊さんに会ったのが機縁だという。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「未練はあるが、いよ/\
発心
(
ほっしん
)
すると俺も来年は厄年だ。段々落ちるところが出世するから、この分で行けば今度は大川か海へ落ちるに
定
(
きま
)
っている。俺だって命は惜しい。決心する」
一年の計
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
おさな子の
本性
(
ほんしょう
)
を呼び起して、故郷に帰る心を以て、人間の本性にさかのぼるの
発心
(
ほっしん
)
を起したものか、或いはこの世の最も罪のないものを捉えて、自分の邪悪のすさびに食糧とするつもりか
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「あれで出家
発心
(
ほっしん
)
とは?」「……
趙檀越
(
ちょうだんおつ
)
のご推薦だが、あの気味わるい居ずまいの
不遜
(
ふそん
)
さといったらない」「……だが、長老もおひきうけとあれば」などと
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それじゃ、この剃刀の引込みがつかねえ、せっかくの
発心
(
ほっしん
)
が水になる」
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“発心”の意味
《名詞》
(仏教)現世の無常を感じ、悟りを得ようと決心すること。仏門に入って修行すること。発菩提心。
(転じて)思い立つこと。良い事に向かって行動・勉強・研究をしようと決心すること。発起。
(出典:Wiktionary)
発
常用漢字
小3
部首:⽨
9画
心
常用漢字
小2
部首:⼼
4画
“発心”で始まる語句
発心者
発心集
発心求道