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如意
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にょい
ふりがな文庫
“
如意
(
にょい
)” の例文
と
慌
(
あわ
)
てゝ手探りに枕元にある小さな
鋼鉄
(
くろがね
)
の
如意
(
にょい
)
を取って
透
(
すか
)
して見ると、
判然
(
はっきり
)
は分りませんが、
頬被
(
ほうかぶ
)
りをした奴が上へ
乗
(
の
)
しかゝっている様子。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
月を映してさわやかに流れる賀茂川を渡れば、もう
如意
(
にょい
)
山である。追われる身の宮は踏みなれぬ夜の山路をひたすら急いだ。
現代語訳 平家物語:04 第四巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
云うまでもなく千変万化
如意
(
にょい
)
救済の願いをあらわしているのだが、しかし経文や願そのままのリアリズムに私は疑問をもつ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
内十六人は各造花一茎をささげ、他に
如意
(
にょい
)
、
白払
(
びゃくほつ
)
、
厲扇
(
れいせん
)
等を持つものがある。天王薬叉も天女も皆彫刻や画にある通りの扮装をしていたと考えていい。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
いっそ手短かに命取ってやろうか! ……それより汝の愛嬌顔、
潰
(
つぶ
)
して
醜婦
(
しこめ
)
にしてやろうわ! ……
如意
(
にょい
)
くらえ!
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
その手には僧侶の持つ
如意
(
にょい
)
のような尺余の鉄棒を、後ろにして携えていることも、その時にわかりました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
如意
(
にょい
)
、香爐、
孔雀
(
くじゃく
)
などという名高い遊女のいたことが記してあり、そのほかにも小観音、薬師、
熊野
(
くまの
)
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
神楽岡
(
かぐらがおか
)
から北へ十町ばかり、中山を越えて
如意
(
にょい
)
ヶ
岳
(
たけ
)
の
裾
(
すそ
)
にあたる、一望
渺々
(
びょうびょう
)
と見はらされる枯野の真っただ中に火事かと思われるばかり大きな炎の柱が立っていて
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
風のごとく駆下りた、ほとんど魚の
死骸
(
しがい
)
の
鰭
(
ひれ
)
のあたりから、ずるずると石段を
這返
(
はいかえ
)
して、揃って、姫を空に仰いだ、
一所
(
ひとところ
)
の鎌首は、
如意
(
にょい
)
に似て、ずるずると尾が長い。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
田舎にては蛇塚と
号
(
な
)
づけて、往々ある事とぞとありてその図を出だし、
径
(
わたり
)
高さ共に一尺六、七寸と附記す(第一図)。竜蛇が
如意
(
にょい
)
宝珠
(
ほうしゅ
)
を持つてふ仏説は、竜の条に述べた。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
如意
(
にょい
)
が
嶽
(
だけ
)
のけわしさに足をいためたり、あるいはきこりの切った椎の柴を身にかけて雨露をしのいだりして、苦労のすえに、ついにとらえられてこの島に流されたのであるが
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
とたんに! 伸びきった栄三郎の片手なぐり、神変夢想流でいう
如意
(
にょい
)
の
剣鋩
(
けんぼう
)
に見事血花が咲いて、またもやひとり、高股をおさえて
鷺跳
(
さぎと
)
びのまま
摚
(
ど
)
ッ! と得
耐
(
た
)
えず縁に崩れる。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この洋杖こそ
孫悟空
(
そんごくう
)
の
如意
(
にょい
)
の棒ではないが、学士自慢の七つの仕掛のある
護身杖
(
ごしんづえ
)
であった。いま流れだした
光芒
(
こうぼう
)
は、その杖の先に仕掛けた懐中電灯の光であったことは云うまでもない。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
琵琶湖の水を前に
如意
(
にょい
)
ヶ
岳
(
たけ
)
を背にした閑寂なところで、「
采釣亭
(
さいちょうてい
)
」となづける屋敷構えも広かったから、同志の会合にもうってつけだし、幕吏の追捕をのがれる者にはいい隠れ場所だった。
日本婦道記:尾花川
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
夢としか思われなかった海の神の美しい
乙女
(
おとめ
)
、それを母とする霊なる童児、
如意
(
にょい
)
の
宝珠
(
ほうじゅ
)
や
知慧
(
ちえ
)
の言葉というような数々の贈り物なども、ただ
卒然
(
そつぜん
)
として人間の空想に生まれたものではなくて
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
と
如意
(
にょい
)
片手に、
白髯
(
しらひげ
)
長きこの老僧が、
改
(
あらたま
)
って物語る
談話
(
はなし
)
を聞けば
雪の透く袖
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
雲水
如意
(
にょい
)
を
揮
(
ふる
)
い、
将
(
まさ
)
に宣教師を打たんとす。
僕
(
しもべ
)
雲水を突き倒す。
上海游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「先に、主水様とご一緒に、
如意
(
にょい
)
ヶ
岳
(
たけ
)
の作兵衛の小屋へ行って、お待ちうけになっているはずだ」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
われは年来
如意
(
にょい
)
と申す物を造るため牛角を伸ぶるにかかる小蛇の油を取ってするなり、若き男その如意は何にすると問うた、知れた事だお
飯
(
まんま
)
と衣のために売るのだと答う
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
ちょっと弁吉の
悪戯
(
いたずら
)
だというのである。三聖酢をなむる図を浮彫にした
如意
(
にょい
)
がある。見ると、
髯
(
ひげ
)
も、眉も浮出ているが手を触ると、何にもない、
木理
(
ぼくり
)
滑かなること
白膏
(
はっこう
)
のごとし。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
町の中には
険呑
(
けんのん
)
な空気が
立罩
(
たてこ
)
めて、ややもすれば
嫉刀
(
ねたば
)
が走るのに、こうして、朧月夜に、鴨川の水の音を聞いて、
勾配
(
こうばい
)
の
寛
(
ゆる
)
やかな三条の大橋を前に、花に匂う華頂山、霞に迷う
如意
(
にょい
)
ヶ岳
(
たけ
)
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
手にはいつかしら白磨きの、握り太の
如意
(
にょい
)
をひっさげていた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
たった今、
如意
(
にょい
)
ヶ
岳
(
たけ
)
の中途から、志賀山越えを横切って、北の沢へ降りて行ったという——それだけを聞けば、彼女ももうその先まで、他人の力を頼ってはいなかった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まくり手には、鉄の
如意
(
にょい
)
かと思う、……しかも
握太
(
にぎりぶと
)
にして、
丈
(
たけ
)
一尺ばかりの
木棍
(
ぼくこん
)
を、異様に削りまわした——
憚
(
はばかり
)
なく申すことを許さるるならば、
髣髴
(
ほうふつ
)
として、
陽形
(
ようけい
)
なるを構えている。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
五品を与えたとあれど(『
塵添壒嚢抄
(
じんてんあいのうしょう
)
』十九には
如意
(
にょい
)
、俵、絹、鎧、剣、鐘等とあり、鎧は
阪東
(
ばんどう
)
の
小山
(
おやま
)
、剣は伊勢の赤堀に伝うと)、巌谷君が、『東洋口碑大全』に引いた『神社考』には
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
如意
(
にょい
)
が高くかざされている。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ちょうど
如意
(
にょい
)
ヶ
嶽
(
たけ
)
と東山のあいだあたりに当るだろう。
一朶
(
いちだ
)
の雲の
縁
(
ふち
)
がキラと真っ赤に
映
(
は
)
えた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一人、骨組の
厳丈
(
がっちり
)
した、赤ら顔で、
疎髯
(
まだらひげ
)
のあるのは、
張肱
(
はりひじ
)
に竹の
如意
(
にょい
)
を
提
(
ひっさ
)
げ、一人、目の窪んだ、鼻の低い
頤
(
あご
)
の
尖
(
とが
)
ったのが、紐に通して、
牙彫
(
げぼり
)
の
白髑髏
(
しゃれこうべ
)
を胸から
斜
(
ななめ
)
に取って、腰に附けた。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
心得童子
(
こころえのどうじ
)
主人の思う事を
叶
(
かな
)
えて久しく仕えしが、後に
強
(
きつ
)
う怒られて
失
(
う
)
せしとかやとあるは、『近江輿地誌略』に、竜宮から十種の宝を負い出でたる童を
如意
(
にょい
)
と名づけ、竜次郎の祖先だとあると同人で
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
輦
(
くるま
)
がゆるぎだすと、白河の上にも、
如意
(
にょい
)
ヶ
岳
(
たけ
)
のすそにも、白い霧のながれは厚ぼったく揺らいでいた。そして、どこからともなく、
淙々
(
そうそう
)
と
四絃
(
しげん
)
を打つ
撥
(
ばち
)
の
音
(
ね
)
がきこえてきた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの
白痴殿
(
ばかどの
)
の女房になって世の中へは目もやらぬ
換
(
かわり
)
にゃあ、嬢様は
如意
(
にょい
)
自在、男はより取って、
飽
(
あ
)
けば、息をかけて
獣
(
けもの
)
にするわ、殊にその洪水以来、山を
穿
(
うが
)
ったこの流は
天道様
(
てんとうさま
)
がお授けの
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
怪老人——それは
如意
(
にょい
)
ヶ
岳
(
たけ
)
の山の
主
(
ぬし
)
といわれている作兵衛
爺
(
じい
)
と、もう一人は、何ぞ知らん、この炭焼小屋の
竈
(
かま
)
で、かつて大村
父子
(
おやこ
)
と山侍たちのために、
蒸殺
(
むしごろ
)
しの刑にかかって
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
如意
(
にょい
)
ヶ
岳
(
たけ
)
のふもとの方へ近づいてゆくにつれて、並木から、細い
小路
(
こうじ
)
から、辻へ出るごとに、その人数は増していた。そして、
蟻
(
あり
)
のように、同じ方角の道へ、つづいて行くのだった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ちょうど花頂山や
如意
(
にょい
)
ヶ
岳
(
たけ
)
などの東山一帯の線が、
暁空
(
あけぞら
)
にくっきり浮き出して、
紅
(
くれない
)
の旗みたいな雲の裂け目から、
旭光
(
きょっこう
)
が縦横に走って見えたが、往来へ出て、北山西山のほうをみると
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ゆうべ、夢に
怪神
(
けしん
)
があらわれて、予の右の
臂
(
ひじ
)
を、鉄の
如意
(
にょい
)
で打った。今朝までも痛む気がした。故に、軍師の身が気づかわれるのだ。いっそのこと、涪城へかえって、御身はあとを守っておらぬか」
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「江戸の上役人が、含月荘の領内で、殺されていたと分ったひには、こいつ、
大破綻
(
おおごと
)
になりますからな。——そこで、
如意
(
にょい
)
ヶ
岳
(
たけ
)
の作兵衛小屋へ持って行って、
炭焼竈
(
すみやきがま
)
の中で焼いてしまおうというお考えなので」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“如意”の意味
《名詞》
如意(にょい)
自分の思う儘になること。
読経・説法のときに僧侶が持つ長さ30cmほどの棒。
(出典:Wiktionary)
“如意”の解説
如意(にょい)は、僧が読経や説法の際などに手に持つ道具。孫の手のような形状をしており、笏と同様に権威や威儀を正すために用いられるようになった。
「如意」とは「思いのまま」の意味。本来は孫の手の様に背中を掻く道具で、意の如く(思いのままに)痒い所に届くので、如意と呼ぶ。
(出典:Wikipedia)
如
常用漢字
中学
部首:⼥
6画
意
常用漢字
小3
部首:⼼
13画
“如意”で始まる語句
如意輪
如意宝珠
如意輪観音
如意輪観世音
如意輪寺
如意自在
如意輪堂
如意岳
如意棒
如意珠