トップ
>
好加減
>
いいかげん
ふりがな文庫
“
好加減
(
いいかげん
)” の例文
「芸人よりかその方がいいだろう。何事によらず腕ばかりじゃ出世のできない世の中だからな。
好加減
(
いいかげん
)
に見切をつけた方が利口だ。」
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私がこうやって
好加減
(
いいかげん
)
な事をしゃべって、それが済むとあとから、上田さんが代ってまた面白い講話がある。それから散会となる。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
憤然
(
やっき
)
となって二日二晩も考えた末、又一策を案じ出して、今度は昼のお糸さんの
手隙
(
てすき
)
の時に、何とか
好加減
(
いいかげん
)
な口実を設けて酒を命じた。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
お葉は
其
(
その
)
紙入から札と銀貨を
好加減
(
いいかげん
)
に掴み出して、数えもせずに紙に
包
(
くる
)
んだ。
之
(
これ
)
を
懐中
(
ふところ
)
に
押込
(
おしこ
)
んで、
彼女
(
かれ
)
も裏木戸から駈け出した。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
もう
好加減
(
いいかげん
)
に通りそうなもの、何を
愚頭々々
(
ぐずぐず
)
しているのかと、一刻千秋の思い。死骸の臭気は
些
(
いささか
)
も薄らいだではないけれど、それすら忘れていた位。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
▼ もっと見る
今朝、国から来た友達をつれて東京見物をさせてやるから、という
好加減
(
いいかげん
)
な口実を設けて一日のひまを貰った時、主人にいっそ昨夜のことを告げてやろうかとも考えた。
夢の殺人
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
「貴方もう
好加減
(
いいかげん
)
になさいましよ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
呼込みの男が医学と衛生に関する講演をやって
好加減
(
いいかげん
)
入場者が集まる頃合を見計い表の幕を下す。入場料はたしか五拾円であった。
裸体談義
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それで、先刻演題という話でしたが、演題というようなものはないから、何か
好加減
(
いいかげん
)
に一つ題は貴方がたの方で後で
拵
(
こしら
)
えて下さい。
模倣と独立
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
好加減
(
いいかげん
)
なチャラッポコを
真
(
ま
)
に受けて、仙台くんだり迄引張り出されて、
独身
(
ひとり
)
でない事が知れた時にゃ、
如何様
(
どんな
)
に
口惜
(
くや
)
しかったでしょう。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
単に冬子の
口供
(
こうきょう
)
を
基礎
(
どだい
)
として、
其余
(
そのよ
)
は
好加減
(
いいかげん
)
の想像を
附加
(
つけくわ
)
えるだけの事である。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
宵の口に
狩込
(
かりこみ
)
があったらしいんだよ。こんな晩はどうせろくな事アありゃしないからね。
好加減
(
いいかげん
)
にして切上げてしまったのさ。
渡鳥いつかへる:軽演劇一幕四場
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ことに比田は
其所
(
そこ
)
に健三のいるのさえ忘れてしまったように見えた。健三は
好加減
(
いいかげん
)
に何とか口を出さなければならなくなった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もう後悔しても
取反
(
とりかえ
)
しが附かなくなって、
止
(
や
)
むことを得ず
好加減
(
いいかげん
)
な口実を設けて別々に内を出て、新富座を見物した
其夜
(
そのよ
)
の事。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
こんな山奥へ
引摺込
(
ひきずりこ
)
まれて、人だか𤢖だか判らぬような
怪物共
(
ばけものども
)
の
玩弄
(
おもちゃ
)
にされて
堪
(
たま
)
るものか。
他
(
ひと
)
面白くもない、
好加減
(
いいかげん
)
に馬鹿にしろと、
彼女
(
かれ
)
は持前の
侠肌
(
きゃん
)
を発揮して、奮然
袂
(
たもと
)
を払って
起
(
た
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と云いながら、大きな
顎
(
あご
)
を心持
襟
(
えり
)
の中へ引きながら自分の額のあたりを見詰めている。自分は
好加減
(
いいかげん
)
なところで、茶色の足を二本立てたまま
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
気長に
幾度
(
いくたび
)
となくすくっては落し、落してはまたすくい上げて、丁度
好加減
(
いいかげん
)
の長さになるのを待って、
傍
(
かたわら
)
の小皿に移し、再び丁寧に蓋をした後
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「
悪戯
(
いたずら
)
も
好加減
(
いいかげん
)
に
休
(
よ
)
すかな」と云いながら立ち上がって、縁側へ据付の、
籐
(
と
)
の安楽
椅子
(
いす
)
に腰を掛けた。それぎりぽかんと何か考え込んでいる。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
唯草稿を丁寧に清書して教を乞ふ事礼儀の第一と心得べし。小説のことなれば
悉
(
ことごと
)
く
楷書
(
かいしょ
)
にて書くにも及ばじ、
草行
(
そうぎょう
)
の書体を
交
(
まじ
)
ふるも苦しからねど
好加減
(
いいかげん
)
の
崩
(
くず
)
し
方
(
かた
)
は以ての
外
(
ほか
)
なり。
小説作法
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「そりゃ不見識な青年が、流俗の
諺
(
ことわざ
)
に降参して、
好加減
(
いいかげん
)
な事を云っていた時分の持説だ。もう、とっくに撤回しちまった」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「まったくですわ。わたしも
好加減
(
いいかげん
)
お婆さんになってしまいました。」
老人
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と云うから、
好加減
(
いいかげん
)
に御辞儀をして、
後
(
あと
)
から
尾
(
つ
)
いて行った。
小作
(
こづくり
)
な婆さんで、後姿の
華奢
(
きゃしゃ
)
な割合には、ぴんぴん
跳
(
は
)
ねるように
活溌
(
かっぱつ
)
な歩き方をする。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
行灯
(
あんどう
)
も
蕪村
(
ぶそん
)
の
画
(
え
)
も、畳も、
違棚
(
ちがいだな
)
も有って無いような、無くって有るように見えた。と云って
無
(
む
)
はちっとも
現前
(
げんぜん
)
しない。ただ
好加減
(
いいかげん
)
に坐っていたようである。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それが膨れると自然と
達磨
(
だるま
)
の
恰好
(
かっこう
)
になって、
好加減
(
いいかげん
)
な所に眼口まで墨で書いてあるのに宗助は感心した。その上一度息を入れると、いつまでも膨れている。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「看護婦さん、こんな病人に優しくしてやると何を云い出すか分らないから、
好加減
(
いいかげん
)
にしておくがいいよ」
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分で
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
へかけて、いい出来じゃありませんかと云うから、そうかなと
好加減
(
いいかげん
)
に
挨拶
(
あいさつ
)
をすると、華山には
二人
(
ふたり
)
ある、一人は何とか華山で、一人は何とか華山ですが
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしそれは自分が
昔
(
むか
)
し父から聞いた
覚
(
おぼえ
)
のある、
朧気
(
おぼろげ
)
な記憶を
好加減
(
いいかげん
)
に繰り返すに過ぎなかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
青林館の主人は自分ほどこの女に興味がなかったと見えて、
好加減
(
いいかげん
)
に歩を移して、突き当りの部屋に這入った。そこも狭い土間で、中央には普通の
卓上
(
テーブル
)
が
据
(
す
)
えてあった。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
でなければ男が
好加減
(
いいかげん
)
に降参するか、どっちかになればいいがと、ひそかに祈っていたのだから、思ったほど女の強くないのを発見した時は少なからず残念な気がした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
時間の価値というものを少しも認めないこの姉と
対坐
(
たいざ
)
して、
何時
(
いつ
)
までも、べんべんと
喋舌
(
しゃべ
)
っているのは、彼にとって多少の苦痛に違なかった。彼は
好加減
(
いいかげん
)
に帰ろうとした。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
両手で第一段目を握って、足を
好加減
(
いいかげん
)
な所へ掛けると、背中が
海老
(
えび
)
のように曲った。それから、そろそろ足を伸ばし出した。
真直
(
まっすぐ
)
に立つと、カンテラの
灯
(
ひ
)
が胸の所へ来る。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
無論触れるとか触れないとか云う字が
曖昧
(
あいまい
)
であって、しかも余は世間の人の用いる通り
好加減
(
いいかげん
)
な意味で用いて居るのだから、此字に対して明かな責任は持たない
積
(
つも
)
りである。
高浜虚子著『鶏頭』序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれども門野の答は
必竟
(
ひっきょう
)
前と同じ事を繰り返すのみであった。でなければ、
好加減
(
いいかげん
)
な当ずっぽうに過ぎなかった。それでも、代助には一人で黙っているよりも
堪
(
こら
)
え
易
(
やす
)
かった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それを
好加減
(
いいかげん
)
に
揣摩
(
しま
)
する癖がつくと、それが坐る時の妨になって、自分以上の
境界
(
きょうがい
)
を予期して見たり、悟を待ち受けて見たり、充分突込んで行くべきところに
頓挫
(
とんざ
)
ができます。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これはまことに結構な事で、我々文学者が四畳半のなかで、夢のような不都合な人物、景色、事件を想像して
好加減
(
いいかげん
)
な事を並べて平気でいるよりも
遥
(
はるか
)
に熱心な御研究であります。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
好加減
(
いいかげん
)
な
邪推
(
じゃすい
)
を
実
(
まこと
)
しやかに、しかも
遠廻
(
とおまわ
)
しに、おれの頭の中へ
浸
(
し
)
み
込
(
こ
)
ましたのではあるまいかと迷ってる矢先へ、
野芹川
(
のぜりがわ
)
の土手で、マドンナを連れて散歩なんかしている姿を見たから
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そんな事は一々聞かないでもいいから
好加減
(
いいかげん
)
にしてくれと云うと、どう致しまして、奥様の
入
(
い
)
らっしゃらない
御家
(
おうち
)
で、御台所を預かっております以上は一銭一厘でも間違いがあってはなりません
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
始めのうちは股野の自慢を
好加減
(
いいかげん
)
に聞き流して、そうかそうかと答えていたが、せっかくの好意ではあるし、もともと気の多い男だから、都合によっては少し
厄介
(
やっかい
)
になっても好いぐらいに思って
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ついこの間の事だが、僕の親戚の者がやはりインフルエンザに
罹
(
かか
)
ってね。別段の事はないと思って
好加減
(
いいかげん
)
にして置いたら、一週間目から肺炎に変じて、とうとう一箇月立たない内に死んでしまった。
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これも
御尤
(
ごもっとも
)
には違ないが、いくら騎兵だって年が年中馬に乗りつづけに乗っている訳にも行かないじゃありませんか。少しは下りたいでさア。こう例を
挙
(
あ
)
げれば際限がないから
好加減
(
いいかげん
)
に切り上げます。
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし本人は別に留意する気色もなく、熱心に検査をする。尿なり便なりの成分を確めるまでは是非やります。もし、きたないから
好加減
(
いいかげん
)
にしてやめると云う医者があったらそれこそ大変であります。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「あんまり超越し過ぎるとあとで世の中が、いやになって、かえって困るぜ。だからそこのところは
好加減
(
いいかげん
)
に超越して置く事にしようじゃないか。僕の足じゃとうていそうえらく超越出来そうもないよ」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
冗談
(
じょうだん
)
を云っちゃいけない。——さあ
好加減
(
いいかげん
)
に歩こう」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「それじゃまた例の通り
好加減
(
いいかげん
)
な雅号なんだろう」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
好加減
(
いいかげん
)
な
御世辞
(
おせじ
)
を並べて
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
好
常用漢字
小4
部首:⼥
6画
加
常用漢字
小4
部首:⼒
5画
減
常用漢字
小5
部首:⽔
12画
“好”で始まる語句
好
好奇
好事家
好事
好悪
好奇心
好々爺
好誼
好餌
好尚