まは)” の例文
いまうらまはつてたら、この文庫ぶんこちてゐて、なか這入はいつてゐた手紙てがみなんぞが、無茶苦茶むちやくちやはふしてあつた。御負おまけ御馳走ごちそうまでいてつた
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
をとこは、をんなたましひ時鳥ほとゝぎすつたゆめて、しろ毛布けつとつゝんでらうと血眼ちまなこ追駆おつかまはさう……寐惚面ねぼけづらるやうだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
少しも買ず慢々ぶら/\と下谷邊までまはりし處長者町へ來りし時は終に日もくれしにより道にまよつて馬喰町へかへ方角はうがくを失ひ種々いろ/\聞ても一向に道は知ず途方とはうくれしゆゑ長八は番屋を頼み日雇ひよう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
木造もくぞうの廊下をまはつて、部屋へやへ這入ると、早くたものは、もうかたまつてゐる。其かたまりが大きいのとちいさいのとあはせて三つ程ある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こしらへるには毎日々々時をたがへず其所をまはれば今何やが來たからもう何時成んと家々にて其商人をあてにするやうになりすれば商ひもかならずふえるものゆゑ御前おまへも町内は申に及ばず裏々うら/\
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それが一色いつしきになつてまはる。しろい棺は奇麗な風車かざぐるま断間たえまなくうごかして、三四郎の横を通り越した。三四郎はうつくしいとむらひだと思つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
違えずまはるが肝要かんえうなり今も云通り爰の處の川柳點にて「日々の時計とけいになるや小商人こあきんど」とぎんじられしと云ば長八は感心して成程よく會得わかりしとて長兵衞のはなしの通り翌日あすの朝も刻限こくげんきめて籠を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
としかないためか、したまはらないので、抗辯かうべんのしやうが如何いかにも億劫おくくふ手間てまかつた。宗助そうすけ其所そことく面白おもしろおもつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
宗助そうすけはそれがにかゝるので、かへりにわざ/\安井やすゐ下宿げしゆくまはつてた。安井やすゐところみづおほ加茂かもやしろそばであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
代助はかほをしかめてみせた。紙包かみゞつみわきしたかゝへた儘、銀座のはづれ迄つてて、其所そこから大根河岸だいこんがしまはつて、鍛冶橋かじばしを丸のうちこゝろざした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
原口さんは開会の前日検分の為一寸ちよつとた。腰掛に腰を卸して、ひさしいあひだ烟管パイプを啣へて眺めてゐた。やがて、ぬつと立つて、場内を一順丁寧にまはつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
けれども今の自分から三四年前の自分を回顧して見ると、慥かに、自己の道念を誇張して、得意に使ひまはしてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
三千代ののあたり、苦しんでゐるのは経済問題であつた。平岡が自力で給し得る丈の生活費を勝手の方へまはさない事は、三千代の口吻でたしかであつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)