取返とりかへ)” の例文
失ひ夫より江戸に下らんとして大津おほつ宿外しゆくはづれより惡漢に付れ終にお花をうばひ取れ斯樣々々かやう/\わけにて取返とりかへせしが其のせつ荷物にもつと路金百兩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もうそら何處どこにかいきほひをひそめて躊躇ちうちよしてはずはる先立さきだつて一取返とりかへさうとするものゝごとさわいで/\またさわぐのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
したがつこの獲得くわくとくしたかね本年ほんねん輸入時期ゆにふじきいたつて拂出はらひだして減少げんせうしても、下半期しもはんき輸出超過ゆしゆつてうくわ時期じきまたふたゝこれ取返とりかへすことが出來できれば、非常ひじやう仕合しあはせである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
モイセイカは今日けふ院長ゐんちやうのゐるために、ニキタが遠慮ゑんりよしてなに取返とりかへさぬので、もらつて雜物ざふもつを、自分じぶん寐臺ねだいうへあらざらひろげて、一つ/\ならはじめる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
みづしろあかるつた……おうら行方ゆくへれ、在所ありかわかり、草鞋わらぢ松明たいまつさぐつたところで、所詮しよせん無駄むだだと断念あきらめく……それに、魔物まものから女房にようばう取返とりかへ手段しゆだん出来できた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
五年目ごねんめには田地でんち取返とりかへし、はたけ以前いぜんよりえ、山懷やまふところ荒地あれち美事みごと桑園さうゑんへんじ、村内そんないでも屈指ゆびをり有富いうふう百姓ひやくしやうおはせたのです。しかもかれ勞働辛苦らうどうしんくはじめすこしかはらないのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
赤尾あかをひこ息子むすこのやうにちがひにつてかへつたもり候へば、もと/\利發りはつ貴君樣あなたさまそのづかひはあるまじきなれど、放蕩ほうたうものにでもおりなされては取返とりかへしがつき申さず
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さすればよしやおいとが芸者になつたにしたところで、こんなに悲惨みじめな目にはずともんだであらう。あゝじつ取返とりかへしのつかない事をした。一生の方針をあやまつたと感じた。母親が急ににくくなる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
取返とりかへし候處九助妻と申者は九助の厄介やつかいになり居る伯父九郎兵衞の娘にて九助とは從弟續いとこつゞきに候と云ば文左衞門はハテサテ込入こみいりし儀ぢやなと言を藤八は又語を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
取返とりかへすぞ然樣さやう心得こゝろえよと云ふ處へ御廻おまはり御出と觸來ふれきたるにぞ則ち粂之進も支度したく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)